Journal of Veterinary Medical Science
Online ISSN : 1347-7439
Print ISSN : 0916-7250
ISSN-L : 0916-7250
ポリN-アセチル-D-グルコサミン(キチン)の獣医臨床への応用
岡本 芳晴南 三郎松橋 晧指輪 仁之斎本 博之重政 好弘谷川 孝彦田中 吉紀戸倉 清一
著者情報
ジャーナル フリー

1993 年 55 巻 5 号 p. 743-747

詳細
抄録
犬72頭, 牛38頭, 猫33頭, 兎2頭, 猿1頭および馬1頭の計147頭に対して, キチンをスポンジ状, 綿状およびフレーク状に加工したもの(キチン-スポンジ, キチン-コットンおよびキチン-フレーク), キチンを含浸させたポリエステル製不織布(キチン-NWF)を種々な外傷, 膿瘍, 手術時の創腔およびヘルニア整復に適用した. キチン-スポンジを手術時の創腔30例の充填材, 外傷25例, 膿瘍31例の組織欠損部充填材または創面被覆材として計86例に使用した結果, 77例(89.5%)が良好な治癒経過を示した. 特に腫瘍摘出部に生じた創腔20例の充填材として使用したところ, 1例において術後1ケ月目に再発したが, 19例においては術後3~24力月経過するも再発はみられなかった. キチン-NWFを外傷2例および膿瘍12例の組織欠損部充填材または創面被覆材, 手術時の創腔6例の充填材, さらには臍ヘルニア12例のヘルニア輪縫合部の補強材として計32例に使用した結果, 28例(87.5%)に治癒あるいは再発防止効果がみられた. キチン-コットンを外傷8例および膿瘍12例の計20例の組織欠損部充填材または創面被覆材として使用した結果, 18例(90.0%)が良好な治癒経過をたどった. キチン-フレークを外傷9例の組織欠損部充填材または創面被覆材として使用した結果, 8例(88.9%)が治癒した. キチン製材を使用した全例において, 副作用はみられなかった.
著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top