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遠藤 秀紀, 前田 誠司, 木村 順平, 山田 純三, ルアンノウエイチョーク ウォラウット, 九郎丸 正道, 林 良博, 西田 隆雄
1995 年 57 巻 3 号 p.
389-393
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
オニネズミ(Bandicota indica)は、旧世界の齧歯類としてはきわめて体が大きく、体の大きさに対する心筋細胞の微細形態学的変異を検討するために有効な動物種である. そこで、同種の心室筋および心房筋細胞を透過型電顕により観察した. オニネズミの心筋細胞は典型的な哺乳類の心筋細胞の特徴を示したが、心房筋細胞においては、筋原線維の占める領域が広く、対照的にミトコンドリアの発達が著しく悪かった. また、心房と心室の双方に多数の刺激伝導系細胞が観察され、特に心房組織にはグリコーゲン穎粒を豊富に含む特徴的な細胞が確認された. これらの特徴は、いずれも同種の体の大型化に対する機能形態学的変異であると考えられる.
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清水 幹子, 筒井 敏彦, 河上 栄一, 掘 達也, 藤田 道郎, 織間 博光, 小笠 晃
1995 年 57 巻 3 号 p.
395-399
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
合成黄体ホルモン剤である酢酸クロルマジノン(CMA)を含有するペレット(ジースインプラント)を3~10歳の正常な雄犬4頭を1群として3群にそれぞれ、CMA 5mg/kg,10 mg/kg, および20 mg/kg皮下移植し、その後の前立腺容積、血中CMA, 性ホルモン値および精液性状の変化を調べた. 前立腺容積はCTを用いて計測した. 血中CMAはGC-MS法, LH, testosterone (T)および5α-dihydrotestosterone (DHT)値はradioimmunoassay法で測定した. また、精液は用手法で採取した. ペレットは移植後26週に摘出し、さらにその後22週まで観察を行った. その結果, 前立腺容積は5 mg/kg,10mg/kgおよび20 mg/kg群で移植後14週では, 移植前容積のそれぞれ72±3% (mean±S.E.), 65±3%, 54±8%, 移植後26週ではそれぞれ61±3%, 51±5%, 53±9%にまで縮小した. 血中CMA値は, 10 mgおよび20 mg投与群において, 投与後2週後にピークを示し、その後徐々に低下した. また, ペレット摘出後22週における前立腺容積は74~85%であった. ペレット移植後において血中LH値は5 mg/kgおよび10 mg/kg投与群で上昇傾向が見られ, 血中TおよびDHT値は, いずれの群でもわずかな低下が認められた. また, 精液性状では、10 mg/kgおよび20 mg/kg投与群で精子数の減少, 精子活力の低下が認められ, 精子奇形率は増加した. 以上の成績から, 雄犬にCMAを含有するペレットを10 mg/kg以上皮下移植することにより、精巣機能は低下するものの, 前立腺容積は移植前のほぼ1/2に縮小し, その効果は長期間持続することが判明した.
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上原 勇作, 古賀 素也, 高橋 貢
1995 年 57 巻 3 号 p.
401-407
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
非侵襲的に心拍出量の測定を行う目的から, 心エコー法を用いた10種類の測定方法による測定値と熱希釈法で求めた心拍出量の測定値との相関関係を調べた. その結果, Mモード法では, 乳頭筋レベルの短軸断面を用いた回転楕円体近似法のうち, GIBSON 法が最も高い相関(r=0.84) (P<0.01)を示した. また, ドプラモードでは, 左室流出路短軸断面でトレース法を用い, 流出路内腔断面積をより正確に計測したものが高い相関(r=0.93) (p<0.01)を示した. このことから, 超音波による測定法でも, 熱希釈法と同等の心拍出量を計測することが可能であり, 臨床的には非侵襲的検査法である超音波診断装置による測定法が有利であることが確認された.
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帆保 誠二, 松田 芳和, 吉田 光平
1995 年 57 巻 3 号 p.
