Journal of Veterinary Medical Science
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シバヤギ卵管液に対する単クローン抗体の作製と免疫組織化学的解析
木村 順平山田 英雄月瀬 東森 裕司新井 克彦
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1995 年 57 巻 3 号 p. 427-431

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抄録
シバヤギ卵管上皮分泌物に対する単クローン抗体の作製を試み, 得られた抗体を用い, 卵管抗原の特性を組織化学的に検索した. 成熟シバヤギの卵管液を抗原とし常法により単クローン抗体の作製を行い, 陽性クローンのスクリーニングは卵管パラフィン切片による酸素抗体法によった. 得られた抗体の認識する抗原分子の性状を検索するため, 発情期および黄体期にある卵管を用いて, 免疫組織化学を実施した. 数種の単クローン抗体が得られたが, そのうち, 卵管切片に特徴的な反応を呈した抗体 (EE-1抗体 (IgM, κ))を用いて詳しく検索したところ, EE-1抗原は発情期および黄体期におけるシバヤギ卵管膨大部非線毛上皮細胞の細胞質に存在した. 卵管峡部ではどちらのステージでも存在は認められなかった. また, 卵管以外の臓器およびハムスター, ウシ, ヒツジの卵管についても同様に検出されなかった. これらの陽性反応は過ヨウ素酸処理あるいはヒアルロニダーゼ消化により消失した. これらの結果より, EE-1抗体の認識するエピトープはヒアルロン酸を含んだ或いはヒアルロニダーゼ感受性の糖鎖構造により構成されており, シバヤギ卵管膨大部には, この糖鎖構造が特異的に存在していることが示唆された.
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