Journal of Veterinary Medical Science
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乳頭糞線虫の実験的濃厚感染による子牛の心臓突然死
辻 尚利板庇外 茂雄中村 義男平 詔亨久保 正法浦 重義源野 朗
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1992 年 54 巻 6 号 p. 1137-1143

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抄録
野外における乳頭糞線虫濃厚感染による子牛の突然死のメカニズム探索の第一歩として, ホルスタイン種の子牛8頭を用いて, 同子虫を感染させ, 心電図と呼吸曲線を記録した. 突然死した6頭では, 死亡前1~6日より洞性頻脈が連続して記録され, 心拍数は死亡時まで経時的に増加した. このほか, 死亡前1~2日より, さまざまな頻拍性お上び徐拍性不整脈が認められた. 死亡時の心電図は, 突然出現する一連の心室頻脈, 心室粗動および心室細動であった. 呼吸停止は心室細動発現後であった. それ以前に呼吸の異常は認められなかった. 耐過した2頭の内の1頭では, 一時的に徐拍性不整脈が出現したが, 後に正常パターンに回復した. これらの結果は, 乳頭糞線虫の濃厚感染による突然死は, 不整脈による心臓突然死であることを示唆するものである.
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© 社団法人 日本獣医学会
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