Journal of Veterinary Medical Science
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56 巻, 1 号
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  • 水野 豊香, 間 弘子, 原 秀昭, 藤永 徹, 萩尾 光美
    1994 年 56 巻 1 号 p. 1-5
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    色素希釈法, 熱希釈法, およびパルスドップラー心エコー法, の3法を用いて, 馬の麻酔前ならびに全身麻酔下での心拍出量を測定し, 比較検討した. 熱希釈法は他の2法と比べて全般的に若干高い測定値を示したが, 3法の麻酔下における測定値はいずれも同様の推移を示した. 色素希釈法と熱希釈法(r=0.87), 色素希釈法とパルスドップラー心エコー法(r=0.89)そして, 熱希釈法とパルスドップラー心エコー法との間(r=0.88)にそれぞれ有意な相関が見られた(P<0.01). 以上の結果から, 今回実施した熱希釈法およびパルスドップラー心エコー法は色素希釈法と同様に馬の心拍出量を評価する方法として応用可能な測定方法であることが明らかになった. さらに, パルスドップラー心エコー法は無侵襲でかつ継続的に測定可能な点で勝れた方法と考えられた.
  • 眞鍋 昇, 東 泰好, 古屋 良宏, 永野 伸郎, 宮本 元
    1994 年 56 巻 1 号 p. 7-13
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ELISA法の原理を応用し, ラット骨格筋凍結組織切片に含まれる速ミオシン量を免疫組織化学的に定量する方法を新たに開発した. 冷アセトン(-80℃, 5分間)にて固定した長趾伸筋およびヒラメ筋の凍結組織切片上の抗原と結合した抗速ミオシン・マウスモノクローナル抗体の量をフェノール・4-アミノアンチピリンを基質として酵素免疫化学的に定量することで切片上の速ミオシン量を算出した. 続いて同一切片の総蛋白量を色素法にて測定し, 速ミオシン量をmg/g総蛋白として表した. 本法にて測定可能な切片の最小面積は5mm2, 最適厚は10μmであった. ラットの長趾伸筋およびヒラメ筋の速ミオシン量は各々185.6±6.1および17.5±2.4mg/gであった. 本法は生化学的測定法(最小200 mg必要)よりはるかに微量の標本にて速ミオシンを定量でき, 酵素組織化学的および計量形態学的方法による筋線維型構成比および筋線維断面積の計測より手技が簡便でかつ定量性に優れている. またこれらによる結果との間には高い相関が認められた. 本法は骨格筋の生理学的特性の定量的解析の手段として有用である.
  • 水野 信哉, 藤永 徹, 萩尾 光美
    1994 年 56 巻 1 号 p. 15-20
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌ可移植性性器肉腫(CTVS)退縮犬由来の感作末梢血リンパ球(PBL)は無処置犬由来の未感作PBLと比較するとCTVS細胞に対し, 高い細胞傷害活性を示した.感作犬由来PBLが示した細胞傷害性は抗主要組織適合性遺伝子座(MHC)クラスn抗原マウスモノクローナル抗体および抗イヌ胸腺細胞家兎血清の添加によって有意に阻害された. 未感作あるいは感作PBLから誘導したリンホカイン活性化キラー細胞は感作PBL と同程度の細胞傷害活性を示した. これらのキラー活性もまた抗イヌ胸腺細胞家兎血清の添加によって抑制された. 免疫組織化学的検査の結果, MHCクラスn抗原はCTVS 細胞, 胸腺細胞抗原は腫蕩組織内浸潤リンパ球の膜表面上に表現されていることが明らかとなった. 以上の成績から, 腫蕩退行に関与するリンパ球はT細胞と考えられた. これらの細胞は腫優退縮時にCTVS細胞膜表面に発現したMHCクラスn抗原を認識している可能性が示された.
  • 土屋 亮, 藤瀬 浩, 西薗 一也, 芦田 佳典, 山田 隆紹, 小林 好作
    1994 年 56 巻 1 号 p. 21-26
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    肝特異性の極めて高いことが知られているornithine carbamoyl transferase (OCT)活性の測定法を, 牛血清に適するように改良した. 反応液中のcarbamoyl phosphate濃度を60mMに増量し, りん酸緩衝液をpH7.2にした. この改良により測定感度が向上した. 測定値の信頼性も確認され, 日差再現性は高OCT活性血清で変動係数7.9%, 正常牛血清で14.8%であった. 活性は-20℃で約2ヵ月, -80℃で少なくとも6ヵ月間は安定だった. 7戸の農家で飼育されている164頭の乳牛あるいは育成牛から採取した血清を用いて, OCT活性と, その他, アスパルテートアミノトランスフェラーゼ, ガンマグルタミルトランスペプチターゼなどいくつかの生化学成分を測定した. この調査で得られた牛血清OCT活性の正常範囲は9.2~25.1U/l (平均±2SD)であった. 実際に, 他の生化学検査項目の成績から何らかの肝疾患の存在が示唆された1農家の牛群で, 最も高いOCT活性平均値が得られた. 本改良法で得られるOCT活性は牛の肝疾患の診断指標として非常に有用と思われた.
