Journal of Veterinary Medical Science
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ヌクレオキャプシド蛋白質遺伝子に対するアンチセンスRNAとセンスRNAによるマウス肝炎ウイルスの増殖阻害
水谷 哲也前田 秋彦林 正信磯貝 浩波岡 茂郎
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1994 年 56 巻 2 号 p. 211-215

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抄録
マウス肝炎ウイルス(MHV)のヌクレオキャプシド(N)蛋白質遺伝子に対するアンチセンスRNAあるいはセンスRNAを発現する細胞株におけるMHVの転写や複製について検討した. MHVの転写と複製を制御すると考えられるN蛋白質をコードするmRNA7に対するアンチセンスRNAあるいはセンスRNAを発現する形質転換DBT細胞におけるMHV-JHMの増殖をみると, 両形質転換細胞でのMHV増殖は非転換DBT細胞に比較して, 感染後9時間で95%, 12時間で99%抑制された. 感染後3.5時間目に抽出した感染細胞RNAのNorthern blotting解析によりMHV-RNA合成の抑制が明らかにされた. 以上から, MHV感染初期の段階でmRNA7に対するアンチセンスRNAおよびセンスRNAがウイルス複製を阻害することが示唆された.
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