Journal of Veterinary Medical Science
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ラットの心臓から腹鼠径部乳腺への経路における動脈壁の形態計測学的研究
アワル モハマッド アブダル松元 光春西中川 駿
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1995 年 57 巻 2 号 p. 251-256

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抄録
ラットの心臓から腹鼠径部第1乳腺にいたる主要動脈の処女, 妊娠, 泌乳および離乳期における変化を光顕ならびに形態計測学的に検索した. 動脈は, 中膜の弾性線維や平滑筋細胞などの量により, 弾性型, 移行型, 筋型に分類され, ラットでは, 上行大動脈から腹大動脈までは弾性型, 外腸骨動脈から大腿動脈近位部までは移行型, 深腸骨回旋動脈, 外陰部動脈, 浅後腹壁動脈, 乳腺動脈ならびに大腿動脈遠位部は筋型に分類された. 腹大動脈の中膜は外膜より薄く, 弾性板は5~6層と少なく, 層間が広かった. 浅後腹壁動脈などの乳腺に分布する動脈の内弾性膜は, 処女期では多くの波状がみられるが, 泌乳期では減少していた. 弾性型動脈の外径, 内径および厚さは, 生殖周期による変化がみられなかったが, 特に, 乳腺に直接分布する深腸骨回旋動脈, 外陰部動脈および浅後腹壁動脈では, 泌乳期で最大値を示した. 以上の観察から, 動脈壁の構造と外径, 内径および厚さの変化は, 乳腺の機能状態と密接に関連していることが示唆された.
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© 社団法人 日本獣医学会
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