Journal of Veterinary Medical Science
Online ISSN : 1347-7439
Print ISSN : 0916-7250
ISSN-L : 0916-7250
比濁時間分析法による圧ぺん大麦給与牛の血清と第一胃液中のエンドトキシン濃度の測定
元井 葭子大橋 傳広瀬 昶平松 都宮崎 茂長澤 成吉高橋 淳吉
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 55 巻 1 号 p. 19-25

詳細
抄録

エンドトキシンの新しい測定法である比濁時間分析(ATK)法を用いて, ホルスタイン去勢牛の血清と第一胃液中のエンドトキシン濃度を測定した. このATK法ではβ-グルカンを添加した, エンドトキシンに特異的なLimulus amebocyte lysate (LAL)を用いた. 実験牛は対照普通飼料で飼育後, 圧ぺん大麦の給与割合を徐々に増やしたそれぞれの濃厚飼料区で継続的に飼育された. 血清と第一胃液のエンドトキシン濃度は, 普通飼料給与区に比べて濃厚飼料給与区で高い値を示した. その濃度は圧ぺん大麦の給与割合を60%に増やした20日後に最高値を示した後は徐々に低下し, 変換2カ月後には, 第一胃液のエンドトキシンは普通飼料区の約10倍に, 血清濃度は2~4倍に安定した. 今回の測定では, 生体材料の前処理には水希釈, 加熱法を用いた. エンドトキシン添加による血清と第一胃液上清の測定回収率は120~136%の範囲であった. 測定法の再現性における変動係数は, 血清で10%より低く, 第一胃液ではそれよりやや高かった. また従来から用いられている合成基質法との間には有意な相関が認められた. 以上, エンドトキシンの新しい分析法であるATK法は簡易でしかも精度が高いため, 今後研究面ばかりでなく, 臨床分野での応用価値が高いものと思われた. さらにエンドトキシンの測定はいわゆる穀物多給症候群の発生予察に寄与するものと考えられる.

著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top