Journal of Veterinary Medical Science
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55 巻, 1 号
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  • 植田 吉純, 桜井 徹, 笠間 協子, 佐藤 雄一郎, 厚見 和則, 塙 真也, 内野 富弥, 矢内 顯
    1993 年 55 巻 1 号 p. 1-6
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    遺伝子組換えバキュロウイルスによりカイコ体液中に生産された遺伝子組換えネコインターフェロン(rFeIFN)のネコにおける薬動力学的挙動, および2', 5'-オリゴアデニル酸(2-5A)合成酵素の生産誘導作用を調べた. 静脈内投与後の血清中のrFeIFNレベルは, 2-コンパートメントモデルに従って減少し, 初期相, 後期相の半減期はそれぞれ5.0±0.5分, 31±5分だった. 125I-rFeIFNの静脈内投与後の全身オートラジオグラフィーでは, 投与15分後の放射活性は膀胱内尿に最も高く, 次いで腎臓, 肝臓, 甲状腺, 脾臓に高かった. 投与3時間後の放射活性は甲状腺, 膀胱内尿, 消化管内容物, 胃粘膜に高かった. また脳, 脂肪には放射活性は認められなかった. 血中動態および全身オートラジオグラフイーの結果から, rFeIFNの薬動力学的挙動はヒトインターフェロンの薬動力学的挙動と類似していることが判明した. このことから, rFeIFNは投与後初期に腎臓と肝臓に多く分布し, 主に腎臓で代謝された後尿中に排泄され, 体内には蓄積しないと推定される. rFeIFNのネコへの静脈内単回投与により, 白血球および血清中の2-5A合成酵素活性は上昇し, その高活性は3日間にわたり持続されることが確認された.
  • 網 康至, 須崎 百合子, 後藤 直彰
    1993 年 55 巻 1 号 p. 7-11
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    室内繁殖用に飼育されていた野生由来カニクイザルの雌の解剖例94例中27例(28.7%)に子宮内膜症(endometriosis)が観察された. 症例は, 11歳から23歳までのサルに観察され, 平均年齢は, 15.3歳であった. 帝王切開歴のある群とない群との間に発生率の有意な差はなかったが, 最終妊娠からの期間は症例群において有意に長かった. 病理組織学的に分類した4タイプのそれぞれの発生率は, 1)骨盤腔内に限局した外子宮内膜症のみが見られた症例(51.8%), 2)外子宮内膜症のうち, endometrial cystの形成がなく子宮内膜組織の他臓器への浸潤の見られた症例(3.7%), 3)内子宮内膜症(腺筋症)のみが見られた症例(22.2%), 4)外および内子宮内膜症がともに見られた症例(22.2%)であった.
  • 林 正信, 遠藤 大二, 昆 泰寛, 山下 匡, 佐藤 文昭, 笠井 憲雪, 波岡 茂郎
    1993 年 55 巻 1 号 p. 13-18
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    肝炎を自然発症するLECラットは他の系統のラットで報告されているよりもかなり低い線量で急性放射線骨髄障害死を起こすことが示された. 急性骨髄障害死が主たる死亡原因である30日以内での放射線障害死は対照のWKAHラットでは7.4Gy以上の線量のX線で全身照射された場合にみられ, LD50/30は7.8Gyであった. これに対して, LECラットでは2.0Gy以上の線量で照射された場合でも30日以内に死亡することが示され, LD50/30は3.0Gyであった. プロビット解析によってLECラットは有意に急性放射線障害に感受性であることが示された. 4.0Gy全身照射したLECおよびWKAHラットの骨髄において造血細胞数は照射後減少し, 出血が認められた. 照射後8日目にはWKAHラットの骨髄では造血細胞数の回復が認められたが, LECラットではその様な回復は認められなかった. LECラットは放射線障害を検討する上で重要なモデル動物となると考えられる.
