ウシ妊娠黄体の微細血管系の変化を, 血管鋳型の走査型電子顕微鏡観察によって明らかにした. 妊娠黄体の微細血管系には卵巣動脈から直接分枝した1本のラセン状動脈が注いでいた. 妊娠黄体の微細血管系は小葉単位から成り, 全体として小葉状の洞様毛細血管叢の集合体であった. これは大きな黄体を有するウシ黄体の血管構築の特徴と考えられた. 妊娠後期では, 小葉内には動静脈吻合が出現するため洞様毛細血管叢への血液供給が減少し, 結果として, 小葉内洞様毛細血管が細くなり, 妊娠黄体が退行するものと考えられた.