Journal of Veterinary Medical Science
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犬におけるポリN-アセチル-D-グルコサミン(キチン)による組織活性
岡本 芳晴南 三郎松橋 晧指輪 仁之斎本 博之重政 好弘谷川 孝彦田中 吉紀戸倉 清一
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1993 年 55 巻 5 号 p. 739-742

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抄録
イカ甲キチンより精製したポリN-アセチル-D-グルコサミン(キチン)の犬における組織反応を観察するために, 1群にはポリエステル製不織布(NWF)にキチンを含浸させたもの(キチン群)を, 他群にはNWFのみ(対照群)を, 1頭あたり背部皮下4ヶ所に移植した. 移植後2, 4, 8, 18日目に移植片を採材し, 肉眼的ならびに組織学的検索を実施した. キチン群において移植したNWFは漸次器質化され, 18日目には完全に器質化された. またこの時, NWFへの明瞭な血管新生を認めた. 一方, 対照群においては器質化は不完全であり, NWFへの血管新生も認められなかった. 組織学的にはキチン群において移植後2日目に対照群に比較してNWF周囲に単核球および多形核白血球の集簇が顕著であった. またキチン群において移植後4日目にNWF周囲に血管に富んだ結合組織が観察された. しかしながら対照群では, このような所見はこの時期においてはみられなかった. 以上の成績より, キチンはNWFへの単核球および多形核白血球の遊走を高め, 血管新生を伴うNWFの器質化を促進させることがわかった.
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© 社団法人 日本獣医学会
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