抄録
0.5%コレステロールと3%大豆油添加食(大豆油食)あるいは0.5%コレステロールと6%ピーナツ油添加食(ピーナツ油食)という2種類の高脂肪食で家兎を14週間飼育し, 両高脂肪食の動脈硬化発症性を比較した. 大豆油食はピーナツ油食に比べマイルドな大動脈病変が形成され死亡例がなかったことから, 抗動脈硬化薬の薬効評価に適していると考えられた. この大豆油食飼育による家兎動脈硬化症モデルを用い, 新規カルシウム拮抗薬クレンチアゼムの抗動脈硬化作用を検討した. クレンチアゼムの30 mg/kg/日, 12週間経口投与は, 血清脂質レベルに影響せずに, 弓部および胸部大動脈内腔面の粥腫面積と大動脈壁のコラーゲン含量を減少させたが, 冠動脈の粥腫病変に対しては明らかな作用を示さなかった.