Journal of Veterinary Medical Science
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54 巻, 4 号
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  • 内田 佳子, 水谷 真奈美, 久保 拓也, 中出 哲也, 大友 勘十郎
    1992 年 54 巻 4 号 p. 611-614
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    真菌性外耳炎を実験的に発症させるためにビーグル犬の16耳道にMalassezia pachydermatisを大量接種した. 接種3または4日後に耳道内の発赤, 耳垢の増量および痒覚症状が観察され, 耳垢から大量の本菌が分離された. これらの耳道に局所治療として1%ピマリシン溶液を1日2回, 0.1mlずつ点耳した. 外耳炎の諸症状は治療開始後3日間で緩和した. 耳垢量は次第に減少し12耳道で10日以内に耳垢中のM. pachydermatisが消失した. 問題とされるような副作用はみられなかった. 以上のことからM. pachydermatisがは外耳炎の起炎菌となり得ることおよびピマリシン溶液は外耳道に存在する本菌を減少させるのに効果的であることが明らかとなった.
  • 西村 亮平, 坂口 実, 望月 学, 佐々木 伸雄, 高橋 久, 田村 弘, 竹内 啓
    1992 年 54 巻 4 号 p. 615-620
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    アトロピン(0.05mg/kg)を前投与したミニブタに対し, キシラジン(2mg/kg)-ケタミン(15 mg/kg) [X-K15]およびキシラジン(2mg/kg)-ケタミン(5mg/kg)-ブトルファノール(0.22mg/kg)[X-K5-B]を筋肉内投与し, その麻酔効果について検討した. その結果X-K15, X-K5-Bのいずれの組合せにおいても1時間以上の麻酔時間が得られたが, X-K5-Bでは手術麻酔期の指標である屈曲反射の消失が62±13分とX-K15の28±19分に比べ有意(P&0.05)に長く, 咽頭反射の消失も全頭で認められた. さらにX-K5-Bは, 麻酔からの覚醒状態がX-K15に比べ円滑であり, またヨヒンビン(0.05mg/kg)の投与により迅速かつスムーズに麻酔桔抗が可能であった. このようにミニブタに対するキシラジン-ケタミン-ブルファノール麻酔は, キシラジン-ケタミンの1/3のケタミン投与量で, より強力で良好なバランス麻酔が得られ, また呼吸循環器系に及ぼす影響も比較的小さく, 麻酔中の体温低下に注意すれば, 1時間程度の手術に対して, 簡便で比較的安全な麻酔法としで広く応用可能であると考えられた.
  • 大石 明広, 坂本 紘, 清水 亮佑, 大橋 文人, 竹内 啓
    1992 年 54 巻 4 号 p. 621-628
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    正常犬の血漿erythropoietin値はin vivo bioassayで測定不可能とされてきたが, 今回, 60倍の濃縮血漿を用いてin vivo bioassayが可能となり, 測定下限は2.7mU/mlであった. 本研究において得られた正常血漿のerythropoietin値はin vivo の生物活性としてははじめて測定されたものであり, 正常成犬75頭の測定値は9.14±7.81mU/mlであった. 得られたerythropoietin値は, 測定精度の面からも信頼性の高い値であり, これまで知られていなかった低レベルのin vivo生物活性として重要な意義を有する. さらに, 本研究で測定された正常成犬の血漿erythropoietin値は性差, 品種差, およびヘモグロビン値との相関性を欠く, 比較的狭い変動域内の低値であった.
  • 宮原 和郎, 戸瀬 信一, 櫻井 治久, 五十嵐 郁男, 齋藤 篤志, 広瀬 恒夫, 鈴木 直義
    1992 年 54 巻 4 号 p. 629-635
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    TLAの抗腫瘍効果の作用機序の一端を明らかにする目的で, 脾臓内細胞障害性細胞誘導における付着性細胞の関与について51Cr放出法によりin vivoの系で検討した. 細胞障害活性は, すべての実験で6日間培養後の非付着性細胞をエフェクター細胞として測定した. TLAによる細胞障害性細胞誘導には付着性脾臓細胞を必要としたが, Inter-leukin 2 (IL-2)は非付着性脾臓細胞から細胞障害性細胞を誘導した. TLAによる細胞障害性細胞の誘導には付着性細胞と非付着性細胞の接触を必要とした. 脾臓細胞を抗マクロファージ血清で処理すると, TLAによる細胞障害性の誘導は阻害された. TLA添加培養上清中には, IL-2の産生は認められなかった. 以上のことから, TLAによる細胞障害性細胞の誘導機序はIL-2によるkiller細胞の誘導機序とは異なり, TLA感作非付着性脾臓細胞とマクロファージの物理的接触が重要であることが示唆された.
