1990年の福岡県におけるアイノウイルスの流行に際し, 抗体保有のコホート追跡調査を実施し, 流行を疫学的に解析した. 県内5地区128農家436頭の乳牛から, 5~7月に採血した血清での陽性率は38.3%, 農家単位で40.6%であった. 4ヵ月後の9~11月に同一個体から採血した血清での陽転率は33.3%, 農家単位で40.6%であった. 県内の5地区を比較したところ, 農家では陽性率, 乳牛では陽性率および陽転率の双方で地区間の相違が認められた. また, 農家の陽性率と陽転率には高い相関が認められた. これらのデータについて主成分分析を行ったところアイノウイルスの流行は地域により違いが認められ, 疫学的に4群に区分された.