  • 元井 葭子, 大橋 傳, 広瀬 昶, 平松 都, 宮崎 茂, 長澤 成吉, 高橋 淳吉
    1993 年 55 巻 1 号 p. 19-25
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    エンドトキシンの新しい測定法である比濁時間分析(ATK)法を用いて, ホルスタイン去勢牛の血清と第一胃液中のエンドトキシン濃度を測定した. このATK法ではβ-グルカンを添加した, エンドトキシンに特異的なLimulus amebocyte lysate (LAL)を用いた. 実験牛は対照普通飼料で飼育後, 圧ぺん大麦の給与割合を徐々に増やしたそれぞれの濃厚飼料区で継続的に飼育された. 血清と第一胃液のエンドトキシン濃度は, 普通飼料給与区に比べて濃厚飼料給与区で高い値を示した. その濃度は圧ぺん大麦の給与割合を60%に増やした20日後に最高値を示した後は徐々に低下し, 変換2カ月後には, 第一胃液のエンドトキシンは普通飼料区の約10倍に, 血清濃度は2~4倍に安定した. 今回の測定では, 生体材料の前処理には水希釈, 加熱法を用いた. エンドトキシン添加による血清と第一胃液上清の測定回収率は120~136%の範囲であった. 測定法の再現性における変動係数は, 血清で10%より低く, 第一胃液ではそれよりやや高かった. また従来から用いられている合成基質法との間には有意な相関が認められた. 以上, エンドトキシンの新しい分析法であるATK法は簡易でしかも精度が高いため, 今後研究面ばかりでなく, 臨床分野での応用価値が高いものと思われた. さらにエンドトキシンの測定はいわゆる穀物多給症候群の発生予察に寄与するものと考えられる.
  • 土佐 紀子, 森松 正美, 中川 正樹, 三好 冬, 内田 英二, 新山 雅美, 首藤 文栄, 斉藤 昌之
    1993 年 55 巻 1 号 p. 27-31
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    成犬に犬糸状虫駆虫薬を投与し, 血清タンパク質をポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分析したところ, ある特定のタンパク質画分の増加が見られた. このタンパク質を硫安分画と電気泳動法によって部分的に精製した. SDS-PAGEで分子サイズを求めたところ, 53kDaであった. 更に, 還元条件下でSDS-PAGEを行うと, 17kDaと35kDaの二つのバンドに分かれた. これらの結果から, このタンパク質がハプトグロビンである可能性が示唆されたので, 以下のように確認した. 即ち, 1)このタンパク質はヘモグロビンと結合して複合体を形成した. 2)このタンパク質に対する抗血清は, 別に精製された犬のハプトグロビンと交叉反応性を示した. 3)このタンパク質の二つのサブユニットのN末端部のアミノ酸配列は, イヌのハプトグロビンのそれと一致した. これらの分子性状から, このタンパク質をハプトグロビンと同定した.
  • 後藤 仁, 山本 泰弘, 太田 千佳子, 白播 敏一, 樋口 徹, 大右 秀夫
    1993 年 55 巻 1 号 p. 33-37
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1988~90年に日高地区で採取した305例の馬血清について, 馬インフルエンザウイルスの A/equine/Newmarket/1/77 (H7N7), A/equine/Tokyo/2/71/ (H3N8), A/equine/Kentucky/ 1/81 (H3N8)に対する抗体を測定した. ワクチン接種前の2歳馬血清45例のほとんどは3ウイルス株に対するHI抗体が陰性であったが, 接種後の血清51例の37~88%が陽性であった. また, この51例を含む年齢の確認できた2~23歳馬からの血清166例では, 2歳馬において3ウイルス株に対するHI抗体価, 陽性率ともに最も高い値を示したが, 年齢とともにその値は低下した. とくに9歳以上の60例では, 最近の諸外国における流行ウイルスと抗原的に類似するKentucky株に対してほぼ全例が陰性を示し, 海外からの本病の侵入に対し危険な免疫状態であった. A型ウイルスの可溶性抗原に対するCF抗体は, ウイルス感染馬でのみ検出され, ワクチン接種馬ではすべて陰性であった. すなわち, CF抗体の検出は, HI抗体陽性馬においても最近のウイルス感染を知ることができ, ヒトのインフルエンザにおけると同様に, 極めて有用な血清診断法であることを示した.
  • 中野 浩武, 斉藤 賢一, 小柏 元英, 鈴木 勝士
    1993 年 55 巻 1 号 p. 39-43
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    20匹のElマウスにおいて塩酸ケタミン, キシラジン併用麻酔下で硬膜上脳波導出記録を行った. 探査電極はエポキシ樹脂で被覆をした銀球電極を用い, 基準電極はステンレススチール針電極を鼻端皮下に置いた. 20例すべてに安定した再現性のある脳波が得られた. 20例中8例に前頭部で左右同期する多棘複合が認められた. そのうち7例では多棘複合に先行する棘波が左前頭部に, 1例では右前頭部に認められた. マウスの脳波記録で, 局在性を示す所見が得られたことから, エポキシ樹脂被覆電極を用いて, 今まで報告の少なかったこのような小動物での脳波解析が今後期待される.
