抄録
ウシ白血球粘着不全症(BLAD)に罹患したホルスタイン種雌牛8頭について血清生化学的検索および全血中のルミノール依存性化学発光反応の測定を行った. 血清Na, Cl, K, Ca, P, Mg, AST, ALT, LDHおよびNEFAの10項目はいずれも症例牛で低値を示し, Na, Cl, Caに関しては健康牛に比して有意に低かった(p<0.05). 特徴的な血清タンパク像は低アルブミン血症と高ガンマグロブリン血症であり, 症例牛と健康牛との間に有意差(p<0.01)を認めた. 全血中の化学発光反応においては, 症例牛で化学発光量の増高(p<0.05)と化学発光指数の低下およびピーク時間延長の特徴的所見を認め, これらの三項目は健康牛のそれらに比較して有意差(p<0.01)を認めた. 全血を利用した化学発光反応はBLAD症例牛のスクリーニングに有用と考えられた.