抄録
豚肺胞マクロファージ(AM)における豚オーエスキー病ウイルス(ADV)のin vitroとin vivo の増殖性について強毒株とワクチン株を用いて検討した. ワクチン株にはチミジンキナーゼおよびgIII遺伝子欠損株を使用した. in vitroにおいて, AMは強毒株の感染に対して高い感受性を示した. 強毒株の細胞およびその培養上清中のウイルス感染価は, 接種後84時間で107.3TCID50/ml以上あった. 一方, ワクチン株の感染に対してAMは低感受性で, 接種後84時間の培養上清中のウイルス感染価は102.3TCID50/mlであった. 次に, AMにおけるADVのin vivoの増殖性を検討するために,強毒株とワクチン株を鼻腔内接種した豚から経時的にAMを採取してウイルス分離を実施した. その結果, 強毒株を接種したすべての豚のAMサンプルから接種後2日~22日目にウイルスが分離された. 一方, ワクチン株を接種したAMサンプルからはウイルスは分離されなかった. 本結果は, ADVの強毒株がin vivoの豚AMで比較的長い間増殖することを示している.