  • 折野 宏一, 佐治 正隆, 尾崎 由佳, 大屋 卓志, 山本 晋二, 渡辺 清隆
    1993 年 55 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウマフェリチンの免疫測定に及ぼすウマ血清の影響を二つのサンドイッチELISAシステムを用いて調べた. システムAでは, 一次抗体としてアフィニティ精製ウマ脾臓フェリチン抗体を, 二次抗体としてアルカリホスファターゼ標識精製抗体を用い, システムBでは, 全抗血清および酵素標識全抗血清をそれぞれ用いた. ウマ血清に添加した精製ウマ脾臓フェリチンの回収率はいずれのシステムでも非常に低かった(システムAで50~71%, システムBで42~79%)が, 血清を75℃で15分間加熱処理することによりシステムAにおける回収率は90~96%に改善された. しかしながら, システムBにおける回収率は加熱処理によっても十分に改善されなかった(75~83%). 新生仔馬および成馬の血清フェリチン測定値は, 血清を加熱処理することにより上昇した. これらの結果から, ウマ血清にはウマフェリチンのサンドイッチELISAを阻害する物質が存在すること, およびこの阻害は加熱処理により解除されることが結論づけられた.
  • 大石 明広, 坂本 紘, 清水 亮佑, 大橋 文人, 竹内 啓
    1993 年 55 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌにおいて, 瀉血による赤血球減少時のErythropoietin(EPO)産生状況について検討した. 本研究では, EPO産生のregulating factorとして新たにヘモグロビン減少率(Δ%Hb)を考慮し, EPO産生の刺激強度を知るための有用性について検討した. その結果, 瀉血度の違いによる血漿EPO値の増加, 大量瀉血後の貧血進行から回復に至る血漿EPO値の推移, さらに慢性軽度瀉血による血漿EPO値の初期変動面で, いずれも血漿EPO値はΔ%Hbとの間に高い相関性を有し, Δ%HbのEPO産生調節に関わる重要性が示された. 一方, 急性大量瀉血後, EPO産生の増加は少なくとも6時間以内に発現し, 軽度慢性瀉血に比べ有意に高い血漿EPO値を示し, 赤血球減少に至る時間がEPO産生反応に影響するものと示唆される. また, 同時に, 両腎摘出後の血漿EPO値の推移より算定されたEPOの体内半減時間は8.4時間であり, 急激なΔ%Hbの増加時には内因性EPOの血漿内蓄積をも考慮する必要がある.
  • 小倉 知子, 昆 泰寛, 小沼 操, 近藤 高志, 橋本 善春, 杉村 誠
    1993 年 55 巻 1 号 p. 59-66
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ニワトリのリンパ組織におけるT Cell Subsetsの分布をCD4, CD8に相当するモノクローナル抗体を用いて免疫組織化学的に検討した. 胸腺においてCD8+細胞は皮質にのみ認められ, 一方CD4+細胞は皮質のみならず髄質にも認められた. 被膜直下の皮質細胞は両抗体に反応しなかった. 盲腸扁桃においてCD8+細胞は固有層浅層に限局し, 固有層中層ないし深層では多数のCD4+細胞が胚中心を囲むように存在していた. 脾臓においてCD8+細胞は赤脾髄にのみ存在し, CD4+細胞は動脈周囲リンパ組織ならびに静脈周囲リンパ組織に認められた. 胚中心内にこれら抗体に反応するリンパ球は認められなかった. 骨髄ならびにファブリキウス嚢に反応は認められなかった. 夕ンパク抗原(みょうばん沈澱ウシ血清アルブミン)投与実験によって, CD4+細胞が胚中心内に認められ, 一方CD8陽性を示す細胞は赤脾髄領域から減少した. これらの結果はニワトリのリンパ組織におけるT Cell Subsetsが明らかな住み分けをしていることを示すものと思われる.
  • 中島 永昭, 福山 新一, 平原 正, 高村 恵三, 岡田 伸隆, 川津 健太郎, 宇井 聡, 児玉 和夫
    1993 年 55 巻 1 号 p. 67-72
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    非細胞病原性ウシウイルス性下痢-粘膜病ウイルス(cBVD-MDV)の持続感染ウシにおいて, 偶然的に発生した粘膜病(MD)例および細胞病原性ウシウイルス性下痢-粘膜病ウイルス(cBVD-MDV)を実験的に重感染させた例について, MDの発現を検討した. 偶然的に発生した症例では, 同居していた持続感染ウシ2頭中1頭にMDが発現した. MDの発現ウシからはcBVD-MDVが分離され, 持続感染ウイルスと同じ抗原性状を示した. 残るウシにも同株の感染が証明されたが, 両株の抗原性状は異なっていた. 実験的MDの発現を目的とした試験では, まず持続感染ウシ2頭に対し, 持続感染ウイルスとは抗原性状の異なるcBVD-MDVを重感染させたところ, いずれもMDは発現しなかった. 次にその約6か月後, 同じウシ2頭に前とは抗原性状の異なったcBVD-MDVで再攻撃した. このウイルスは持続感染ncBVD-MDVの抗原性状に対し2頭中1頭が同一であった. その結果, 1頭は無症状で耐過したが, 両ウイルスの抗原性状が一致した1頭は攻撃ウイルスに対する抗体応答を示さず, 持続的な下痢と脱水症状を示し約2か月後に死亡した. このことから, 持続感染ウシのncBVD-MDVと抗原性状が一致するcBVD-MDVの重感染は免疫寛容との関わりから高率にMDを発現することが予想された.