  • 有川 二郎, 伊藤 美樹子, 姚 健勝, 苅和 宏明, 高島 郁夫, 橋本 信夫
    1994 年 56 巻 1 号 p. 27-32
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ドブネズミにおけるハンタウイルス感染の流行病学的研究を, 北海道内の1ごみ埋め立て処分場に棲息する感染ドブネズミ集団を対象に実施した. 1983年から1988年まで本処分場で合計11回の調査を継続し, 合計279例のドブネズミを捕獲し, 血清を得た. 抗体陽性例(IFA抗体価1:32倍以上)はいずれの調査時にも得られ, 陽性例は6ヵ月齢以上の成熟例では128例中94例(73.4%)で, 幼若例での151例中23例(15.2%)に比べ有意に高い, 明瞭な年齢依存性の感染が確認された, 抗体陽性ドブネズミの肺組織から1983年には1株(KI-83-262), 1985年には2株(KI-85-1, -2), 1988年には4株(KI-88-4, -11, -15, -24)のハンタウイルスが分離された. 分離ウイルスの感染性は, ウイルス分離例から得られた血清によってin vitroの試験で中和されるにもかかわらず, それらの抗原性は, 分離年次にかかわらず免疫血清や単クローン性抗体を用いたIFA法では全く, また中和試験でもわずかしか変化は認められなかった. 以上の成績からハンタウイルスはドブネズミ中で抗原性を変化させずに持続感染していることが明らかになった.
  • Jurado Susana B., 九郎丸 正道, 林 良博
    1994 年 56 巻 1 号 p. 33-38
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    反芻類セルトリ細胞の共通した形態学的特徴を探ることを目的として, シバヤギ精巣セルトリ細胞の微細形態について, 光顕, 電顕を用いて検討した. モルトリ細胞の基底部においては, 不規則な形状の核が基底膜に近接して認められた. 核の周囲は多数の中間径フィラメントにおおわれており, 核内には多くの小肪とリボゾーム様構造からなる特徴的なmultivesicular nuclear bodyが観察された. この基底部には, 散在性に分布する卵円形のミトコンドリア, 著明に発達した層状滑面小肪体, 大小の脂肪滴, ライソゾームなど豊富な細胞内小器官が存在していた. ゴルジ装置は核上部においてのみ確認された. また基底膜の凹凸は乏しく, ここに瘤状の突起は認められなかった. 一方, セルトリ細胞の中位部, 管腔部では, 細胞の縦軸と平行な方向に配列した細長いミトコンドリアおよび微小管が観察された. 核の伸長が進行中の若い精子細胞の頭部は層状の滑面小肪体におおわれていたが, 成熟期精子細胞の頭部周囲ではこの滑面小肪体は消失していた. セルトリ細胞間あるいはセルトリ細胞-精子細胞間のectoplasmic specialization におけるマイクロフィラメント束は規則的に配列していた. 今回の観察結果から, 核内のmultivesicular nuclear bodyと層状滑面小肪体の2つが, 反芻類セルトリ細胞に共通した特異構造であることが推測された.
  • 水野 豊香, 間 弘子, 原 秀昭, 藤永 徹
    1994 年 56 巻 1 号 p. 39-44
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    間歇的陽圧換気(IPPV)法は全身麻酔における有用な呼吸管理方法であるが, 循環系を抑制することが知られている. そこでハロセン麻酔下の各群5例の雌馬を用い, 自発呼吸群, 最大吸気圧20 cmH2O(CV20)群および25 cmH2O(CV25)群の3群間における心拍出量の変化を120分間比較検討した. CV20およびCV25群の換気条件において血液ガス分析値は概ね適正範囲内に維持されたが, 各群における心拍出量は経時的な減少傾向を示し, CV20およびCV25群では麻酔開始後105分より麻酔前値の50%以下に減少した. また, CV25群の心拍出量は45, 90および105分においてSV群に対して有意に減少(P<0.05)したが, CV20群ではすべての測定時間において有意な差は認めらなかった. これらのことから, 長時間のIPPVの適応においては心拍出量の減少を改善する必要のあることが示唆された. また, 臨床応用における最大吸気圧は, 炭酸ガス分圧は若干高い値を示したものの心拍出量の減少がCV25群に比べ軽度であったCV20群, つまり最大吸気圧20 cmH2O程度が望ましいと思われた.
  • 猪熊 壽, Kerlin Roy L., Kemp David H., Willadsen Peter
    1994 年 56 巻 1 号 p. 45-49
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ロゼット法, セファローズビーズ法及び免疫蛍光法の3つの方法により牛末梢血リンパ球(PBL)におけるヒスタミンレセプター(HR)を検出した. 免疫蛍光法は他の2つの方法に比べてより安定的で定量的な方法と考えられた. 本法により, PBL, 末梢血B細胞分画及び末梢血T細胞分画はそれぞれ18.4%, 52.8%, 9.3%のHRを保有していることが明らかとなった. また, H1レセプター拮抗薬及びH2レセプター拮抗薬を用いた阻止試験により, PBLはH1及びH2の両レセプターを保有していることが示唆された. さらに, PBLのPHAに対する反応は, 培養系にヒスタミンを添加することにより抑制されたが, この抑制効果は, H2レセプター拮抗薬により減少した. PBLの機能は, リンパ球上のH2レセプターを介して調整される可能性があると考えられた.
