Journal of Veterinary Medical Science
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子牛の肺動脈弁下漏斗部を伴うAnatomically Corrected Malpositionの1例 : 臨床ならびに形態学的観察
中出 哲也内田 佳子大友 勘十郎北澤 馨安藤 正彦白川 潤
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1992 年 54 巻 5 号 p. 837-843

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抄録
チアノーゼ, 頻脈, 呼吸速迫, 運動不耐性および収縮期雑音を主徴とした38日齢の黒毛和種の子牛について生前には確定診断が出来なかったが, 剖検により, 心室中隔欠損を伴うanatomically corrected malpositionが確認された. 内臓心房位は正位で, 心房心室結合は不一致, 心室大血管関係は一致していた. すなわち, 左右心房は正常の位置に, 心室は逆位を示した. 大動脈弁は肺動脈弁の右側でわずかに後方にあり, 僧帽弁との間に線維性結合を示し, 形態学的左室より起始していた. 形態学的右室は小さく, この心室より漏斗部を介して肺動脈が起始していた. 従って本例の両大血管の関係はわずかに肺動脈が左前方にあって両者が基部で交差する正常心型を示していた. 心室中隔には中等度の漏斗部筋性欠損が認められた. 三尖弁にはエプスタイン奇形を伴った高度の三尖弁狭窄を認めた. 本例は牛における世界で初めての報告であると考えられる.
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© 社団法人 日本獣医学会
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