  • 網本 昭輝, 岩本 伸二, 田浦 保穂, 中間 實徳, 山内 高史
    1993 年 55 巻 1 号 p. 73-79
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    最近, 小型純粋犬での乳犬歯晩期残存による歯列異常が増加しており, 本研究ほ乳犬歯晩期残存により生じた永久犬歯の咬合異常に対する外科的矯正の効果を明らかにするために行った. 乳犬歯が晩期残存したことにより歯列異常を起した幼犬55頭について, 歯列異常をそのまま成犬になるまで放置した群(23頭)と, 外科的矯正を行った群(32頭)とに分けて比較した. 歯列異常をそのまま放置しておくと, 73.4%(47/64箇所)に永久犬歯の咬合異状が発生したが, 外科的矯正を行った場合ではわずか3.8%(3/78箇所)の発生しか認められなかった. このことから, 幼犬の乳犬歯晩期残存により生じた歯列異常の外科的矯正は, 犬の臨床において極めて有効な治療法であることがわかった.
  • 高橋 雄二, 橋爪 昌美, Said Ahmed Abdu, 城戸 靖雅
    1993 年 55 巻 1 号 p. 81-85
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1,000ppm飲水添加投与後に認められたブロイラー皮膚中スルファジメトキシン(SDMX)長期残留の原因を明らかにするために, 静脈内注射後及び飲水添加投与後の皮膚中SDMX動態試験を行った. 最高用量200mg/kg単回静注後の皮膚中SDMX消失曲線は二区画モデルに適合した. その半減期は第1消失相では4.4時間, 第2消失相では173時間, 静注後24時間目の外挿濃度は第1消失相では69.0μg/g, 第2消失相では0.11μg/gであった. 一方, 30及び100mg/kg静注後の皮膚中消失曲線はそれぞれ3.2及び5.7時間の半減期で一区画モデルに適合した. 最高用量を3又は5分割して1半減期間隔で反復静注したところ, その間の皮膚SDMX濃度は血漿中濃度と平行して推移し, その値は血漿の約2分の1であった. 100mg/kg用量以上の静注後の血漿中濃度は非線形動態を示し, その濃度は注射後12-30時間の間, 100μg/ml以上であった. SDMXの皮膚中長期残留は500ppm投与では認められなかった. 以上の結果から, SDMXに対してブロイラーの皮膚中には二つのコンパートメントが存在し, 第1コンパートメントのSDMX濃度は血漿中濃度と平行して推移するが, 第2コンパートメントは血漿中の少量のSDMXを取り込み, 取り込んだSDMXを非常に緩徐に排泄すると推察される.
  • 多川 政弘, 岡野 昇三, 原 康, 江島 博康, 本好 茂一, 浦川 紀元, 古川 清憲, 恩田 昌彦, 小川 龍
    1993 年 55 巻 1 号 p. 87-91
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    熱とナトリウムによる二重指示薬希釈法を原理とした肺血管外水分量測定装置の循環動態を変化させた場合の精度について評価を行い, さらにエンドトキシンショック時の肺血管外水分量の経時的変化についてイヌを用いて検討した, イソプロテレノールまたはプロプラノロールを投与して循環動態に変化を加えた場合においても測定値には影響が認められず, この測定法の精度が高いことが確認できた. また, エンドトキシンショック時の肺血管外水分量測定値は, エンドトキシン投与により増加傾向を認め, エンドトキシン投与後360分値においてエンドトキシン投与前値に対して有意な(P<0.05)増加を認めた. エンドトキシンショック時には, 初期より漸次肺水腫が進行していることが確かめられた.
  • 伊藤 章, 今井 壮一, 扇元 敬司
    1993 年 55 巻 1 号 p. 93-98
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    北海道に生息する13頭のエゾシカ(Cervus nippon yesoensis)のルーメン内の繊毛虫構成を調査した結果, Entodiniun属の2種, E. simplex, E. dubardiが同定され, すべての個体は1種類の繊毛虫しか保有していなかった. エゾシカにみられたE. simplexの虫体は平均的に小さく, また, 計測値にばらつきが大きかったために, ホルスタインのE. shimplex, E. nanellum, E. exiguumと虫体の大きさと形態を比較した. 繊毛虫の密度の範囲は大きく, 3.1-5882.4×103/mlであり, 平均は567.4×103/mlであった.