  • 桑原 正貴, 広瀬 昶, 土井 邦雄, 菅野 茂
    1992 年 54 巻 4 号 p. 637-642
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    高脂質血症と高血圧は, 動脈硬化発症における重要な危険因子として知られている. そして, 心臓血管系機能は自律神経系によって調節されているが, 過度の交感神経系の刺激は血圧の上昇を誘発すると考えられている. 高脂質血症と心臓血管系機能の変化は密接に関わっていると考えられるが, アドレナリン作働薬の心臓血管系反応に及ぼす高脂質血症の影響についてはあまり知られていない. そこで, 本研究では高脂質血症を誘発したブタを使用し, ノルエピネフリンとイソプロテレノールに対する心臓血管系の反応に関して, 対照群と高脂質血症群とを比較した. 対照群と高脂質血症群の薬物投与前における心血行動態パラメーターのコントロール値に, 有意な差は認められなかった. しかしながら, 高脂質血症群は対照群に比べて, ノルエピネフリンの血圧上昇作用は有意に高く, ノルエピネフリンとイソプロテレノールに対する心臓の収縮力は有意に高かった. そして, 血圧上昇に対する反射性徐脈は起こらなかった. これらの結果から, 高脂質血症が, 心臓血管系に対するアドレナリン作働薬の反応を増強していること, 心臓血管系の反射性調節に何等かの影響を及ぼしていることが明らかとなり, 動脈硬化発症の機序において高脂質血症と高血圧の連関が重要な一因を担っているものと考えられた.
  • 坂口 実, 西村 亮平, 佐々木 伸雄, 石黒 敏一, 田村 弘, 竹内 啓
    1992 年 54 巻 4 号 p. 643-647
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    α2受容体作動薬として特異性の高いメデトミジンの豚に対する鎮静作用を, 30・50・80・100および150μg/kgの用量について検討し, キシラジン(2mg/kg)と比較した. 両薬剤とも, アトロピン(25μg/kg)と混和して筋肉内に投与した. その結果, メデトミジンは80μg/kgの用量でキシラジンと比較して有意に強い鎮静作用を示し, この作用は30μg/kgから80μg/kgまでは用量依存性に増強された. 100および150μg/kgの高用量では, 作用はそれ以上は増強されず, また80μg/kgに比べやや不安定であったが, より長い作用時間が得られた. 明らかな筋弛緩作用はキシラジンでは認められなかったが, メデトミジンにおいては30μg/kgから認められ, この作用時間は150μg/kgまで用量依存性に延長した. またメデトミジンでは弱い鎮痛作用が認められたが, キシラジンには認められなかった. 両薬剤とも, 投与により心拍数および呼吸数に大きな変化を生じなかったが, 軽度の体温低下が認められた. 以上の結果から豚において, メデトミジンはキシラジンと比較して強い鎮静作用を有すること, およびメデトミジン80μg/kgとアトロピン25μg/kgの組合せにより, 横臥および筋弛緩を伴った鎮静が得られることが明らかとなった.
  • 真田 靖幸, 野田 寛, 永幡 肇
    1992 年 54 巻 4 号 p. 649-652
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    北海道日高地方の8地区224牧場で飼育されている2,879頭の軽種馬を対象に, ELISAを用いてRhodococcus equi抗体の保有状況を調査した. 対象とした本症発生の認められない5牧場の健康馬254頭のOD値より, 0.3以上を抗体陽性値とした. その結果, 2,879頭中318頭(11.0%)が抗体陽性で, 雌馬の抗体陽性率が雄馬より高い傾向にあった. サラブレッド種およびアングロアラブ種間に抗体陽性率は認められなかったが, 年齢別抗体陽性率の推移では高齢馬で高い傾向があり, 14歳で最大の陽性率(27.1%)を示した. 5頭以上調査した160牧場の抗体陽性率は牧場間で異なり, 100牧場(62.5%)で抗体陽性馬が検出され, 抗体陽性率は0.9~78.9%の範囲内に分布していた. 以上の結果より, R. equiは北海道の馬群に広く蔓延し, 本菌による環境汚染の程度は牧場間で異なっていることが示唆された.
  • 竹内 実, 柴田 浩, 那須 哲之
    1992 年 54 巻 4 号 p. 653-658
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    軟X線のマウス免疫能に及ぼす影響について, 非破壊検査用の軟X線発生装置を用い, 100~1,000Rの線量を背部より全身照射して検討した. 軟X線100R以上照射により抗体産生能の有意な低下が認められ, 低下の程度は照射線量に比例した. 600R以上照射により遅延型反応の有意な低下が認められ, 抗体産生能の方が, 遅延型反応より軟X線に対して感受性が強いことが示された. ConA, LPSに対する脾臓細胞の反応性は, 100R以上照射により有意な低下が認められ, その程度は照射線量に比例した. また, 軟X線照射により, 脾臓細胞のConAに対する反応性の方が, LPSに対する反応性より, より強く障害された. しかし, 細網内皮系機能は, 軟X線照射により, 全く影響を受けなかった. 以上の成績より, 抗体産生能, 遅延型反応, ConA, LPSに対する脾臓細胞の反応性は, 軟X線照射に対して感受性が高いが, 細網内皮系機能は感受性が低いことが示された. 更に, T細胞核能の方が, B細胞機能より軟X線照射に対して感受性が高いことが認められた.
  • 内田 和幸, 谷 吉朗, 上塚 浩司, 中山 裕之, 後藤 直彰
    1992 年 54 巻 4 号 p. 659-667
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    高齢犬の脳髄膜より得たアミロイド蛋白をヒ卜のアミロイドβ蛋白の1-28合成ペプチドに対する抗体(抗β抗体)を用いて免疫blot法により検索したところ, 約14kdから18kdの幅の広い抗β抗体陽性バンドが検出され, 蟻酸処理により約3kdから4kdの陽性バンドが認められた. また, 高齢犬17例の脳を免疫組織化学的に検索した結果, 脳血管のアミロイド, 老人斑ともに抗β抗体に陽性を示した. 老人斑のdiffuse plaqueは蟻酸処理を行うことにより抗β抗体と反応した. 他の抗体ではprimitiveあるいはclassical plaqueの一部が抗GFAP抗体に陽性を示したが, 抗α1アンチキモトリプシン抗体, 抗イヌIgG, IgM抗体では陽性像は見られなかった. また高齢犬の消化管粘膜下織のアミロイドは抗β抗体に陰性であった.
