抄録
育成期の馬に対する水泳トレーニングの有効性を検討することを目的として, 従来実・施されている古典的な陸上トレーニングプログラムに水泳トレーニングを加え, 1)運動能力の変化, 2)体格の変化, 3)運動器疾患の発症頻度の3点について観察を行った. 2歳齢のサラブレッド馬24頭を用い, 8頭ずつ以下の3つの群に分け, A群;陸上トレーニングのみの群, B群;陸上トレーニングに水泳トレーニングを漸増的に加えた群, C群;陸上トレーニングに一定の水泳トレーニングを加えた群とした. 規定運動テストの結果, B群における速度と乳酸値の相関関係を示す回帰曲線においてのみ, トレーニングの進行に伴う有意な切片値の上昇を認めた. また, 体高の増加量はA群よりもB, C群で大きいのに対して, 胸囲, 体重の増加量はB, C群で小さい傾向が認められた. 実験期間中に観察された運動器疾患の発症頻度は, A群で62.5%, B群で12.5%, C群で25.0%であり, A-B群間では有意な差(p<0.05)が認められた. 以上のことより, 育成期の馬のトレーニング計画に水泳トレーニングを導入することにより, 運動器疾患の発症を減じ, その結果あらかじめ設定されたトレーニングメニューを円滑に進めることが可能となり, よって効率的に馬の運動能力を向上させることにも役立つことが示唆された. 可能となり, よって効率的に馬の運動能力を向上させることにも役立つことが示唆された.