Journal of Veterinary Medical Science
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モノクロナール抗体を用いた豚痘ウイルスの解析
大内 紀章藤原 三男秦野 好博山田 雅夫新居 志郎
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1992 年 54 巻 4 号 p. 731-737

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抄録

豚痘ウイルス(SPV)に対する17種類のモノクロナール抗体(MAbs)を作製し, それらの性状を解析した. これらのMAbsは, 各々が認識しているポリペプチドの分子量と, 感染細胞内での蛍光抗体法による染色性から8群(A群からH群)に分類された. A, B, C, G群に属するMAbsは, 細胞質内封入体に認められる後期抗原で, その分子量は, それぞれ97kD, 65kD, 48kD, 15kDであった. D, H群に属するMAbsの認識する後期抗原の分子量は, それぞれ35kDと12kDであり, これらの抗原は, 細胞質内封入体に出現し, その後, 細胞質全体と細胞膜にも認められるようになった. F群に属するMAbは, 18kDの抗原を認識し, 感染細胞内で顆粒状に認められる後期抗原で, E群に属する32kDのMAbsは, 細胞質内封入体に認められる早期抗原であった. A群とD群からH群までの6群のMAbsは, SPVに特異的であったが, B群とC群に属するいくつかのMAbsは, 他の属のポックスウイルスと交差を示した. 即ち, B群のSP14は, オルフウイルスとウサギ線維腫ウイルスに, C群のSP24とSP32は, ワクチニアウイルス, 牛痘ウイルス, エクトロメリアウイルスとウサギ線維腫ウイルスに交差を示した. 以上から, SPV抗原には, 他の属のポックスウイルスと交差するエピトープを含む抗原が少なくとも2つはあることが示唆された.

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