  • 新井 克彦, 兼子 辰治, 直井 昌之, 鈴木 馨, 丸尾 幸嗣, 上原 孝吉
    1994 年 56 巻 1 号 p. 51-58
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌ扁平上皮癌より抽出した中間径フィラメント・サイトケラチン画分を抗原として作製したモノクローナル抗体・20クローンの中から2種類のモノクローナル抗体を選択し, イヌ乳腺腫瘍について免疫組織化学的に解析した. 得られたモノクローナル抗体の内, MAb32は表皮全層および乳腺筋上皮細胞に陽性反応を示すが, 腺房, 腺管などの乳腺上皮細胞には陰性であった. もう一つの抗体, MAb24は表皮基底細胞層のみに反応し, 正常乳腺組織では抗体陽性細胞は検出されなかった. これらのモノクローナル抗体は市販の精製サイトケラチン(Sigma社)を抗原としたELISAにより, サイトケラチンに対する抗体であることが確認された. 等電点電気泳動を組み合わせた二次元ゲル電気泳動とイムノブロットの解析から, MAb24の認識するサイトケラチン・サブユニットは分子量57キロダルトン(kDa), 等電点(pI) 5.1のI型サイトケラチンに属することが判明した. 良性の乳管内乳頭腫では, 筋上皮細胞に加えほとんど全ての腫瘍細胞がMAb32陽性となったが, MAb24陽性細胞は全く観察されなかった. 一方, 乳管癌では多くの腫瘍細胞がMAb32に陽性を示し, さらにMAb24陽性細胞が間質への浸潤を示す部位に検出された. 以上の免疫組織化学的解析の結果, 57kDa, pI5.1のI型サイトケラチンは, イヌ乳腺腫瘍における悪性転換(浸潤性)の分子マーカーとなることが示唆され, また, これら2種類の抗体は腫瘍化に伴うサイトケラチン発現の変化を解析するために有用であると考えられた.
  • 井上 武, 中小路 宗俊, 岩田 祐之
    1994 年 56 巻 1 号 p. 59-63
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Fusobacterium necrophorum実験感染マウスにおける遅延型過敏症の誘導を知るために足蹠反応を試みた. F. necrophorum生菌のマウス腹腔内投与により感作を行った. 本反応では感作後足蹠反応を惹起するには同一菌の生菌より加熱死菌のほうが良好である. 惹起注射後48時間に測定するのが適切であった. 感作菌量は105, 106のオーダーで差が認められなかった. 強い反応は感作後4日と14日に認められた. この反応には特異性が認められ, 脾臓細胞が伝達出来た. 以上の結果からF. necrophorumはマウスに遅延型過敏症を誘導出来ることが認められた.
  • 松元 光春, 九郎丸 正道, 林 良博, 西中川 駿, 大塚 閏一
    1994 年 56 巻 1 号 p. 65-70
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    処女, 妊娠, 泌乳および離乳期のマウス乳腺の毛細血管内皮細胞における透過性がどのように変化するのかを知る目的で, フェリチンをトレーサーとして, 透過電顕ならびに形態計測を用いて検索した. 処女期では投与後1~5分に飲小胞および被覆小胞内に, 10分後に血管周囲腔に粒子がみられた. また, いずれの時間においても内皮細胞間の接合部に粒子は認められなかった. 妊娠10日目では5分後に, 妊娠18日目では3分後に血管周囲腔に粒子がみられた. 泌乳5および10日目では, 1分後にはすでに血管周囲腔に多数の粒子がみられ, さらに腺胞上皮細胞の基底陥入内に取り込まれているものもみられた. しかし, 泌乳20日目になると, フェリチンで標識された小胞数は急激に減少した. 離乳期のフェリチンの透過性は処女期と類似していた. 以上の観察から乳腺の毛細血管は泌乳初期から中期にかけて飲小胞による透過性を著しく増大していることが示唆された.
  • 近藤 元紀, 鷲巣 誠, 松倉 克仁, 小林 圀仁, 本好 茂一, 宮坂 勝之, 高田 正雄
    1994 年 56 巻 1 号 p. 71-76
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    肺血管抵抗分布を求めるために, 肺血管を肺動脈領域, 中間領域, 肺静脈領域の三つの区分に分けた五要素集中定数モデルを作成した. 単離犬肺濯灌標本で肺動脈あるいは肺静脈の閉塞法を行い, このモデルの妥当性と各区分の解剖学的な対応性を評価した. 肺動脈を閉塞すると肺動脈圧は急激に下降し, その後緩徐にかつ指数関数的に減少した. 肺静脈を閉塞すると肺静脈圧は急激に上昇し, その後緩徐にかつ指数関数的に増加した. コンピュータ・シミュレーションから得られた理論的圧波形は, 実験的に得られた波形と類似した. セロトニンは肺動脈領域の圧較差(delta Pa)を増加させ, ヒスタミンは肺静脈領域の圧較差(delta Pv)を増加させた. どちらの薬剤も中間領域の圧較差(delta Pm)を変化させなかった. 以上の結果から, 五要素集中定数モデルは肺血管抵抗分布の解析に有用であり, delta Pa, delta Pm, そしてdelta Pvはそれぞれ解剖学的に肺動脈領域, 肺胞血管領域, そして肺静脈領域の血管抵抗分布に対応することが示唆された.
  • 森田 幸雄, 丸山 総一, 勝部 泰次
    1994 年 56 巻 1 号 p. 77-81
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1982~1983年の間に, と畜場搬入豚の結核様結節病変から分離された116株のMycobacterium avium-intracellulare complexについてSchaeferらの血清型別およびBrennan らの薄層クロマトグラフィーによる化学的血清型別を実施したところ, 鳥型結核菌に分類される血清型1型が腸間膜リンパ節病変から1株検出された. 豚由来血清型1型(豚1型株)と血清型別用標準1型株(標準1型株)の約2.0×106 CFUをそれぞれ鶏(白色レグホン, 雌, 6週齢)の翼静脈内に投与したところ, いずれの鶏においても, 肝臓, 脾蔵および腎臓の腫大が認められた. また, 肝臓, 脾蔵および肺では類上皮細胞と偽好酸球による肉芽腫性病変が, 膵臓と腎臓ではリンパ球の集簇による炎症病変が認められた. 投与菌は肝臓および脾蔵から103~106 CFU/gが回収された. また, 標準1型株の投与鶏の肺, 腎臓, 脾蔵および胆汁から少量菌(300CFU/g, ml以下)が検出された. 以上から, わが国の豚にもM. avium血清型1型が分布するとともに, 豚1型株は鶏に対して標準1型株と同様な病原性を有することが証明された.