  • 福山 新一, 児玉 和夫, 平原 正, 中島 永昭, 高村 恵三, 佐々木 修, 今西 二郎
    1993 年 55 巻 1 号 p. 99-106
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    牛白血病ウイルス(BLV)が持続感染している二種の細胞(LK15およびBat2cl1)の培養液から不活化ワクチンを作製し, 牛に対する免疫原性と感染防御を検討した. 試験牛12頭は4週間間隔で2回筋肉内に接種し, その4週間後に100μlあたり約70~100個のシンシウスを形成するBLV感染牛血液で攻撃した. LK15ワクチンで免疫した9頭は攻撃時BLVgp抗原に対し1:16~64倍の寒天ゲル内沈降抗体(gp抗体)を保有し, このうち100μlの感染血液で攻撃した4頭はすべて感染防御を示したが, 500μlで攻撃した5頭では2頭が防御を示したにすぎなかった. Batワクチンで免疫した3頭は1:8~64倍のgp抗体を産生し, 100μlの攻撃に対し2頭に感染がみられた. 感染防御を示し, ワクチネーション後32週間経過した各牛のgp抗体価は1:2~8倍に低下した. この時100μlのBLV感染血液で再攻撃した2頭はいずれも防御を示さなかったが, 同時期に1回LK15ワクチンで再免疫した2頭はその4週間後に1:16~32倍のgp抗体の産生がみられ, 100μlのBLV感染血液の攻撃に対し再度感染防御を示した. 用いたBLV感染血液(100μl)の攻撃に対する感染防御には, 攻撃時に少なくとも16倍もしくはそれ以上のgp抗体価が必要と考えられた.
  • 谷口 和之, 新井 徹, 小川 和重
    1993 年 55 巻 1 号 p. 107-116
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ハムスターの中隔嗅覚器およびその付属腺の微細構造を嗅上皮, 鋤鼻器およびそれらの付属腺の微細構造との比較において検討した. 中隔嗅覚器の双極性ニューロンには2型があり, それぞれ嗅上皮と鋤鼻器感覚上皮の受容細胞に類似していたが, 前者に類似したニューロンが多数を占めた. 中隔嗅覚器の支持細胞は鋤鼻器感覚上皮のものよりは嗅上皮のものに類似し, また基底細胞の微細構造は3者の嗅覚器間でほとんど差がなかった. 中隔嗅覚器の付属腺は嗅上皮のボウマン腺同様にPAS, アルシアンブルーの両者に陽性を示し, その微細構造もボウマン腺のものに類似していた. 以上より, 中隔嗅覚器は嗅上皮と類似した嗅覚機能を果すことが強く示唆された.
  • 柴田 勲, 小川 めぐみ, 鮫ケ井 靖雄, 小野寺 節
    1993 年 55 巻 1 号 p. 117-118
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1990年及び1991年に22道県, 65農場の豚より採取した1,502例の血清について, 脳心筋炎ウイルスに対する中和抗体を測定した. 抗体陽性率は個体別で25.8%, 農場別では84.6%であった. 道県別では鳥取, 島根, 愛媛および長崎で比較的高い陽性率であった. 月齢別では月齢が高くなるに従って陽性率も上昇した. 以上の結果から, 日本の豚において脳心筋炎ウイルスが感染していることが示唆された.
  • 稲津 満実子, 津波 修, 桐沢 力雄, 川上 善三, 岩井 浤
    1993 年 55 巻 1 号 p. 119-121
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウマヘルペスウイルス1(HH1株)をマウスに経鼻接種すると肺で増殖し, マウスは立毛, 円背, 不活性, 体重減少などを示した. しかし, マウスは感染後12日迄に回復し, ウイルスも7日以降肺から分離されなくなり, 再感染に抵抗した, 無胸腺ヌードマウスにウイルスを接種すると, ウイルスは排除されることなく感染7日後でも高力価で回収された. ウマ流産胎子由来の野外株の多くはマウスで増殖したが, HH1株由来の弱毒株は増殖しなかった.
  • 北村 太祐, 石井 俊雄
    1993 年 55 巻 1 号 p. 123-124
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ELISAを用いてTrichinella spiralis感染ラット筋肉から抗原(幼虫成分)検出を試みた. ラット筋肉を炭酸緩衝液で乳剤化し, その上清を試料として, 抗被嚢幼虫ウサギ血清を用いてELISAを実施した. 実験の結果, 筋肉1g中に10匹以上の被嚢幼虫が存在すれば確実な幼虫検出が可能であった.
