抄録
マウスにおけるラット肝細胞に対する遅延型過敏(DTH)反応が, マウスclass II, CD4, CD8抗原に対するモノクローナル抗体を用いて, フローサイトメーターによる解析および免疫組織化学的検索により調べられた. マウスには106個ラット肝細胞により皮下に感作し(以下, 皮下感作群とする), 対照マウスには無菌ハンクス液を皮下に接種した(以下, 非感作群とする). 4日後, 105個ラット肝細胞を, 皮下感作群および非感作群の足蹠に接種した. 接種24時間後の皮下感作群におけるDTH反応は非感作群に比して有意に増加した. 皮下感作群の足蹠におけるclass II+, CD4+, およびCD8+細胞数ならびに鼠径リンパ節中のCD4+細胞数とCD8+細胞数は非感作群に比して有意に多かった. 皮下感作群のCD4+細胞数はCD8+細胞に比べ顕著に増加した. さらに, 皮下感作群の足蹠における免疫組織化学的検索では, CD4+細胞がCD8+細胞に比して抗原注入部位において顕著な浸潤を示した.以上の結果より, ラット肝細胞で感作されたマウス足跡におけるDTH反応は, CD4+細胞の浸潤と関係していることが示唆された.