  • 笹生 好久, 岩崎 仁, 八十島 昭, 高島 紘毅, 守田 隆志
    1994 年 56 巻 1 号 p. 83-89
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    0.5%コレステロールと3%大豆油添加食(大豆油食)あるいは0.5%コレステロールと6%ピーナツ油添加食(ピーナツ油食)という2種類の高脂肪食で家兎を14週間飼育し, 両高脂肪食の動脈硬化発症性を比較した. 大豆油食はピーナツ油食に比べマイルドな大動脈病変が形成され死亡例がなかったことから, 抗動脈硬化薬の薬効評価に適していると考えられた. この大豆油食飼育による家兎動脈硬化症モデルを用い, 新規カルシウム拮抗薬クレンチアゼムの抗動脈硬化作用を検討した. クレンチアゼムの30 mg/kg/日, 12週間経口投与は, 血清脂質レベルに影響せずに, 弓部および胸部大動脈内腔面の粥腫面積と大動脈壁のコラーゲン含量を減少させたが, 冠動脈の粥腫病変に対しては明らかな作用を示さなかった.
  • 中村 裕之, 倉田 昌明, 春田 耕一, 武田 敬介
    1994 年 56 巻 1 号 p. 91-96
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イオン性造影剤であるdiatrizoateと非イオン性造影剤であるioxilan, iohexolおよびiopamidolを用いてビーグル犬の脳血管, 四肢血管ならびに左心室大動脈系を造影し, 各造影剤の循環動態に対する影響とそのX線造影能を比較検討した. 造影時には降圧, 徐脈, 頻脈, 左室内圧およびdP/dt低下, P-QならびにQ-T間隔の延長がみられたが, diatrizoateの作用は全ての造影領域で非イオン性造影剤の作用を上回っていた. 加えてdiatrizoateでは不整脈の発現や血液の流動学的特性に著明な変化が認められた. これら造影剤による循環動態の変化は主に造影剤の浸透圧, 粘度に由来するものの, 一部イオン性添加物の影響も関与していると推察された. 各造影剤のX線造影能はほぼ同等であったが, 脳血管造影ではヨード含量が少ないにも拘らずioxilanとiohexolが優れた造影効果を示した. これらの成績から全身状態に問題のある動物の血管造影に際しては, 循環系に対する影響の少ない造影剤, すなわち低浸透圧を特徴とする非イオン性造影剤が有用であると考えられた.
  • 佐瀬 孝一, 木ノ下 千佳子, 芝 文彦, 芳賀 嘉久, 須藤 忠, 橋本 和典
    1994 年 56 巻 1 号 p. 97-102
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Actinobacillus pleuropneumoniae(APP)血清型1型菌及び2型菌にそれぞれ血清型特異的なモノクローナル抗体(MoAb)を作製し, 血清型特異抗原の性状解析を行うとともに, これらのMoAbを用いて受身免疫したマウスの防御能について検討した. SDS-PAGE及びウエスタン・ブロッテイングによる抗原分析の結果, APP血清型1型菌特異MoAb H1-18及び2型菌特異MoAb H22-7はそれぞれの血清型菌の持つリポ多糖のO-抗原部分を認識していた. ddYマウスにこれらのMoAbを静脈内, 腹腔内あるいは皮下の経路で投与し, 投与後24時間または48時間にそれぞれのMoAbに対する血清型菌で攻撃した. 受身免疫マウスはいずれの経路の投与の場合にも高度の防御能を示した. また, 各MoAbを腹腔内投与したマウスの1型菌及び2型菌攻撃による交差防御試験で, 免疫マウスは同一血清型菌の攻撃にのみ著明な感染防御を示した. しかし, APP 1~12型菌の菌体内共通タンパクを認識するH1-9及びH3-2 MoAbを投与したマウスは感染防御能を発現しなかった. 本研究の結果, APPのリポ多糖は血清型特異性を示すこと, 及び同一血清型菌の感染防御抗原の一部であることが示された.
  • 山下 和人, 藤永 徹, 萩尾 光美, 宮本 徹, 泉澤 康晴, 小谷 忠生
    1994 年 56 巻 1 号 p. 103-107
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    イヌ血清インターロイキン(IL)-1, IL-6, および腫瘍壊死因子(TNF)様活性をそれぞれ, ヒトメラノーマA375S1, IL-6依存性マウスハイブリドーマMH60.BSF2, およびWEHI 164マウス肉腫subclone 28-4細胞を用いた生物学的測定法により検討した. 血清IL-1様活性はリポポリサッカライドを静脈内投与してエンドトキシンショックを引き起こしたイヌで, 血清IL-6様活性および血清TNF様活性はエンドトキシンシヨック下およびテレピン油を筋肉内に投与して局所炎症を引き起こしたイヌで検出された. エンドトキシンショック下の血清中のIL-1様活性は, メディウムあるいは処置前血清による希釈で低下したが, 処置前血清では高希釈倍率においてIL-1様活性が保持される傾向にあった. TNF様活性はいずれの希釈においても同様に低下した. これに対し, IL-6様活性は低希釈倍率では抑制された. IL-6様活性の抑制を最小限にするためには, エンドトキシンショック下の血清を180倍, 局所炎症下の血清を60倍にメディウムで希釈する必要があった. 血清IL-6様活性は, 抗マウスIL-6レセプター抗体で中和された. 血清TNF様活性は, 抗マウスTNFαウサギ血清で中和された. しかしながら, 血清IL-1様活性は, 抗マウスおよび抗ヒトIL-1ウサギ血清では中和されなかった.
