最近, 小型純粋犬での乳犬歯晩期残存による歯列異常が増加しており, 本研究ほ乳犬歯晩期残存により生じた永久犬歯の咬合異常に対する外科的矯正の効果を明らかにするために行った. 乳犬歯が晩期残存したことにより歯列異常を起した幼犬55頭について, 歯列異常をそのまま成犬になるまで放置した群(23頭)と, 外科的矯正を行った群(32頭)とに分けて比較した. 歯列異常をそのまま放置しておくと, 73.4%(47/64箇所)に永久犬歯の咬合異状が発生したが, 外科的矯正を行った場合ではわずか3.8%(3/78箇所)の発生しか認められなかった. このことから, 幼犬の乳犬歯晩期残存により生じた歯列異常の外科的矯正は, 犬の臨床において極めて有効な治療法であることがわかった.