  • 勝田 新一郎, 細見 弘, 塩見 雅志, 渡辺 嘉雄
    1992 年 54 巻 4 号 p. 669-673
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    遺伝性高脂血症(WHHL)ウサギにおいて, 粥状硬化の血圧およびその安定性に対する影響を調べた. 6-30ヵ月齢の正常な日本白色種ウサギ25匹および12-35ヵ月齢のWHHLウサギ12匹について, 麻酔下で血圧測定用カテーテルを左鎖骨下動脈より大動脈弓に慢性的に留置し, 数日後, ゲージ内で自由行動下にて, 平均血圧を約6時間連続的にコンピュータで記録した. 平均血圧の6時間の平均値は, WHHLウサギでは85.8~131.4mmHgにあり, 正常ウサギより有意に高い値を示したが, いずれのウサギにおいても加齢による上昇は観察されなかった. WHHLウサギの平均血圧の6時間の標準偏差は5.6~12.6mmHgで, 加齢により有意な増加を示したが, 正常ウサギでは有意な変化はみられなかった. WHHLウサギの血清総コレステロールおよびトリグリセリド濃度は, それぞれ475および328mg/dlで, それぞれ正常ウサギの9, 7倍であった. 上記生理学的所見は大動脈病理所見をよく反映していた. 以上の結果より, WHHLウサギにおける血圧安定性の低下は, 加齢に伴う粥状硬化の進展による動脈コンプライアンスの減少ならびに圧受容器の応答性の低下に起因するものと解釈した.
  • 砂川 紘之, 井上 勝弘
    1992 年 54 巻 4 号 p. 675-684
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ボツリヌスC型菌468株とD型菌CB-16株から分離したそれぞれ2株の毒素変換ファージ(CEβ, d-16φ)と毒素非変換ファージ(CEγ, d-1')の生物学的・物理化学的性質とこれらのファージから分離したDNAの物理化学的性質を調べた. 各ファージの感受性菌への吸着常数はCEβ; 1.1×10-8, d-16φ3.3×10-8, CEγ1.4×10-8およびd-1'; 1.4×10-8ml/分であった. CEβ, d-16φ, CEγおよびd-1'の潜伏期は35, 45, 35, 35分, 産生数は38, 85, 35, 35個であった. 温度・pH・紫外線および有機溶媒などの因子に対して毒素変換ファージ2株はほぼ同様の感受性を示し, 毒素非変換ファージは2株とも全く同様の感受性を示し, その程度は毒素変換ファージの方が強かった. ファージDNAのGC%はCEβ;26, d-16φ;26, CEγ;29, d-1';29であった. ファージDNAの7種類の制限酵素による切断パターンは, 毒素変換ファージがSau3AIおよびPstIで異なる他は同じ傾向を示し, 毒素非変換ファージはいずれの酵素によっても全く同一であった. 制限酵素切断断片の移動度から計算した各ファージDNAの大きさは毒素変換ファージDNAが約110kb, 毒素非変換ファージDNAが約65kbであった. これらのDNA間の相同性は毒素変換ファージ間で50~75%, 毒素非変換ファージ間で約100%の相同性が認められたが, 毒素変換ファージと毒素非変換ファージの間には相同性が認められなかった.
  • 山中 盛正, 平松 計久, 平原 正, 岡部 達二, 中井 正久, 佐々木 文存, 後藤 紀久
    1992 年 54 巻 4 号 p. 685-692
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    3種類のオイルアジュバント(ISA-70, フロインド不完全アジュバント(FIA), フロイジド完全アジュバント(FCA))及びリン酸アルミニウムゲル(APG)をモルモットとラットに筋肉内注射し, 注射部位の病理学的変化を比較検討した. 肉眼的に, ISA-70乳剤注射モルモットでは, 注射後2~8週目に注射部位皮下組織の部分的肥厚と筋間結合組織の変色, 所属リンパ節の腫脹が認められた. FIAではISA-70とほぼ同質の変化を示したが, FCAでは2週目以降注射部位の著明な腫脹と硬結が観察された. また, APGでは筋肉内に限局して変色病変が認められた. 組織学的に, オイルアジュバントでは, 72時間目には急性炎症反応が認められ, その後4週目をピークに, オイルシスト形成, マクロファージ, 類上皮細胞の集簇及び線維化が観察された. これらの変化は, モルモット, ラットともほぼ同様で, ISA-70では他のアジュバントに比べ軽度で, 短期間に消退する傾向を示した. ニューカッスル病(ND)ウイルス抗原を含む各アジュバント材料注射例では, 上記変化に加えて著明な小円形細胞(形質細胞, リンパ球)浸潤が認められた. また, ND赤血球凝集抑制抗体は, ISA-70注射例では, FIA注射例とほぼ同様の高い抗体価の推移を示した.
  • 長谷部 博昭, Osorio Fernando A., Hogg Alex, Liavw Hardi, Bartkoski Michael ...