  • 深水 昭吉, 上原 小百合, 波多江 利久, 田村 功一, 渡辺 研, 杉山 文博, 村上 和雄
    1994 年 56 巻 1 号 p. 109-114
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    レニン・アンギオテンシン系は, 哺乳類において血圧や電解質のバランス維持に重要な役割を果たしている. 酵素レニンはその主要産生組織である腎臓の他に, 脳, 脳下垂体, 卵巣, 子宮, 精巣, 胎盤, 心臓, 副腎や顎下腺での発現が分子生物学的手法で確かめられてきた. またレニン遺伝子の発現制御の研究は, 胎盤や顎下腺において展開されてきたが, 肝臓に関してはほとんど解析が進んでいなかった. そこで本研究は, レニン遺伝子の肝臓における発現調節のメカニズムを明らかにする第一歩として, RNaseプロテクション法を用いたmRNAの蓄積レベルとDNAのトランスフェクションを用いたプロモーター解析法の一つであるCATアッセイでレニン遺伝子の種特異的な発現を比較検討した. その結果, レニンmRNAはラットの肝臓だけでその蓄積が同定され, マウスやヒトの肝臓では確認されなかった. またCATアッセイの結果, トランスフェクションした肝癌由来の細胞株であるHepG2においてラットのレニンプロモーターだけがCAT遺伝子発現を誘導したが, マウスやヒトのレニンプロモーターは機能しなかった. これらの結果は, 肝臓におけるレニン遺伝子の種特異的な発現がプロモーターの特異性に依存していることを示唆している.
  • 工藤 忠明, 竹内 茂, 山添 和明, 圓山 八十一
    1994 年 56 巻 1 号 p. 115-119
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    下顎の第二前臼歯より前方を切断する犬の下顎体吻側切除術において, 補填群には遊離左右下顎体をプレート固定し, 骨切端付近の左右下顎体間隙にhydroxyapatiteとtricalcium phosphateよりなるバイオセラミックス材(セラタイト)を補填した. 対照群としてはプレート固定のみ(固定群), および術後無処置(無処置群)の2群とした. 咀嚼機能不全は補填群で観察されなかったが, 固定群ではドッグフードをウェットタイプよりドライタイプに変更した4週目に観察され, 無処置群ではドッグフードのタイプに関係なく6週まで観察された. X線および組織学的観察において, 補填群は術後12週以後に左右下顎体骨切端間隙に骨性癒合が認められたが, 固定群と無処置群では術後16週においても観察されなかった. この結果は, 下顎体切断術において遊離下顎体のプレート固定に併用したセラタイト補填が遊離下顎体の骨切端間の空間を狭め, これがため新生骨が間隙へ早期に充填され咀嚼機能もより早く快復したと考えられた.
  • 杉井 俊二
    1994 年 56 巻 1 号 p. 121-124
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウシ血清中のマンナン結合蛋白質およびサルモネラRa型菌結合蛋白質を分離, 精製し, 両血清蛋白質を比較した. 還元下のSDS-PAGE電気泳動では, 精製両蛋白質は分子量33,000のメジャーバンドと数本の薄いバンドとして検出された. また抗ウシ血清マンナン結合蛋白質を用いたゲル内沈降反応, ウエスタンブロット法の結果から, 両蛋白質のメジャーバンドが抗原的に共通であることが判った. 以上の成績から, サルモネラRa型菌結合蛋白質はウシ血清中のマンナン結合蛋白質の一つである可能性が示唆された.
  • 中川 紀子, 森松 正美, 樅木 勝巳, 中辻 浩喜, 首藤 文栄, 斉藤 昌之
    1994 年 56 巻 1 号 p. 125-129
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウシ肝細胞を分離・培養し, 代謝特性を調べた. 肝細胞は, ウシ肝臓の尾状突起に0.25mM EGTAと0.05%コラゲナーゼを灌流して分離した. 細胞の生存率は70-92%で, 収率は0.1-3.6×107個/g肝臓だった. 分離肝細胞をウイリアムスE培地で培養したところ, 3時間後に伸展が始まり, 24時間後には単層を形成し, この単層は6日間維持された. 肝特異的な代謝機能の一つであるアルブミンの合成・分泌について, 細胞を[35S]-メチオニン存在下で培養しその上清を免疫沈降して分析したところ, 分離直後の肝細胞では低かったが培養1~3日後には増加し6日後には再び減少した. さらに, エピネフリンによって活性化されるグリコーゲン分解を, 培養液中に放出されたグルコース量で調べたところ, アルブミンの分泌と同様に, 培養1~3日後には増加したが6日後には減少した. この様に, 分離した肝細胞を培養すると, 肝特異的な機能であるアルブミン合成とグリコーゲン分解能が, 数日間保持されており, ウシの肝機能を細胞・分子レベルで研究するのに有用と考えられる.
  • 多川 政弘, 岡野 昇三, 左向 敏紀, 織間 博光, Steffey Eugene P.