  • 杉井 俊二, 廣田 好和
    1993 年 55 巻 1 号 p. 125-128
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    正常な成鶏から分離したプール血清中に存在する複合糖質結合性蛋白質を同定するため, 種々の単糖を結合したSepharose4Bゲルを用いたAffinity Chromatographyを行った. Affinityゲルに吸着した血清蛋白質を結合阻止物質で溶出し, ゲルろ過, 電気泳動(SDS-PAGE), ゲル内沈降反応などで検討した結果, Ca2+依存性, 非依存性に種々の単糖と結合する鶏血清中の主な蛋白質は免疫グロブリン(IgM, IgG)であることが判った.
  • 平野 孝一, 足立 吉敷, 石橋 幸子
    1993 年 55 巻 1 号 p. 129-131
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    形態学的に種の区別の困難な, アフラトキシンを産出するAspergills (A.) flavus及びA. parasticusがあり, この両者が産生するアルカリプロティナーゼのポリアクリルアミドゲル電気泳動での移動度の差で分類することの可能性が示されてきているが, この手法で1984年に輸入されたペンギン(Spheniscus magellanicus)から分離された株について検索を行ったところ, これらの株のアルカリプロティナーゼの移動度は標準株であるA. flavus NRRL 1957のものと同じであり, A. parasticus NRRL 2999と異なっていた. また, アフラトキシン産生能を有することから, A. flavusと確認した.
  • 山本 政生, 大江 正人, 藤井 千春, 鈴木 達行
    1993 年 55 巻 1 号 p. 133-134
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    黒毛和種未経産牛42頭を用い, 6.5%のLHを含有するFSH-Pと, 0.58%のLHを含有するFS-Rによる過剰排卵処置を行い, 両者の採卵成績を比較した. その結果, 卵の回収成功率に差は見られなかったが, 処置牛1頭あたりの回収胚数と移植可能胚数が, FSH-Pではそれぞれ4.9±2.3個(平均±SD)および1.5±0.9個, FSH-Rではそれぞれ11.2±2.4個および4.8±1.4個であり, いずれもFSH-Rのほうが有意(P<0.05)に高い成績が得られた.
  • 中村 政幸, 長峯 範行, 乗松 真理, 鈴木 祥子, 大石 弘司, 木島 まゆみ, 田村 豊, 佐藤 静夫
    1993 年 55 巻 1 号 p. 135-136
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イギリスから輸入したヒナから輸入検疫中に分離されたS. Enteritidisの介卵感染性を, 34週齢の産卵鶏を用いて検討した. 筋肉内接種鶏(109 CFU)において一過性の産卵低下が認められたが, 経口接種鶏(1010CFU)では産卵率には変化は認められなかった.接種1ヶ月後までに, 経口接種鶏では65個中1個の卵白,筋肉内接種鶏では36個中3個の卵の卵黄あるいは卵白において本菌が分離され, 本菌の介卵感染性が証明された.
  • 高瀬 公三, 内村 哲也, 香月 伸彦, 山元 通孝
    1993 年 55 巻 1 号 p. 137-139
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    伝染性ファブリキウス嚢病ウイルス29株の寒天ゲル内沈降反応をG691及びF539株由来基準抗原を用いて実施したところ, 3群に分けられた. 第1群(F539株を含む16株)由来抗原の沈降線はG691基準抗原の沈降線とは融合せず, スパーが形成された. 第2群(2株)由来抗原の沈降線はいずれの基準抗原のそれとも融合しなかった. 第3群(G691株を含む11株)由来抗原の沈降線はF539基準抗原のそれと融合せず, スパーが形成された. 第1群のウイルスのみが鶏に対して高病原性であった.
  • 清宮 幸男, 大島 寛一, 伊藤 博, 村上 隆宏, 播谷 亮
    1993 年 55 巻 1 号 p. 141-143
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    発熱, 起立および歩行困難, 眼房水の混濁, 肩関節の腫脹等を呈した16日齢の子牛を検索した. 主要な病変はグラム陰性小桿菌を伴う線維素性化膿性髄膜炎であり, 内眼球炎, 多発性関節炎並びに幾つかの内臓諸器官における化膿性炎症を併発していた. 脳および脊髄よりKlebsiellaが分離された. これらの結果から, 観察された病変が分離菌の感染と関連し, 検索例が敗血症に陥っていたことが示唆された.
