1993 年 55 巻 4 号 p. 549-554
ラウス肉腫ウイルスのLTRをプロモーター/エンハンサーとして使用し, マウス肝炎ウイルス(MHV)のヌクレオキャプシドタンパク質mRNAに対するアンチセンスRNAを発現するトランスジェニックマウスを作製した. 作製された5匹のトランスジェニックマウスの内4匹で導入された遺伝子が子孫に伝達されることが示された. また, MHVの標的器官である肝臓や脳を含む各種臓器においてアンチセンスRNAの発現が検出された. 確立された2系統のトランスジェニックマウスの内1系統で, 通常のマウスと比較してMHVの致死的感染に対して抵抗性が示された. これらの結果はウイルス遺伝子に対するアンチセンスRNAの in vivoでの発現がウイルス感染に対して防御的に働くことを示した.