Journal of Veterinary Medical Science
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ウシ妊娠および分娩後黄体におけるミトコンドリア内小体の走査型電子顕微鏡による観察
山田 治阿部 光雄竹花 一成岩佐 憲二平賀 武夫
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1994 年 56 巻 3 号 p. 459-464

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抄録
ウシ妊娠黄体の大型黄体細胞はステロイドホルモン産生細胞の特徴を有している.そのミトコンドリア内にはミトコンドリア内小体Intramitochondrial body(IMB)が認められた. このIMBの三次元的構造および分娩後黄体の退行に伴うIMBの変化をSEMで観察したところ以下のことが明らかになった. 1)IMBは径0.1~1.5μmの球形または卵円形で, 表面は粗造, 割断面は均質であり, 表面構造の変化は, 妊娠の経過に伴って徐々に平滑になった. 2)分娩直前の大型黄体細胞は細胞突起が脱落していた. 分娩直後の大型黄体細胞は,細胞表面の平滑化, 絨毛状のクリスタを持つミトコンドリアの消失, 脂肪滴の大型化などの細胞レベルでの妊娠黄体退行の初期段階を示した. 3)分娩後, IMBは黄体退行に伴う大型黄体細胞の変性崩壊により細胞外に露出し, 毛細リンパ管に取り込まれ所属リンパ節に運ばれて処理されると考えられた.
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