Journal of Veterinary Medical Science
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遺伝子組換えネコインターフェロンのネコにおける薬動力学的特徴と2', 5'-オリゴアデニル酸合成酵素の誘導
植田 吉純桜井 徹笠間 協子佐藤 雄一郎厚見 和則塙 真也内野 富弥矢内 顯
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1993 年 55 巻 1 号 p. 1-6

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抄録
遺伝子組換えバキュロウイルスによりカイコ体液中に生産された遺伝子組換えネコインターフェロン(rFeIFN)のネコにおける薬動力学的挙動, および2', 5'-オリゴアデニル酸(2-5A)合成酵素の生産誘導作用を調べた. 静脈内投与後の血清中のrFeIFNレベルは, 2-コンパートメントモデルに従って減少し, 初期相, 後期相の半減期はそれぞれ5.0±0.5分, 31±5分だった. 125I-rFeIFNの静脈内投与後の全身オートラジオグラフィーでは, 投与15分後の放射活性は膀胱内尿に最も高く, 次いで腎臓, 肝臓, 甲状腺, 脾臓に高かった. 投与3時間後の放射活性は甲状腺, 膀胱内尿, 消化管内容物, 胃粘膜に高かった. また脳, 脂肪には放射活性は認められなかった. 血中動態および全身オートラジオグラフイーの結果から, rFeIFNの薬動力学的挙動はヒトインターフェロンの薬動力学的挙動と類似していることが判明した. このことから, rFeIFNは投与後初期に腎臓と肝臓に多く分布し, 主に腎臓で代謝された後尿中に排泄され, 体内には蓄積しないと推定される. rFeIFNのネコへの静脈内単回投与により, 白血球および血清中の2-5A合成酵素活性は上昇し, その高活性は3日間にわたり持続されることが確認された.
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© 社団法人 日本獣医学会
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