  • 田島 誉士, 入江 充洋, 桐沢 力雄, 萩原 克郎, 黒沢 隆, 高橋 清志
    1993 年 55 巻 1 号 p. 145-146
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    肺炎および重度の歯肉炎を呈した5および9か月齢の2頭の子牛が, ウシ白血球粘着異常症(BLAD)と診断された. これらのBLAD子牛とそれぞれの母牛(キャリアー牛)の白血球粘着分子CD18をコードする遺伝子をPCR法および制限酵素処理法により検索した. BLAD牛およびキャリアー牛のCD18をコードするmRNAと健康牛のmRNAのそれぞれ一部をPCR法により増幅し比較したところ, ヒト症例において報告されているようなmRNAの大きさの違いは認められなかった. しかし, ヒト症例において報告されている点突然変異部を含む領域をPCR法で増幅し, TaqIにより制限酵素処理したところ, 切断パターンの明らかな違いが確認された. したがって, ヒト症例の一家系において報告されている点突然変異が, BLADにおいても生じていることが示唆された. 本法は, 変異した遺伝子を持つキャリアー牛の摘発にも有効であると考えられた.
  • 河上 栄一, 平山 澄人, 筒井 敏彦, 小笠 晃
    1993 年 55 巻 1 号 p. 147-148
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    性成熟前後の潜在精巣を有するビーグル5頭および正常ビーグル6頭にLH-RH-analogue (LH-RH-A)を投与し, その後の末梢血中LHおよびtestosterone(T)値を測定した. その結果, LH-RH-A投与後のLHピークは, 性成熟前後の潜在精巣犬および正常犬ともにほぼ同様の値であった. 従って, 潜在精巣犬における下垂体のLH-RHに対する反応性は, 正常犬とほとんど相違ないことが判明した. しかし, 潜在精巣犬の血中Tの最高値は, 正常犬より全般的に低値であった.
  • 杉山 芳宏, 杉山 文博, 八神 健一
    1993 年 55 巻 1 号 p. 149-151
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌのライム(B)病抗体検出法におけるレプトスピラ(L)抗体の影響について検討した. 超音波破砕菌体抗原ELISA(US-ELISA)の結果はIFAと一致したが, 凝集反応ではL抗体と交差反応が認められた. また不活化菌抗原ELISAではL抗体との非特異反応および交差反応が認められた. すなわちUS-ELISAが, L抗体との交差反応性は少なく, イヌのB抗体調査に適することが証明された.
  • 青萩 芳幸, 柴原 壽行, 籠田 勝基
    1993 年 55 巻 1 号 p. 153-154
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1989年1月から1991年2月の間に, 鳥取市内の鮮魚小売店7力所から購入した淡水魚3種類(ゲンゴロウブナ, ドジョウおよびワカサギ)計327匹についてClinostomum complanatumメタセルカリアの寄生状況を調べた. その結果, ゲンゴロウブナ78匹中16匹(20.5%)に本虫のメタセルカリアの寄生を認めた. 陽性魚1匹あたりのメタセルカリア寄生数は1-30隻(平均4.3隻)であった. 今後, 公衆衛生上の見地から淡水魚の生食には本虫に対する注意を払う心要があると思われる.
  • 小笠 晃, 筒井 敏彦, 河上 栄一
    1993 年 55 巻 1 号 p. 155-156
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    離乳後2日の豚4頭と離乳後36日の豚1頭にhCG1,000IUを筋肉内投与したところ, 単胞性あるいは多胞性嚢腫が発生することを認めた. 血中estrogenの産生分泌は低値で変動し, 鈍性発情を呈した. 発情, 排卵を示さなかった豚では, LHの放出が異常であるように思われ, 血中progesteroneは1ng/ml以下の低値で推移した. これらのことから離乳豚に, hCGを投与すると不適当なLH放出が起こり, 卵胞の異常発育や排卵過程の障害により, 卵巣嚢腫への移行が助長されることが示唆された.
  • 滝沢 達也, 山本 雅子, 有嶋 和義, 日柳 政彦, 宗宮 弘明, 江口 保暢
    1993 年 55 巻 1 号 p. 157-160
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    濾胞が形成される前の胎齢15日から, 濾胞が形成された17日のラット胎仔の甲状腺を2日間器官培養後, 電子顕微鏡を用いてその微細構造を観察した. 胎齢15日の甲状腺を培養すると, TSHの添加の有無に関らずコロイドを含む濾胞が形成され, 濾胞細胞には粗面小胞体とゴルジ装置がよく発達していた. すでに濾胞が形成されている胎齢17日の甲状腺をTSHを添加して2日間培養すると, TSH無添加群に比べて粗面小胞体とゴルジ装置が一層よく発達していた. このことから, 甲状腺濾胞の初期形成にはTSHの有無に関らず, 濾胞細胞は自身で発達し, 濾胞形成後の濾胞細胞の発達はTSHによって促進される, と結論される.
