抄録
急性期の二腎性Goldblatt型高血圧(2KGH)ラットおよび高血圧自然発症ラット(SHR)の糸球体傍(JG)細胞を免疫組織化学的に検討した. 2KGHラットとSHRのJG細胞は, 抗レニン血清と抗アンジオテンシンII(AII)血清で免疫染色陽性を示した. 2KGHラットの腎動脈狭窄腎のレニンおよびAII陽性細胞数は, 実験期間の経過に伴い上昇した. 一方, 腎動脈非狭窄腎のレニンおよびAII性細胞の反応性は, 実験経過に伴い弱くなり, 反応したJG細胞は小さくなった. これらの変化は, SHRでは認められなかった. 2KGHラットにカプトプリルを投与すると, 腎動脈狭窄腎のレニン陽性細胞数は, 実験期間の経過に伴い顕著な上昇を示したが, 両腎のAII陽性細胞数は低下を示した. SHRにカプトプリルを投与すると, 両腎のレニン陽性細胞数は, 実験期間の経過に伴い上昇を示したが, AII陽性細胞数は低下を示した. 以上のことより, 2KGHラットの高血圧発症に両側腎の糸球体傍細胞が密接に関与する事が示唆されたが, SHRの高血圧発症における糸球体傍細胞の役割を明らかにすることはできなかった. また, カプトプリル投与による2KGHラットとSHRのレニン陽性細胞の増加は, JG細胞でのAIIの低下に伴うnegative feedback機構の欠落によるものと思われた.