    1992 年 54 巻 4 号 p. 693-698
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    TK及びgpIII遺伝子欠損変異オーエスキー病生ワクチンの投与法が, その免疫効果に影響を及ぼすか調査した. 試験豚として生後6週齢のSPF豚25頭を用い, TK-・gpIII-オーエスキー病(以下:AD)生ワクチン104.0TCID50/2mlを10頭には頚側皮下組織(皮下注群)に, 他の10頭には臀部筋肉組織(筋注群)に接種した. 接種22日後, AD野外強ウイルス(Becker株:1.58×104.0TCID50)をワクチン非接種対照豚5頭を含め, 鼻腔内噴霧により攻撃した. その結果, 対照群では5頭中4頭が強毒株攻撃後12日以内に死亡したが, ワクチン接種群では死亡豚はみられなかった. しかし, 皮下注群では3頭が臨床症状を示し, この群の1日当りの平均増体量も筋注群にくらべ, 強毒株攻撃13日後から低く推移した. ワクチン接種8日及び14日後の中和抗体価は, 両群ともにほとんど陰性で, 試験群間の有意差も認められなかった. しかし, gpIIスクリーニングELISAによる比較では, 筋注群がワクチン接種14日後に100%陽性を示したのに対し, 皮下注群では30%のみが陽性であった. 強毒ウイルスで攻撃後, 眼, 鼻腔内及び扁桃の粘液からウイルスの分離を行った結果, 筋注群ではいずれの豚からも全くウイルスは検出されなかったが, 皮下注群では4頭から攻撃後3~9日間, ウイルスの排出がみられた. 以上の結果から, 本ワクチンの強毒ウイルスに対する予防効果は投与方法により大きく異なり, 筋肉内投与法は発病阻止効果のあることが明らかにされた.
  • 辨野 義己, 黒谷 明美, 山下 雅道
    1992 年 54 巻 4 号 p. 699-702
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    自然界で捕獲され, 約4週間, 同一条件で飼育されたアマガエル8匹の腸内フローラを菌種レベルで検索するとともに, カエルの腸内常在微生物の至適発育温度を考慮して, 室温(23~25℃)および37℃の培養温度で培養を行ない, それによって得られた細菌数の差も比較した. すべてのカエルから微生物が分離され, 腸内容物1グラムあたり3.1×109の菌数が検出されたが, 培養温度の違いによる菌数の差は認められなかった. 分離菌株を菌種レベルで検索したところ, 11菌属16菌種に分類された. 最優勢に分離された菌種はBacteroides (B.) caccaeおよびB. vulgatusであり, ついで, Escherichia coliが高い菌数で分離された. 他の嫌気性菌ではFusobacteriumおよびClostridium菌属が検出された. また, Enterococcus faecalisも高頻度に分離された. しかし, Lactobacillus, Bifidobacterium, eEubacteriumおよびPeptostreptococcusの4菌属は分離されなかった.
  • 辨野 義己, 中尾 博之, 内田 清久, 光岡 知足
    1992 年 54 巻 4 号 p. 703-706
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1歳未満および11歳以上の雄ビーグル犬の胃腸内フローラを比較したところ, 胃, 十二指腸, 空腸および回腸内の各フローラの構成に加齢による著しい差は認められなかった. 老犬の盲腸, 結腸および直腸の大腸部位では偏性嫌気性菌および乳酸桿菌の菌数は幼犬のそれらに比べて減少したが, Clostridium Perfringensおよび連鎖球菌は高い菌数で出現していた. また, 老化に伴ってレシチナーゼ陰性Clostridiumの出現率が増加したが, スピロヘータのそれは減少していた. このように, ビーグル犬の加齢による腸内フローラの変動は大腸部位で著しいことが明らかとなった.
  • 中井 豊次, 川原 一芳, 檀原 宏文, 久米 勝巳
    1992 年 54 巻 4 号 p. 707-710
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    A. pleuropneumoniae血清型1型菌株に対する2クローンのモノクローナル抗体, lMAb-1及びlMAb-5, を作製し, それらの性状を調べた. ELISA-阻止試験において, lMAb-1は血清型1型菌株とのみ反応し, capsular polysaccharide(CP)のNaIO4感受性抗原部分を認識することが確認された. 一方, lMAb-5は血清型1, 9及び11型菌株と同程度に反応し, その認識抗原は血清型1, 9及び11型菌株由来のlipopolysaccharide(LPS)のO-polysaccharideに存在した. 以上の成績から, CPはA. pleuropneumoniaeの血清型特異性に関与する抗原の一つであることが示された. また, 血清型1, 9及び11型菌株由来のLPSのO-polysaccharideは, これら菌株間の交差反応に関与する抗原であることが判明した.
  • 鈴木 順, 局 博一, 菅野 茂
    1992 年 54 巻 4 号 p. 711-716
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ラット心臓の興奮伝播様式を, 心室心外膜興奮伝播図ならびに興奮伝播速度の測定等を通じて解析した. 全ての実験は成熟ウィスターラット(雄)を用い, 人工呼吸, 開胸下で実施した. 自発洞調律下あるいは電気刺激による調律下(400bpmの頻度)で, 近接双極および単極誘導による心外膜電位図と心室中隔内電位図を記録し, 同時に標準肢第II誘導心電図も記録した. 作成したラット心臓の興奮伝播図から, 心室の心外膜全体の興奮時間は6~13 msecと短く, ヒトやイヌの約1/3であるが, 興奮伝播過程はこれらの種と概ね類似していた. 心外膜の興奮伝播速度は両心室とも約40cm/secで, ヒトの伝播速度に比べ大差がなかった. 局所QT間隔(心室興奮持続時間)は左右心外膜で50~98msec を示したのに対し, 心室中隔では69~123msecと長い傾向にあること, しかしそれらの持続時間はいずれもヒトやイヌの心臓に比べ短いことが明らかとなった. 以上の成績から, ラットの心臓においても発達した脚-プルキンエ興奮伝播系の存在が示唆されるとともに, 標準肢誘導心電図におけるQRS-T成分の解釈を容易にする知見が得られたものと考えられた.