409-413
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
咳嗽, 異常呼吸音の臨床症状を呈したサラブレッド種競走用馬350頭を対象として, 安静下で上部気道の内視鏡検査を実施した. その結果, 全頭に内視鏡検査上の異常所見が観察され, 臨床上何らかの呼吸器系異常所見が観察されるサラブレッド種競走用馬では, 上部気道に必ず病変の存在することが明らかとなった. また観察された病変は11種類であるが, 3歳, 4歳および5歳では3種類の病変を同時に保有する症例が最も高率(それぞれ27.8%, 29.2%, 29.7%)であり, 6歳以上では1種類の病変のみを保有する症例が最も高率(47.6%)であった. なお, 咽頭リンパ過形成, 喉頭蓋の異常では, 加齢により病変の保有率が減少した.
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岡田 利也, 山岸 達郎, 木曽 康郎, 森川 嘉夫, 佐々木 文彦
1995 年 57 巻 3 号 p.
415-417
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
妊娠5日目に片側腎臓摘出を行ったラットから生まれた生後1日目と6週目の新生子の近位尿細管を組織形態計測学的に調べ, 近位尿細管の胎生発達と生後発達に対する母体片側腎臓摘出の影響を明らかにした. 生後1日目では片側腎臓摘出母体から生まれた新生子の近位尿細管の総体積, 内径および腎臓単位体積 (1 mm
3) 当たりの近位尿細管の長さは偽手術母体から生まれた新生子のそれらより有意に大きく, 近位尿細管上皮細胞の高さは逆に有意に小さかった. しかし, 生後6週目では母体片側腎臓摘出による影響は認められなかった. これらの結果から, 母体片側腎臓摘出によって近位尿細管の胎生発達は促進されるが, その向腎性刺激は生後発達にまでは及ばないことが示唆された.
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村田 美栄, 児玉 洋, 小沼 操
1995 年 57 巻 3 号 p.
419-425
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
ニジマス血清からCPS結合蛋白質の精製を行い, 2種類の蛋白質(TCBP1,TCBP2)を分離した. SDSポリアクリルアミド電気泳動の結果, TCBP1は過去我々が分離したCRP様蛋白質と同一であると考えられたが, TCBP2は異なる泳動パターンを示した. さらにN末端アミノ酸配列解析の結果, 両者は異なる配列を示すことが判明した. 蛋白質データベースを用いたホモロジー検索によって, TCBP2は過去に報告された各種動物のCRPと相同性を有したが, TCBP1と既知のCRPの間には相似は認められなかった. また電子顕微鏡による観察ではTCBP2にCRP特有の五角形構造が見られたが, TCBP1には認められなかった. 以上の結果よりTCBP2がニジマスCRP様蛋白質として適当であると判定した.
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木村 順平, 山田 英雄, 月瀬 東, 森 裕司, 新井 克彦
1995 年 57 巻 3 号 p.
427-431
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
シバヤギ卵管上皮分泌物に対する単クローン抗体の作製を試み, 得られた抗体を用い, 卵管抗原の特性を組織化学的に検索した. 成熟シバヤギの卵管液を抗原とし常法により単クローン抗体の作製を行い, 陽性クローンのスクリーニングは卵管パラフィン切片による酸素抗体法によった. 得られた抗体の認識する抗原分子の性状を検索するため, 発情期および黄体期にある卵管を用いて, 免疫組織化学を実施した. 数種の単クローン抗体が得られたが, そのうち, 卵管切片に特徴的な反応を呈した抗体 (EE-1抗体 (IgM, κ))を用いて詳しく検索したところ, EE-1抗原は発情期および黄体期におけるシバヤギ卵管膨大部非線毛上皮細胞の細胞質に存在した. 卵管峡部ではどちらのステージでも存在は認められなかった. また, 卵管以外の臓器およびハムスター, ウシ, ヒツジの卵管についても同様に検出されなかった. これらの陽性反応は過ヨウ素酸処理あるいはヒアルロニダーゼ消化により消失した. これらの結果より, EE-1抗体の認識するエピトープはヒアルロン酸を含んだ或いはヒアルロニダーゼ感受性の糖鎖構造により構成されており, シバヤギ卵管膨大部には, この糖鎖構造が特異的に存在していることが示唆された.
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二宮 博義, 猪股 智夫, 信田 卓男
1995 年 57 巻 3 号 p.