    1994 年 56 巻 1 号 p. 131-134
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    牛を無麻酔下で横臥または仰臥保定した場合の循環器系および呼吸器系に対する影響ならびにストレスの指標である血漿コルチゾール値の変化を調べるために, 立位-右側横臥位-仰臥位-石側横臥位-立位の順に体位変換を行った. 体位変換にともなって血漿コルチゾール値は漸次上昇し, 仰臥保定の時点で対照値の3倍以上にまで有意(P<0.001)に上昇した. 動脈血の酸素分圧(PaO2)および酸素飽和度(O2 sat)は, 体位変換にともなって有意な低下(P<0.001)を示し, その程度は仰臥保定で強く現れた. 心拍数, 平均動脈圧および中心静脈圧の変化は軽微なものであった. 無麻酔下における横臥および仰臥保定は, 呼吸機能の障害に加え血漿コルチゾール値の上昇を引き起こす強いストレスの原因になることが明らかとなった.
  • 田中 聡, 梶 義則, 谷山 弘行, 松川 清, 落合 謙爾, 板倉 智敏
    1994 年 56 巻 1 号 p. 135-137
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    出生時より持続性の下痢症および低α-グロブリン血症を示した子馬46日齢に, 典型的なPneumocystis carinii肺炎が認められた. この原虫の特徴はグロコット染色, 走査並びに透過電顕により確認された. 本例は免疫不全を示唆する組織病変は有していなかった. しかし本例は, 母馬が分娩時に免疫介在性血小板減少症のため出血性ショックで死亡したため, 正常な母乳を摂取することができなかった. この状態が誘因となって, 本肺炎が引き起こされたものと考えられた.
  • 丸山 総一, 新野 猛, 山許 和昭, 勝部 泰次
    1994 年 56 巻 1 号 p. 139-141
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    14週齢の雌の白色レグホン種に犬回虫感染子虫包蔵卵1,500個を経口投与し, 投与1日目から50日目まで肝臓, 心臓, 脾臓, 脳, 筋肉(ササミ, 胸筋, 脚筋)の幼虫分布状況を調べるとともに, 肝臓の病理組織学的検討を行った. 幼虫寄生数は, ササミの0~132隻, 胸筋の0~10隻, 脚筋の4~30隻, 肝臓の40~192隻, 心臓の0~4隻, 脾臓の0~2隻, 脳の0~1隻であった. 投与第6日以降の肝臓表面に, 小数の微細な白斑が観察された. 組織学的には, リンパ球, 好酸性顆粒球からなる肉芽腫性結節が多数観察され, 病変は時間の経過とともに重度になる傾向にあった.
  • 杉井 俊二, 廣田 好和
    1994 年 56 巻 1 号 p. 143-145
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    正常な成鶏から分離した血清を出発材料にして, 免疫グロブリン以外のCa2+依存性アガロース結合蛋白質を分離, 精製した. 精製蛋白質はゲル濾過では分子量146,000の位置に溶出された. SDS-ポリアクリルアミド電気泳動(SDS-PAGE)解析では, 非還元条件下で分子量39,000の1本の蛋白質バンド, 還元条件下で分子量41,000の1本の蛋白質バンドを示した. これらの成績から, 鶏血清中のCa2+依存性アガロース結合蛋白質はサブユニットが非共有結合により会合した分子であると考えられる.
  • 眞鍋 昇, 古屋 良宏, 永野 伸郎, 宮本 元
    1994 年 56 巻 1 号 p. 147-150
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ELISA法の原理を応用し, ラット腎凍結組織切片に含まれるI型コラーゲン量を免疫組織化学的に定量した. 切片上の抗原と結合した抗I型コラーゲン抗体を定量することでI型コラーゲン量を算出した後, 同一切片の総蛋白量を色素法にて測定してI型コラーゲン量をmg/g総蛋白として表した. 切片の最小面積は5 mm2, 最適厚は10μmであった. ラット腎のI型コラーゲン量は3.02±0.12mg/gであった. 本法は腎疾患の診断に有用である.
  • 和田 好洋, 中澤 宗生, 久保 正法
    1994 年 56 巻 1 号 p. 151-152
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    19ヵ月齢のホルスタイン雌牛が粘血便を呈し, 予後不良のため鑑定殺された. 剖検では, 結腸は血様の粘液を入れ, 粘膜に点状出血が認められた. 病理組織学的及び電顕的検査では, 結腸に腸管接着性微絨毛消滅性大腸菌(AEEC)感染の所見が認められ, この免疫組織化学的検査では, 大腸菌O群15血清に陽性を示す菌体が認められた. 今回の症例から, 成牛においてもAEECの感染による下痢が起こることが示唆された.
  • 森友 靖生, 古賀 脩, 宮本 元
    1994 年 56 巻 1 号 p. 153-155
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種子牛の片側性無眼球症を形態学的に検索した. 左眼球は小嚢胞状の痕跡となり, 頭蓋底の眼窩部に形成された欠損孔を介して脳硬膜と癒着していた. また, その部分では左大脳半球に孔脳症を認めた. 組織学的には色素上皮細胞が眼球痕跡から脳硬膜に接した大脳皮質の神経組織内まで連続して認められた. これらの特徴的変化は胎生初期に眼杯外板と未分化な胎仔終脳の部分的な癒合を示唆する変化と考えられた.