  • 山田 隆紹, 松田 基夫, 芦田 佳典, 土屋 亮, 和田 恭則, 松原 利光, 小林 好作
    1992 年 54 巻 4 号 p. 717-721
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ネコの胆汁中より, 硫安塩析法, ゲル濾過法, アフィニティークロマトグラフィー法によりIgAを精製した. このIgAは抗猫全血清及び抗猫胆汁血清との間に, 免疫電気泳動法並びにdouble diffusion法により一本の沈降線を認め, 単一成分であることが確認できた. さらに, この胆汁中IgAはSDS-PAGEで分析すると分子量80kd, 62kd, 27kdのサブユニットからなり, ヒトや他の動物で報告されている分泌因子(secretory component)に相当する80 kdの成分を持っていた. 次に胆汁中IgAの動態を明らかにする目的で, 成長期猫の胆汁をカテーテル法により継続的に採取し, 免疫グロブリン濃度を測定した. この結果胎児期の胆汁中には免疫グロブリンはほとんど存在せず, 出生後にIgG, IgAならびにIgMとも徐々に増加するが, IgAやIgMはIgGよりも比較的早い段階で成猫値に達する傾向が認められた. とくにIgAは血清中よりも早く発達することが窺われた.
  • 渡部 敏
    1992 年 54 巻 4 号 p. 723-729
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究は, 視床下部正中隆起弓状核(ARC)の電気刺激によって誘発される内側視索前野(POA)ニューロンにおけるantidromic (AD)およびorthodromic(OD)反応の閾値に及ぼす性周期, 卵巣摘出後エストロゲン(estradiol)およびプロゲステロン投与(Ovx-P)の影響について試験した. single unitの誘導は, 細胞外記録法によった. その結果, POAニューロンにおけるADおよびOD反応の閾値は, 卵巣摘出後エストロゲン投与(Ovx-E), estrusおよびproestrusで低下し, Ovx-Pおよびdiestrusで増加した. 抑制性ODニューロンの数は, proestrusおよびOvx-Eで増加し, diestrusで減少した. 興奮性ODニューロンの数は, Ovx-Pおよびdiestrusで増加した. 抑制性および興奮性OD反応の閾値は, Ovx-E, proestrusおよびestrusで低下し, Ovx-Pで上昇した. 以上の成績からエストロゲンは, ARCニューロンの軸索側副枝を介して抑制性シナプス入力を受けるPOAのニューロンを, プロゲステロンは, 興奮性シナプス入力を受けるPOAのニューロンをそれぞれ賦活することが示された.
  • 大内 紀章, 藤原 三男, 秦野 好博, 山田 雅夫, 新居 志郎
    1992 年 54 巻 4 号 p. 731-737
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    豚痘ウイルス(SPV)に対する17種類のモノクロナール抗体(MAbs)を作製し, それらの性状を解析した. これらのMAbsは, 各々が認識しているポリペプチドの分子量と, 感染細胞内での蛍光抗体法による染色性から8群(A群からH群)に分類された. A, B, C, G群に属するMAbsは, 細胞質内封入体に認められる後期抗原で, その分子量は, それぞれ97kD, 65kD, 48kD, 15kDであった. D, H群に属するMAbsの認識する後期抗原の分子量は, それぞれ35kDと12kDであり, これらの抗原は, 細胞質内封入体に出現し, その後, 細胞質全体と細胞膜にも認められるようになった. F群に属するMAbは, 18kDの抗原を認識し, 感染細胞内で顆粒状に認められる後期抗原で, E群に属する32kDのMAbsは, 細胞質内封入体に認められる早期抗原であった. A群とD群からH群までの6群のMAbsは, SPVに特異的であったが, B群とC群に属するいくつかのMAbsは, 他の属のポックスウイルスと交差を示した. 即ち, B群のSP14は, オルフウイルスとウサギ線維腫ウイルスに, C群のSP24とSP32は, ワクチニアウイルス, 牛痘ウイルス, エクトロメリアウイルスとウサギ線維腫ウイルスに交差を示した. 以上から, SPV抗原には, 他の属のポックスウイルスと交差するエピトープを含む抗原が少なくとも2つはあることが示唆された.
