1994 年 56 巻 3 号 p. 439-442
ゴールデンハムスター精巣のビタミンA欠乏状態, およびビタミンA再投与による精子発生再開時のステージ同期化について, 光顕を用いて調べた. 雄ゴールデンハムスターに3週齢よりビタミンA欠乏(VAD)飼料を与え飼育した. 13週齢で体重は最高の130gに達したが, この時期に精巣では精子発生が明らかに認められた. その後17週齢で体重減少が始まり, 19週齢で100g, 22週齢で70gまで減少した. 100gに減少した際, 精細管内に精子および伸長した精子細胞は観察されなかった. 70gに減少した時期には, 精細管内にはセルトリ細胞, 精祖細胞, および少数の精母細胞が観察されたのみで, 精子発生は停止していた. また体重が70gに減少した時期にVADハムスターにレチノールアセテイト(ビタミンA)2mgを腹腔内投与し, その後通常飼料にて飼育した. このビタミンA投与群では精子発生は再開し, ビタミンA投与後9, 10, 11週目では精細管内に連続した数ステージのみが観察された. すなわちゴールデンハムスターにおいて精細管ステージ同期化が確認された.