Journal of Veterinary Medical Science
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Babesea rodhainiおよびBabesia microti感染マウスにおける脾臓内リンパ球subpopulationの変動
嶋田 照雅鹿野 創人小野 憲一郎斉藤 篤志鈴木 直義
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1992 年 54 巻 6 号 p. 1071-1075

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抄録

急性経過で整死するBabesia rodhaini(BR)感染マウスと, 慢性に経過し持続感染を示すBabesia microti(BM)感染マウスについて, 感染経過に伴う脾臓内リンパ球sub-populationの変化を検討した. BR群では感染赤血球の増加時期と同様, 脾臓総細胞数, 脾臓内IgM陽性細胞数, IgG陽性細胞数, およびThy-1陽性細胞数の増加がBM群に比較して早期に認められた. 脾臓総細胞数, IgM陽性細胞数, およびIgG陽性細胞数の最高値は2群間で有意な差は認められなかったが, BM群のThy-1陽性細胞数の最高値はBR群の感染12日目のThy-1陽性細胞数に比較して有意な高値を示した. また, L3T4陽性細胞数とLyt-2陽性細胞数の比では, BR群は感染3日目から減少するのに対し, BM群は感染初期に増加した後, 滅少した. BRで免疫したマウスにBRを再度感染させた群では, Thy-1陽性細胞数はBM群と差がなく, またL3T4陽性細胞数とLyt-2陽性細胞数の比の変動はBM群と類似していた. これらの結果から, BR感染マウスとBM感染マウスの感染経過の相違には感染初期のT細胞の免疫応答, 特にLyt-2陽性細胞のサプレッサー活性の上昇が強く関係していると考えられた.

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