Journal of Veterinary Medical Science
Online ISSN : 1347-7439
Print ISSN : 0916-7250
ISSN-L : 0916-7250
ネコリンパ球表面に存在する白血球共通抗原(CD 45R)に対するモノクローナル抗体の作出
増岡 光太豊崎 朋子遠矢 幸伸乗峰 潤三甲斐 知恵子見上 彪
著者情報
ジャーナル フリー

1992 年 54 巻 5 号 p. 865-870

詳細
抄録
当教室で樹立したネコTリンパ芽球株化細胞(MYA-1細胞)を抗原としてネコリンパ球に対するマウスモノクローナル抗体2F11, 17B10および15B3を作出し, これらの解析を行った. 2F11は, 分子量220/205/190kdの蛋白質を認識し, MYA-1細胞および, ネコTリンパ腫由来のFL74細胞の多くと反応し, また, 正常ネコの胸腺細胞や肝細胞, 末梢血単核球とも反応が認められた. 17B10も2F11と同様の蛋白質を認識し, FL74に対しての反応性は2F11にくらべ低いものの, 他の細胞との反応性については類似の結果を得た. 15B3は, 分子量220kdの蛋白質を認識し, ネコ胸腺細胞には反応せず, 他の細胞に対しても低い反応性を示し, 2F11と17B10との認識パターンに違いが見られた. また, 2次フローサイトメトリーでは, 2F11によって認識されるMYA-1細胞とFL74細胞の一部を17B10と15B3が認識した. 免疫組織化学では, リンパ節, 脾臓で2F11と17B10はほぼすべての白血球を認識し, 15B3はB細胞領域のほとんどの細胞と, T細胞領域の一部の細胞を認識した. 以上のことから, これらのモノクローナル抗体は, ヒト, マウス, ラットで報告されている白血球共通抗原ファミリーのうちのCD45Rに相当し, 2F11と17B10は, ある一つの抗原特異部位のそれぞれ異なるエピトープを認識し, 15B3は前の2種とは異なる抗原特異部位を認識していると考えられた.
著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top