抄録
牛を無麻酔下で横臥または仰臥保定した場合の循環器系および呼吸器系に対する影響ならびにストレスの指標である血漿コルチゾール値の変化を調べるために, 立位-右側横臥位-仰臥位-石側横臥位-立位の順に体位変換を行った. 体位変換にともなって血漿コルチゾール値は漸次上昇し, 仰臥保定の時点で対照値の3倍以上にまで有意(P<0.001)に上昇した. 動脈血の酸素分圧(PaO2)および酸素飽和度(O2 sat)は, 体位変換にともなって有意な低下(P<0.001)を示し, その程度は仰臥保定で強く現れた. 心拍数, 平均動脈圧および中心静脈圧の変化は軽微なものであった. 無麻酔下における横臥および仰臥保定は, 呼吸機能の障害に加え血漿コルチゾール値の上昇を引き起こす強いストレスの原因になることが明らかとなった.