Journal of Veterinary Medical Science
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中等毒型ニューカッスル病ウイルス神経馴化株感染鶏の脳病変
Bhaiyat M. I.古林 与志安板倉 智敏Islam M.A.喜田 宏
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1995 年 57 巻 2 号 p. 237-244

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抄録
ウズラより分離した中等毒型ニューカッスル病ウイルス(Q0)を鶏の脳で10代継代することにより神経馴化株(Q10)を作出し, これらのウイルスをSPF鶏に経鼻接種した. 両ウイルス接種鶏とも接種後1週間は毎日, その後は10, 14および21日後にそれぞれ2羽ずつ剖検し, 病理組織学的およびウイルス学的検索を実施した. (Q10)接種群では, 高い致死率を示し, 神経症状を伴う非化膿性脳炎が所見された. 中枢神経病巣は, parahippocampal cortex, hippocampus, hyperstriatum, neostriatum並びに軟膜下および脳室周囲領域に主座する神経細胞の変性・壊死, 囲管性リンパ球浸潤および巣状ないし瀰慢性アストログリオーシスを特徴としていた. このほか, 神経細胞の変性および軸索スフェロイドの出現を伴う海綿状変化が少数例の脳幹で所見された. 脳のウイルス量は接種後4日目で最大となったが, 接種後6日目以降は皆無であった. (Q0)接種群では, (Q10)接種群とは対照的に, 致死率は0%, 臨床症状も認められず, 脳からウイルスは回収されなかった. これらの中枢神経の組織病変としては, 極く軽微な炎症性変化のみが所見された. 両ウイルス接種鶏間での中枢神経病変のこの様な相違は, ウイルスの神経病原性に関連するものと考えられ, 継代によるウイルスの神経馴化力く神経細胞におけるウイルス複製能の増大により誘導されたものと解された.
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© 社団法人 日本獣医学会
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