  • 佐々木 栄英, 北川 均, 平野 勇二
    1992 年 54 巻 4 号 p. 739-744
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    犬糸状虫症における肺高血圧症と病変との関連を, 自然感染した肺動脈寄生28例とCaval syndrome(CS)13例の計41例を用いて検討した. 実験犬はフレキシブルアリゲーター鉗子で虫体を摘出し, 1日または7日後に肺動脈圧を測定した後, 剖検し病変を観察した. 剖検時における各個体の平均肺動脈圧は, 10.9~81.4mmHgの範囲にあったが, CS例の方が高い傾向があった. 剖検所見では, 肺動脈内膜病変(95%), 肺動脈塞栓病変(59%), 肺実質病変(39%)および心弁膜病変(56%)が認められた. これらの病変は病変程度により4段階に分類し, 病変程度と肺動脈圧の高さとの関連性を重回帰分析により検討した. 重相関係数は肺動脈塞栓病変で最も高く, ついで僧帽弁病変, 三尖弁病変, 肺実質病変の順で, 肺動脈内膜病変は有意な相関は得られなかった. また, 決定係数も肺動脈塞栓病変で最も大きく, 他の病変を加えてもわずかに大きくなるのみであった. 肺動脈塞栓病変は, 大きな肺動脈内に新鮮な死亡虫体を容れた血栓が形成された例で高い肺動脈圧を示す傾向が認められた. これらのことから, 自然感染の犬糸状虫症では虫体の死亡に伴う肺動脈塞栓病変が肺高血圧症の原因として, 最も重要な要因と考えられた.
  • 筏井 洋, 野口 純子, 吉田 緑, 今道 友則
    1992 年 54 巻 4 号 p. 745-749
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    著者らにより発見された無精子症ラットミュータントの, 精巣組織像および異常の遺伝様式について検索した. ミュータントの精巣重量は, 正常ラットの約1/3であった. 精子形成は初期減数分裂段階で停止していた. パキテン期の精母細胞は数が減少していた. 二次精母細胞および少数の円形精子細胞は観察されたが, 尖体期の精子細胞および精子は観察されなかった. 大きな好塩基性の封入体様の構造物が, パキテン後期の精母細胞の細胞質に認められた. 遺伝解析の結果, この異常は常染色体上の劣性遺伝子座により伝達されることが明らかになり, 我々はこの遺伝子座を, Asと命名した.
  • 北川 均, 久保田 敦子, 保田 恭志, 平野 勇二, 佐々木 栄英
    1992 年 54 巻 4 号 p. 751-756
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    腹水, 浮腫, 衰弱, 黄疸などの症状を示す重症の慢性犬糸状虫症18例において, 右心系循環動態と血液ガスを測定した. 肺動脈からの糸状虫摘出後, 10例が回復し(回復群), 8例が死亡あるいは安楽死された(非回復群). 犬糸状虫症寄生数は回復群で多い傾向を示した. 剖検所見では, 死虫による肺動脈塞栓, 増殖性の肺動脈病変などが全例に見られ, 非回復群でより重度であった. 犬糸状虫の三尖弁腱索てん絡は回復群の1例と非回復群の4例に認められた. 犬糸状虫摘出前, 平均肺動脈圧は回復群と非回復群の間に有意差はなかった. 非回復群では右心房圧が高く, 右心拍出量は低値であった. 動脈血酸素分圧は, 回復群において非寄生群よりも低く, 非回復群では回復群よりも低値であった. 二酸化炭素分圧は非回復群のみで低く, 重炭酸濃度は回復群と非回復群ともに低値であった. 犬糸状虫摘出1週後, 回復群では, 平均肺動脈圧が低下し, 右心拍出量と重炭酸濃度は増加する傾向にあった.
  • 梁 萬表, 後飯塚 僚, 辻本 元, 小沼 操, 長谷川 篤彦
    1992 年 54 巻 4 号 p. 757-761
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウシ白血病ウイルス感染によって腫瘍化したリンパ芽球様B細胞株(BL2M3及びBL312)の増殖における腫瘍関連抗原(TAA)の関与について検討した. BL2M3及びBL312細胞はTAAを高率に発現し, それらの細胞の培養上清中にTAAが多量に検出された. また, 両細胞のlysateにもさらに多量に存在することが確認された. 次にTAAを多く含有しているBL2M3及びBL312細胞の培養上清及びcell lysateについて細胞の増殖反応を検討したところ, BL2M3及びBL312細胞の培養上清中にはBL2M3或はBL312細胞を増殖促進させる効果(BL2M3-GPF)が認められたが, cell lysate中には増殖促進効果は認められなかった. さらにBL2M3-GPFに対する抗TAA抗体であるc143添加の影響について検討した結果, BL2M3-GPFによるBL2M3細胞の増殖促進は添加したc143抗体濃度に依存して抑制された. 従って, BL2M3-GPFによる増殖シグナルの伝達にTAA分子が関与することが示され, 少なくともBL2M3-GPFに反応して増殖が認められる細胞ではTAAがその細胞増殖の制御に重要な役割を果たしているものと考えられた.
  • 音井 威重, 立川 進, 近藤 正治, 鈴木 達行
    1992 年 54 巻 4 号 p. 763-765
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    異なる濃度の細菌に曝露した牛の体外受精胚から付着菌を除去する方法を検討した. 106CFU/ml以上のStreptococcus agalactiae, 107CFU/ml以上のActinomyces pyogenesまたは103CFU/ml以上のEscherichia coliに曝露された胚からは標準法による洗浄後も細菌が分離された. 一方, 高濃度の菌に曝露した胚でも, 抗生物質で処理した後に洗浄した場合には, 曝露菌が検出されなかった.