  • 柵木 利昭, 工藤 忠明, 河田 正史, 柳井 徳磨, 上田 雄幹
    1994 年 56 巻 1 号 p. 157-159
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    黒毛和種, 雄, 3歳牛の下顎切歯部より生じた歯原性腫瘍を病理学的に検索した. 肉眼的及びX線学的に腫瘍は充実性を示し, 不規則な線状の硬組織を少量含有していた. 組織学的には, エナメル上皮線維腫との鑑別が必要な腫瘍であったが, エナメル質及び象牙質の形成が認められ, エナメル上皮線維歯牙腫と診断された. X線学的及び組織学的に左第四永久切歯を欠いており, この腫瘍は左第四永久切歯の歯胚由来が強く示唆された.
  • 西 理佳子, 村上 昇, 丸本 信之, 那須 哲夫, 黒田 治門, 江藤 禎一
    1994 年 56 巻 1 号 p. 161-163
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    明暗条件下及び恒常暗下で飼育されたラットから視交叉上核神経細胞を3時間間隔で調整し, 蛋白質合成を調べた. その結果, 64-kDaの蛋白質が時刻依存性に合成されることが判明した. 恒常暗下でのそれらのピーク時(CT6とCT21)は蛋白合成阻害薬のアニソミシンや光パルスで時計が前進する時刻にほぼ等しい. このことから, この視交叉上核で合成される64-kDa蛋白質は時計機構に関係しているかも知れない.
  • 山本 欣郎, 阿閉 泰郎, 喜多 功, 鈴木 義孝
    1994 年 56 巻 1 号 p. 165-166
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1979年から1993年までの14年間, 法的許可のもとに捕殺されたニホンカモシカ妊娠個体2,138例のうち1例に浸漬胎仔を認めた. 残存する胎仔の推定体長と体表全体を覆う被毛から, 妊娠満期に至った後死亡したものと推察される. また, 捕獲月日が12月20日であることは, この胎仔の妊娠は前年の秋に成立していたものと考えられる. 子宮内膜上皮は重層扁平上皮化生を示し, 上皮下の結合組織に巨細胞の出現を伴う炎症性細胞浸潤が認められた.
  • 山本 欣郎, 北村 廷夫, 山田 純三, 山下 忠幸, 阿閉 泰郎, 鈴木 義孝
    1994 年 56 巻 1 号 p. 167-168
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    第三胃葉内に神経細胞体が存在するか否かを, ヒツジ, ウシ, エゾシカおよびニホンカモシカにおいて組織学的に検討した. その結果, ヒツジにおいて22個体中4例の7標本で神経細胞体を確認した.
  • Williams Jamie, 宮林 孝仁, Ruggles Alan, 山本 純也, 滝口 満善
    1994 年 56 巻 1 号 p. 169-172
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    2.5歳の雌のサラブレッド種競走馬が1年間にわたる右前肢跛行のために来院した.身体検査と診断的神経ブロックでは, 跛行の原因となる部位が確認できなかった. テクニシウム-99m-メチレンジフォスフォネイト(MDP)を用いたシンチグラフィでは, 右前肢の中手骨掌側面の軟部組織に放射性同位元素の取り込みの上昇が認められた. 超音波検査によって浅指屈筋の健部と繋靭帯に低エコー性の病変が見られたので, 腱炎と靭帯炎であると診断した. 複数の画像診断法を組み合わせることによって, 長期にわたる軽度の跛行の診断が可能になったと思われる.
  • Ocampo Marlon B., Oeampo Lerma C., 森 匡, 上田 純治, 金川 弘司
    1994 年 56 巻 1 号 p. 173-176
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究は, 発育鶏胚羊水(CEAm)がブタ卵子成熟用の共培養システムとして使用できるかどうかを検討するために行った. 実験1では, mTCM-199(対照)と3日目, 4日目および5日目CEAmに対して対照区のブタ卵子の成熟率が有意に高かった(P<0.001). また, 3日目CEAmのブタ卵子の成熟率が4日目および5日目のそれらよりも高い値を示した(P<0.001). 実験2では, 3日目発育鶏胚を40~70%湿度下の一般的な培養器か5% CO2気相で37℃および39℃培養器内に入れて培養した. その結果, 温度に関係なしに, 5% CO2気相下の培養器で有意に低い成熟率が示された(P<0.001). 実験3ではブタ卵子をmTCM-199(対照)と3日目CEAm内で培養し, 体外受精を行った. 3日目CEAmの精子侵入および雄性前核形成が, mTCM-199のそれらに対して有意に低い値を示した(P<0.001). 以上の結果から, ブタ卵子の成熟にCEAm内培養の利用が示唆されたが, しかし, 鶏胚の発育ステージ, 温度および気相が影響するものと考えられた.
  • 趙 徳明, 立山 晉, 三好 宣彰, 山口 良二, 内田 和幸, 甲斐 清徳, Priosoeryanto Bambang P., Mina ...
    1994 年 56 巻 1 号 p. 177-179
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    21例の臨床的に正常なイヌのゲノムDNAにおけるヒトc-yes-1関連イヌ癌遺伝子についてサザンブロットハイブリダイゼーションにより検索した. このイヌ癌原遺伝子は正常なイヌによく保存されているが, いくつかの個体において相異なる, 低頻度の構造異常が存在した.
  • 永井 勝, 八村 晃一, 高橋 清志
    1994 年 56 巻 1 号 p. 181-183
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    子豚は, 出生後3~5時間後から水を飲み始め, 5~9月の全期間を通じて199頭の1頭あたりの飲水量は1日齢の36mlから28日齢では403mlに達し, 日齢が進むにつれて増加傾向を示した. 一方, 体重1kg当りの飲水量は5~9月の全期間で51~62mlと日齢に関係なく一定であった. 以上の結果から, 哺乳子豚に対する薬物の飲水投与は応用可能な方法と考えられた.
