抄録
急性相蛋白質の中では系統発生上最も初期に出現した, ペントラキシンファミリーに属する血清アミロイドP成分(SAP)を, ニジマスの血清から分離する事を試みた. SAPのリガンドとして知られているアガロースを用いたアフィニティークロマトグラフィーによって分離した蛋白質は, 還元状態でのSDS-PAGEにてサブユニットの分子量が約32,000と計算され, 非還元では100,000以上であったため共有結合した構造をとっているものと判定した. N-末端アミノ酸配列は各動物の既知SAPと相同性を有し, 電子顕微鏡解析では五量体構造が認められた. 以上の結果からこの蛋白質をニジマスSAPとして同定した.