  • 清宮 幸男, 大島 寛一, 伊藤 博, 小笠原 信幸, 奥友 正範, 田中 修一
    1992 年 54 巻 4 号 p. 767-768
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    重篤な神経症状が観察された5例の新生子牛を病理学的ならびに細菌学的に検索した. 主要な脳脊髄病変は線維素化膿性髄膜脳室炎と血管壁の変性や血栓症などを伴う実質の巣状壊死であった. 中枢神経系病巣にE. coli抗原が認められ, 脳よりE. coliが分離された. これらの結果は, 髄膜脳室炎に加えて梗塞性壊死が新生子牛の敗血症型大腸菌症の重要な脳脊髄病変である可能性を示唆するものと思われた.
  • 中山 裕之, 内田 和幸, 李 相玖, 上塚 浩司, 長谷川 篤彦, 後藤 直彰
    1992 年 54 巻 4 号 p. 769-771
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    小葉間胆管周囲のリンパ球浸潤, 胆管増生, 線維増生によって特徴づけられるネコの胆管炎3例について検討した. これらの病理組織像はヒトの原発性胆汁性肝硬変のそれと類似していた. 病因としては自己免疫の関与が考えられた.
  • Chitambo Harrison, 荒川 晧
    1992 年 54 巻 4 号 p. 773-775
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マウスに薬剤感受性の異なるTrypanosoma congolenseを感染させ, diminazene aceturateまたはisometamidium chlorideを投薬することにより, 末梢血中に出現するkinetoplasのない(AK)型の観察にDAPI染色を用い, ギムザ染色と比較した. 投薬10時間後のAK型発現率を求める観察には両染色法に差はなかったが, 正常のトリパノソーマとAK型のそれとの区別する観察には, DAPI染色がギムザ染色に比べ優れていた.
  • 田村 豊, 木島 まゆみ, 浜本 好子, 吉村 治郎
    1992 年 54 巻 4 号 p. 777-778
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    気腫疸菌C6H株の産生する溶血毒の性状について検討した. 溶血毒はPYG培地(3%ペプトン, 2%酵母エキス, 0.5%ブドウ糖, 0.1%L-システイン一塩酸塩, pH 7.2)で, 菌の対数増殖期に良く産生された. また本溶血毒は, 羊, 牛, ニワトリの赤血球をよく溶血し, 更に易熱性でトリプシン感受性であり, 4℃保存または過酸化水素で容易に失活することからOxygen-labile型の毒素であるものと思われた.
  • 山村 高章, 湊 良雄, 小嶋 明廣, 岡庭 梓
    1992 年 54 巻 4 号 p. 779-780
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    病理組織学的に典型的な変性病変を呈する腎臓の葉間動脈枝では, 内膜および中膜に大小の空砲が多発し著しい肥厚があり, 荒廃が目立った. 変性細胞には電子密度の高い約20ないし30nmの周期性をもった線維素が沈着し, 中膜のそれにはイヌヘルペスウイルス粒子と考えられる直径約80nmの粒子の集団が認められた. 腎臓の葉間動脈枝の中膜細胞はイヌヘルペスウイルスの感染により変性し, 類線維素性壊死に陥るものと考えられた.
  • 筏井 洋, 立花 資和, 小林 栄治, 今道 友則
    1992 年 54 巻 4 号 p. 781-782
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    TE系ラットで全ての雄の精巣輸出管に認められる, 精子瘤の遺伝様式について検索した. その結果, 少なくとも一組の優性および二組の劣性遺伝子座により支配されていることが明らかになった.
  • 山岸 保彦, 勝田 修, 土谷 稔
    1992 年 54 巻 4 号 p. 783-785
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ラットの縦隔に自然発生した肥胖細胞腫を病理学的に検索した. 光顕的には中等度の大きさで円形あるいは多角形の腫瘍細胞がシート状に密に増殖しており, 細胞質内には好酸性の顆粒を富有していた. 一部の腫瘍細胞の顆粒がトルイジン青染色で異染性を示したが, 大部分は陰性であった. 電顕的には細胞質内顆粒は単層の限界膜で囲まれ, 中等度電子密度の細顆粒状であった. また顆粒内には稀に渦巻様構造も観察された.
  • 塚本 健司, 長谷部 誠, 垣田 慎一郎, 日原 宏, 甲野 雄次
    1992 年 54 巻 4 号 p. 787-788
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    白色レグホーン種の原種をトリ白血病ウイルスの感染状態を基準に, 血清から抗体もウイルスも検出されない非感染鶏, 血清から抗体は検出されるが卵白からウイルスは検出されない感染・非排泄鶏, 卵白からウイルスが検出される感染・排泄鶏に分類し, 各群の生産性を比較した. その結果, 産卵率の低下, 卵白のハウ単位の低下, 卵殻の肥厚, 体重の軽量化等の生産阻害は感染・ 排泄鶏でのみ認められた.
  • 長谷川 承, 左向 敏紀, 竹村 直行, 小山 秀一, 本好 茂一
    1992 年 54 巻 4 号 p. 789-790
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    陽イオン交換カラムを使用した高速液体クロマトグラフィー(HPLC)によりネコ糖化ヘモグロビンを測定した. 臨床上正常な猫37頭及び糖尿病猫12頭の糖化ヘモグロビンの百分比はHbAlcではそれぞれ1.70%および3.54%, HbAlでは1.88%および3.85%と, 糖尿病猫で有意な高値を示していた(Plt;0.05). このことからネコ糖化ヘモグロビンは糖尿病診断の指標になると思われた.
