Journal of Veterinary Medical Science
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犬糸状虫駆虫薬投与により増加した犬血清タンパク質の分離と同定
土佐 紀子森松 正美中川 正樹三好 冬内田 英二新山 雅美首藤 文栄斉藤 昌之
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1993 年 55 巻 1 号 p. 27-31

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抄録
成犬に犬糸状虫駆虫薬を投与し, 血清タンパク質をポリアクリルアミドゲル電気泳動法により分析したところ, ある特定のタンパク質画分の増加が見られた. このタンパク質を硫安分画と電気泳動法によって部分的に精製した. SDS-PAGEで分子サイズを求めたところ, 53kDaであった. 更に, 還元条件下でSDS-PAGEを行うと, 17kDaと35kDaの二つのバンドに分かれた. これらの結果から, このタンパク質がハプトグロビンである可能性が示唆されたので, 以下のように確認した. 即ち, 1)このタンパク質はヘモグロビンと結合して複合体を形成した. 2)このタンパク質に対する抗血清は, 別に精製された犬のハプトグロビンと交叉反応性を示した. 3)このタンパク質の二つのサブユニットのN末端部のアミノ酸配列は, イヌのハプトグロビンのそれと一致した. これらの分子性状から, このタンパク質をハプトグロビンと同定した.
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