  • 山中 盛正, 岡部 達二, 児玉 和夫, 後藤 紀久
    1994 年 56 巻 1 号 p. 185-187
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ニューカッスル病ウイルス抗原を含むオイルアジュバントISA-70乳剤を筋肉内注射した豚及び猫の注射部位の病理学的変化を比較検討した. 肉眼的に, 豚では白黄色微小結節を伴った鶏卵大の変色病巣が注射後2週目から8週目まで観察され, 猫では注射部位皮下組織の肥厚が観察された. 組織学的にも猫に比べ豚では局所反応の程度は強く, 長びく傾向にあり, 大型のシストの形成とそれを取り囲む類上皮細胞の著明な増殖が特徴的であった.
  • 田島 朋子, 廣直 武司, 梶川 武次, 鈴木 義久, 川村 齋
    1994 年 56 巻 1 号 p. 189-190
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ブタサイトメガロウイルス(PCMV)抗体測定のための酵素結合抗体免疫法(ELISA)における, 採血用濾紙の有用性について検討した. 濾紙で採取した血液の抗体価と血清の抗体価は, よく一致した. また, 両試料の吸光度は相関していた(r=0.88). 野外の仔豚26匹の血液を濾紙採血し, ELISAを行ったところ, 移行抗体は生後8週で減少した. また, 4匹の仔豚でPCMVに対するIgM抗体が検出された.
  • 国枝 哲夫, 筏井 洋, 今道 友則, 豊田 裕
    1994 年 56 巻 1 号 p. 191-193
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ラットのp53遺伝子およびその関連配列における系統間の多型性について, ヒトp53cDNAをブローブとし, 各種制限酵素を用いたサザンブロット法により調べた. 一連のサザンブロットの結果, Hin dIIIおよびPst Iを用いた場合に系統間の変異が検出された. Hin dIIIにおける変異とPst Iにおける変異の系統間における分布は同一であり, また戻し交配個体においてこれらの変異は共優性の遺伝様式を示した. このp53遺伝子関連配列における制限酵素断片の多型性の遺伝子座は, ラットの第9染色体上に位置するp53関連配列と対応していることが明らかとなった.
  • 桑村 充, 岩城 正枝, 山手 丈至, 小谷 猛夫, 佐久間 貞重, 山下 暁子
    1994 年 56 巻 1 号 p. 195-197
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    9歳の雄馬が削痩, 振戦, 虚弱症状を呈し安楽死された. 病理組織学的検索により, 脊髄腹角神経細胞の腫大, 色質融解, 脱落ならびに腹根軸索の変性が認められた. 変性神経細胞に好酸性細胞質封入体が見られ, これは超微形態学的には高電子密度の顆粒状物質および少数の小胞の集簇から成っていた. 細胞質封入体は抗ユビキチン抗体に対し免疫陽性を示した. 本例は近年北米および英国で報告された馬運動ニューロン病と診断された.
  • 朝長 啓造, 宮沢 孝幸, 川口 寧, 河本 麻理子, 猪島 康雄, 見上 彪
    1994 年 56 巻 1 号 p. 199-201
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ネコ免疫不全ウイルス(FIV)のRevタンパクはenv遺伝子の3'末に存在するrev responsive element(RRE)を介して, 細胞質内におけるFIVのアンスプライス及びシングルスプライスmRNAの蓄積を調節し, ウイルスの構造タンパクの発現を特異的に活性化している. 今回我々は, ウイルスの増殖サイクル及び, 細胞指向性に対するrev遺伝子の役割を検討するため, Revタンパク発現プラスミドを作製し, クロラムフェエコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)アッセイ法を用いて, ネコ及び霊長類由来株化細胞内におけるRevトランスアクチベーションの比較を行った. その結果, 霊長類由来株化細胞内におけるRevの機能はネコの株化細胞内のそれと比べ, 明らかに低下していることが認められた. これらのことは, FIV Revの完全な機能発現のためには何等かのネコ細胞内に存在する物質が必要である可能性を示しており, また, Revの働きがウイルスの細胞指向性を決定する一つの重要な役割を担っていることが示唆された.
  • 飯田 正毅, 平 詔亨
    1994 年 56 巻 1 号 p. 203-205
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1989年6~8月, 北海道より千葉県下に導入された乳牛2頭の肩甲部皮膚から出血がみられた. 出血部である結節の小孔部からParafilaria bovicola雌虫がそれぞれ1匹摘出された. 患牛にイベルメクチンを経口投与したが, 出血はその後も発生した. 出血部に2.5%レバミゾール水溶液を塗布したところ, 出血はいずれも数分以内に止まった. この塗布は, 農家で容易に実施できることから, 実用的な治療方法であると思われた.
  • 樋口 誠一, 大矢 英紀, 星 史雄, 川村 清市, 安田 純夫
    1994 年 56 巻 1 号 p. 207-209
    発行日: 1994/02/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    フタトゲチマダニの若ダニをウサギに吸血させた後, その唾液腺内のB. ovataの発育について4日間観察を行った. 吸血後の4日間に, 唾液腺内のB. ovataは分裂する過程でスポロントとスポロゾイトの型をとることが観察された. 吸血後4日目のダニ唾液腺内細胞はスポロゾイトとそれらの放出に伴う空洞化が明瞭に認められた.
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