  • Prasitiratana Piyanoot, Chompoochan Tasanee, 浦 重義, 平 詔亨
    1992 年 54 巻 4 号 p. 791-792
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    野外の下痢症豚の糞便から得た豚糞線虫感染子虫を体重12~60kgの試験豚に経皮感染させ, 糞便内虫卵数の消長を調べた. 感染は, 豚糞線虫卵100,000個を吸着させた脱脂綿を25℃で4日間培養し, 脱脂綿に活発に動く感染子虫が多数存在することを確認後, 脱脂綿を豚の側腹部に5時間接触させた. 以降, 感染後19~91日の培検日まで毎日, 虫卵検査を行った. 糞便内への虫卵排泄は感染後5~8日から認められた. 感染豚4頭中2頭(体重12kg)は, 感染後14~49日までEPG約10,000以上を示した. EPGの最高値は2頭ともに感染後29日にみられ, その値はそれぞれ162,600及び83,400であった. 感染豚の臨床症状は軽度であり, 剖検でも肉眼病変を認めなかった.
  • 河野 迪子, 藤井 靖大, 鹿野 創人, 小野 憲一郎, 鈴木 直義
    1992 年 54 巻 4 号 p. 793-795
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    免疫調整物質としての合成ペプチド, オビオペプチド(Obi-1)を免疫能の低下したマウスに投与すると細菌感染による死亡率が顕著に低下する. Obi-1投与マウスマクロファージ(Mφ)のライソソーム酵素活性は脾臓では変化はないものの腹腔では上昇した. in vitroにおけるマウスMφの0bi-1に対する走化性は脾臓, 腹腔共に認められ脾臓は腹腔に比べより低濃度で走化活性を示した. これらはObi-1投与による脾臓および腹腔内Mφの活性化機序が異なることを示唆した.
  • 織間 博光, 藤田 道郎, 青木 忍, 鷲巣 誠, 山上 哲史, 梅田 正樹, 杉山 公宏
    1992 年 54 巻 4 号 p. 797-798
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    重度の咳および呼吸因難を主訴として来院した10歳のシーズーに対し, X線検査, 気管支造影検査および気管支鏡検査を実施し, 右中葉における肺気腫と診断した. 患葉の摘出手術により, 症状は消失した. 摘出肺の病理組織学的検査の結果, 気管支軟骨の低形成に起因した肺胞性肺気腫であった.
  • 高橋 芳辛, Mohammad Nihayah, Jainudeen Mohamed R., 菱沼 貢, 金井 幸雄, 森 裕司, 金川 弘 ...
    1992 年 54 巻 4 号 p. 799-801
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    沼沢水牛(成牛4頭, 子牛3頭)およびKedah-Kelantan牛(子牛3頭)の卵胞卵子を体外培養したのち, それぞれの種雄牛から採取した新鮮射出精子を用いて体外受精を行った. その結果, 卵子成熟率および正常受精率は, Kedah-Kelantan牛(n=22)ではそれぞれ100%および50%であったが, 沼沢水牛(n=58)ではそれぞれ47%および21%であり, 沼沢水牛卵胞卵子の体外培養法を改善する必要があることが示唆された.
  • 伊藤 隆, 利部 征夫, 伊藤 冨美雄
    1992 年 54 巻 4 号 p. 803-804
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    動物園で飼育されていたニホンシカが結核で死亡し, このシカからMycobacterium bovis(M. bovis)が分離された. 同居群16頭についてツベルクリン・テストによるM. bovisの浸潤調査を実施した. このうち7頭がツベルクリンに反応し, これらのツベルクリン反応例すべてに結核病巣が確認された. M. bovisは, 石灰化病変の強かった1例を除く6頭の病変部から分離された.
  • 菱沼 貢, 菱沼 悦子, 高橋 芳幸, 金川 弘司
    1992 年 54 巻 4 号 p. 805-808
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    雌犬2頭から交配後8および10日目に, 胚の回収を実施し, 得られた8個の拡張胚盤胞の微細構造を透過型電子顕微鏡によって観察した. 8日目の胚盤胞(直径280~510μm)では, 内部細胞塊は形態的に一様な細胞で構成されていたが, 10日目の胚盤胞(直径800~1,110μm)では, 内部細胞塊の胞胚腔側に内胚葉の形成が認められた. 内胚葉は, 内部細胞塊周辺の栄養膜細胞の胞胚腔側にも認められた.
  • 内田 和幸, 中山 裕之, 佐々木 伸雄, 立川 晉, 後藤 直彰
    1992 年 54 巻 4 号 p. 809-811
    発行日: 1992/08/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌの脊髄神経根に発生した腫瘍を病理組織学的及び免疫組織学的に検索した. 肉眼的には第5-6頚椎部の神経根ならびに脊髄に腫大・出血, 腋窩神経叢周囲, 胸腔内に大小多数の腫瘤がみられた. 組織学的には第5頚椎部の腹根で紡錘形の腫瘍細胞が, 渦紋状あるいは不規則な索状に配列しながら増殖していた. 一部の神経根では重度の線維化を認めた. 腫瘍細胞は脊髄にも浸潤・増殖していた. 腋窩神経叢, 胸腔内の腫瘤では, 腫瘍細胞が充実して増殖し, 間質には粘液, 膠原線維, 細網線維が認められた. また出血を伴う壊死巣が多発していた. 免疫染色により腫瘍細胞は抗S100蛋白抗体に強陽性を示した. 検索の結果, 本腫瘍は悪性神経鞘腫と診断された.
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