  • 中出 哲也, 内田 佳子, 大友 勘十郎
    1993 年 55 巻 1 号 p. 161-167
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    チアノーゼ, 運動不耐性, 心雑音を主徴とした牛3頭の臨床学的ならび病理学的観察を行い, ファロー四徴症の極型と診断した. 2例は肺動脈主幹部が認められない肺動脈閉鎖を伴い, うち1例は左右肺動脈がそれぞれ左右動脈管より分岐, 1例は左動脈管より分岐していた. 残りの1例は盲端に終わる筋性漏斗部の上部に存在する小腔より著しく狭窄した肺動脈幹が起始していたが, 心室との連絡は認められなかった.
  • 長谷川 貴史, 藤井 貢, 深田 孝, 辻 智恵, 藤田 智子, 後藤 義孝, 新城 敏晴, 小川 博之
    1993 年 55 巻 1 号 p. 169-171
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    7歳の雌ビーグル犬が黄色ブドウ球菌による乳腺炎を発症した. 乳腺の腫脹, 白血球数の増加, 血小板パターンの乱れ(大型PLTの増加)を認めた. 臨床症状が改善するまで血小板数の減少傾向と血小板パターンの乱れが続いた. これにはLPSのみならず起炎菌による炎症反応が関与しているものと考えられた. またグラム陽性菌による乳腺炎においても血小板の数とパターンの変動が臨床症状とよく相関することが示唆された.
  • 伊藤 博哉, 内田 郁夫, 関崎 勉, 寺門 誠致
    1993 年 55 巻 1 号 p. 173-175
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Actinobacillus pleuropneumoniaeの遺伝子ライブラリーから溶血性の組換え体が得られた. 組換え体が保有するプラスミドは, 約1kbのDNA断片が挿入されており, クローン化したDNA断片とpBR322由来蛋白との融合蛋白と思われる約21kDaの蛋白をコードしていた. クローン化したDNAの塩基配列は, 既報の溶血素遺伝子とは異なっていた. さらに, 遺伝子バンクに登録された蛋白との間に相同性は認められなかった.
  • 小河 孝, 石橋 和樹, 今村 和彦, 倉重 聖, 畠山 英夫
    1993 年 55 巻 1 号 p. 177-179
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    疾病流行事象の分布には空間的集積性がある. 福岡県における牛流行熱の農家発生数分布は負の二項分布があてはまり, 集積性が認められた. さらにこれを予防液接種率で3群に分割, 検討したところいずれにも集積性が認められたが, 無接種と高接種率群はポアソン分布に近似し, 集団の感受性が一様であることが示唆された. 逆に先の集積性は不十分な予防液接種に起因することを意味していた.
  • 兼子 樹広, 及川 正明, 吉原 豊彦
    1993 年 55 巻 1 号 p. 181-183
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    レース中に骨折した470頭の競走馬の骨折部位を病理学的に検索した. 骨折は四肢の骨に多発(98%)し, 関節内骨折が高率を占めた. 骨折の発症部位に概ね一致して, 過激な運動負荷および乏血性変化としてとらえられる限局性の関節軟骨下骨壊死および骨硬化病変が共通して指摘された. これら病変は剪断負荷および捻転負荷への抵抗力を弱め, 非骨折骨にも多発してみられることから, 競走馬の骨折に対する前駆要因と推測した.
  • 柵木 利昭, 井上 佳子, 柳井 徳磨, 上田 雄幹
    1993 年 55 巻 1 号 p. 185-188
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    約300日齢の2例の産卵鶏に発生した皮膚血管腫について光顕的並びに電顕的に検索した. 光顕的には毛細管性血管腫及び海綿状血管腫病巣に密接する充実性細胞巣を認めた. 電子顕微鏡によって, 充実性増殖を示す未分化な間葉細胞群の中に毛細管性血管腫への移行像を示唆する胞巣状及び管腔状構造を確認した. これらの所見は, 充実性腫瘍細胞巣の未分化な細胞から血管腫様構造が発生することを示唆する.
  • 足立 幸蔵, 河野 宏, 牧村 進
    1993 年 55 巻 1 号 p. 189-190
    発行日: 1993/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    B. rodhaini感染実験を行い, 寄生率及びマウスの脾蔵における抗体産生細胞数(プラーク形成法による)の推移を観察し, 両者の関連性について検討した. 感染後4日目以降, 寄生率が上昇したのに対して, 抗体産生細胞数は減少した. 両者の間に負の相関(p<0.01)がみられ, B. rodhaini感染症においても免疫低下が起ることが明らかとなった.
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