Journal of Veterinary Medical Science
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脊髄猫とアルファ・クロラローズ麻酔猫の皮膚・皮筋神経からの入力に対する腹直筋運動二ューロンの交叉性および非交叉性シナプス応答
中田 亜紀城崎 明徳徳力 幹彦
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1994 年 56 巻 3 号 p. 511-516

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抄録

第1腰髄節に入る, 背側皮膚・皮筋神経(体幹背側部に分布)と腹側皮膚・皮筋神経(体幹腹側部に分布)を電気刺激して, 第1腰髄節に存在する腹直筋運動ニューロンの髄節性シナプス応答を細胞内記録法により調べた. この髄節性反射経路に対する, 上部脊髄ならびに脳からの下行性入力の影響を調べるために, 脊髄猫(49頭)とアルファ・クロラローズ麻酔猫(28頭)を用いた. 同側ないし対側からの背側皮膚・皮筋神経と腹側皮膚・皮筋神経を閾値の1.2倍から10ないし20倍までの刺激強度で電気刺激したが, 腹直筋運動ニューロンに対する単シナプス性反応は存在せず, 2シナプス性興奮性シナプス後電位が少数例記録されただけで, 大部分は3シナプス性以上の多シナプス性興奮性シナプス後電位であった. 同側の腹側皮膚・皮筋神経を低い刺激強度で刺激すると, 過半数の腹直筋運動ニューロンに, 多シナプス性興奮性シナプス後電位が記録された. 皮膚・皮筋神経の電気刺激に対して, アルファ・クロラローズ麻酔猫の腹直筋運動ニューロンでは, 脊髄猫ではほとんど認められなかった多シナプス性抑制性シナプス後電位が認められた. すでに報告した外腹斜筋運動ニューロンではこのような現象は認められなかったので, 外腹斜筋運動ニューロンとは異なり, 皮膚・皮筋神経から腹直筋運動ニューロンに至る髄節内経路に対しては, 上部脊髄ないし脳からの抑制性下行入力の存在する可能性のあることが明らかとなった.

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