抄録
フロルフェニコールの胸膜肺炎抑制効果を5~7週齢の豚でのActinobacillus pleuropneumoniae実験感染により検討した. フロルフェニコール及びチアンフェニコールを12日間飼料に添加し, 投薬開始5日後にチアンフェニコール感受性の A. pleuropneumoniae 福島株(血清型2), Shope4074株(血清型1), K17株(血清型5)あるいはチアンフェニコール耐性の8541株, 8543株(血清型2 )をそれぞれ鼻腔内に接種した. 剖検は, 接種7日後(投薬終了時)に実施した. 各株接種の感染対照群では全頭が発病し, 半数以上の豚が死亡した. 一方フロルフェニコール50 ppm投与群では, チアンフェニコール感受性株接種による臨床症状の平均スコアー及び肺病変面積率の平均が感染対照群に比較して有意に低く(P&0.05),全頭生存した. また,チアンフェニコール耐性株接種においても, フロルフェニコール50 ppm投与群の臨床症状の平均スコアー及び肺病変面積率の平均は, 感染対照群及びチアンフェニコール200ppm投与群に比較して有意に低く(P<0.05), 全頭耐過した. フロルフェニコールは, A. pleuropneumoniae の1型, 2型, 5型菌及びチアンフェニコール耐性菌感染豚に対して, 顕著な発病抑制効果を発揮することが確認された.