抄録
アマオブネ(海産巻貝)とムラサキイガイ(海産二枚貝)の血液細胞はザイモサン粒子および腸炎ビブリオと大腸菌の生菌の存在下でルミノール依存性化学発光を示した. この発光は各々の貝の血漿の添加により促進された. イシマキガイ(汽水産巻貝)の血液細胞は大腸菌の存在下では海産貝類の血液細胞と同程度の発光を示したが, ザイモサン粒子と腸炎ビブリオによる発光は弱く, 血漿による促進効果も弱かった. ヤマトシジミ(汽水産二枚貝)の血液細胞は3種類の刺激因子による発光が認められなかった. 化学発光により測定される汽水産貝類の活性酸素産生能が海産貝類の血液細胞に比較して弱かったことは汽水産貝類による腸炎ビブリオの長期間保菌と関連があるのではないかと考えられる.