Journal of Veterinary Medical Science
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Babesia microti および Babesia rodhaini における糖代謝関連酵素活性
鹿野 創人嶋田 照雅中田 健一橋口 理恵小野 憲一郎
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1995 年 57 巻 1 号 p. 93-97

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抄録

マウスのバベシア症の主な原因種である Babesia microti (BM)および Babesia rodhaini (BR)における糖代謝関連酵素活性を比較検討した. 嫌気的解糖系の代表的酵素である Lactate dehydrogenase (LDH)活性ではBMがBRより有意に低い値を示した. 逆にTCAサイクルの酵素である Malate dehydrogenase (MDH)および Citrate synthase (CS)活性ではBMがBRより高い値を示し, また Pyruvate dehydrogenase (PDH), isocitrate dehydrogenase (ICDH), α-ketoglutarate dehydrogenase (KGDH)および Succinate dehydrogenase (SDH)活性でもBMが高い傾向を示した. 虫体の増殖に伴う酵素活性の変動を検索したところ, BM感染マウスでは寄生赤血球率の増加に伴ってBM虫体のLDH活性は減少し, 逆にMDHおよびCS活性は著しく増加した. またPDH, ICDH, KGDH, SDH活性も増加する傾向を示した. 一方, BR感染マウスでは寄生赤血球率の増加に伴い, 虫体のLDH活性が著しく増加した. またMDHおよびCS活性にも若干の増加が認められたものの, PDH, ICDH, KGDH, SDH 活性に変動は見られなかった. このことから, BMおよびBRはその糖代謝にそれぞれ好気的および嫌気的経路を利用している可能性が考えられた.

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