抄録
ウシ色疫不全ウイルス(BIV)感染牛および感染ウサギに対する血清胸腺因子(FTS)投与効果を調べた. これまでに我々は, BIV感染牛においてマクロファージの機能の低下と異種蛋白に対する体液性免疫反応の遅延の認められることを報告している. 抗体産生の遅延のみられたBIV 感染牛においてFTS投与後, 抗体産生の遅延がみられなくなった. BIV感染牛ではマクロファージのケミルミネッセンス反応の有意な低下(p&0.05)がみられたが, FTS投与により非感染対照牛との差はみられなくなった. またBIV感染ウサギの異種蛋白に対する抗体産生能は非感染対照ウサギに比べて有意に低下(p&0.025)していたが, FTS投与により非感染対照群との差は減少し, 抗体産生能の回復が認められた.