Journal of Veterinary Medical Science
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妊馬血清性性腺刺激ホルモンの牛に対する黄体機能賦活効果の検討
平子 誠加茂前 秀夫百目鬼 郁男
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1995 年 57 巻 2 号 p. 317-321

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抄録

妊馬血清性性腺刺激ホルモン(PMSG)は卵胞刺激作用を持つ持続型黄体形成ホルモンである. そこで, 低用量のPMSGが牛に対して過剰な卵胞発育作用を及ぼすことなく有効な黄体刺激効果を示すかどうかを検討した. 11頭の黒毛和種未経産牛を無作為に2群に分け, PMSG 500IUを1群には黄体形成促進を目的として排卵日(N=5), 他の1群には黄体機能増進を目的として排卵後7日(N=6)に投与した. 供試牛のうち4頭には前周期の排卵日と排卵後7日に生理食塩液を投与し対照とした. 処置時の発情周期中は全頭について一日置きに直腸検査を行い, 連日性ステロイド測定用の採血を行った. その結果, PMSG投与時の発情周期の日数は前周期と比較して排卵日投与群では短縮したのに対し, 7日投与群では延長した(P<0.05). また, 血中プロジェステロン濃度は対照と比べて排卵日投与群では差異が認められなかったのに対し, 7日投与群では有意に増加し, 長期間高値が維持された(P<0.05). 両群ともエストラジオール-17β濃度は有意に増加したものの(P<0.05), 過剰な卵胞の発育は認められなかった. 結論として, 排卵後7日のPMSG500 IUの投与により, 過剰な卵胞の発育を誘起することなく黄体機能を増進することができた. 一方, 排卵日のPMSG投与には明瞭な黄体賦活作用が認められなかった.

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