433-438
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
悪性混合腫瘍が転移したイヌの肝臓の血管系の変化を, アクリル樹脂で血管の鋳型を作り, 門脈と腫瘍に分布する固有肝動脈の変化を走査型電子顕微鏡で観察した. 今回の観察で, arterio-portal (A-P) shuntの存在が確認され, thread and streaks vessel の構造も明らかになった. A-P shuntは固有肝動脈の枝から血流に対し直角または逆流方向に派生し, 伴走する門脈に連絡していた. 門脈腔内では腫傷害栓が多くみられ, その塞栓に分布する毛細血管網で門脈腔内は置換されていた. この毛細血管網は肝腫瘍の造影では thread and streaks sign と呼ばれており, 血管鋳型では血管の長軸に添って走る毛細血管束として観察された. A-P shuntはこの毛細血管束に直接合流していた. 転移した腫瘍に分布する動脈および静脈は, 良く発達し太く, 独特の血管系を形成していた.
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辛 イーオン実, 森 健, 沖田 賢治, 玄間 剛, 甲斐 知恵子, 見上 彪
1995 年 57 巻 3 号 p.
439-445
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
犬ジステンパーウイルス(CDV)感染の迅速診断法の開発を目的に, 犬末梢血単核細胞から抽出したRNAを用いてRT-PCRを行い, CDVヌクレオカプシド(NP)遺伝子の検出を試みた. 用いた2組のプライマーは, NP遺伝子の2つの異なる領域を増幅するよう作られた. CDV Onderstepoort株を含む6種類の実験室継代株および実験感染によるCDV感染イヌを用いたRT-PCRの結果, すべての検体から効率よく増幅されたNP遺伝子断片が認められた. CDVワクチン歴のあるイヌも含め, 健常犬52頭からはNP遺伝子は検出されなかったが, CD様臨床症状を示すイヌ32頭中17頭より遺伝子が認められた. NP遺伝子を標的とするRT-PCR法は,検出感度の高い, 迅速で信頼のおける犬ジステンパーの診断法として有用であると思われる.
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喜多 功, 三浦 慎悟, 小島 洋一, 千葉 敏郎
1995 年 57 巻 3 号 p.
447-451
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
ニホンカモシカの繁殖歴を推定するために乳腺及び乳頭を検索した. 乳腺における乳汁の存在は前年の妊娠の証拠となる. 乳腺の厚さは乳腺の機能状態をよく反映しており, その厚さが10mmを越える個体は, 半年前の出産個体と判定して大きな誤りはないと思われる. 乳頭間隔は乳腺の機能状態を必ずしも反映するものではない. 乳頭の長さ10 mm以下の個体を未経産, 10 mmを越える個体を経産と見なしてよい.
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スッコリリ グスタボ, 森 裕司
1995 年 57 巻 3 号 p.
453-457
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
これまでに我々はシバヤギ用の脳定位固定装置を開発し脳室造影法を組み合わせることで精度の高い脳定位手術法を実用化してきた. 本研究では, より簡便でかつ十分な再現性を持つ脳定位法を開発することを目的に, 頭骸骨形態の個体差および間脳視床下部との位置関係について詳細に検討した.その結果, 頭骸骨の3部位(前頭洞中隔尾腹側部と師骨鶏冠との連結部 (a), 外後頭骨隆起(b), および外耳道)から形成される三角形は個体差が小さく, また脳室系および視床下部神経核との位置関係も比較的一定であることが明らかとなった. この3部位の位置を基準として脳定位装置に頭部を固定する方法を採用することにより, 視床下部とその周辺構造に対する脳定位的アプローチの再現性が向上し, 例えば前交連および漏斗陥凹の前後方向の座標値とab間距離との間には高い相関(r=0.9)が得られるなど, 脳室造影のような複雑な手技を用いなくとも, 精度の高い脳定位手術を実施することが可能となった.
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スッコリリ グスタボ, 林 シン治, 森 裕司
1995 年 57 巻 3 号 p.
459-467
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
セロイジン包埋した成熟雄シバヤギの脳から50μm厚の前額断連続切片を我々の開発した脳定位固定法の座標軸方向に従って作製した. 神経細胞および神経繊維をルクソールファストブルーを含む, あるいは含まないクレシルバイオレット溶液で染色し, 視交叉から乳頭体にいたる範囲の視床下部を中心とした, 視床および扁桃体を含む領域について詳細な観察を行い, 神経核群および神経束を同定して三次元座標を記した脳定位地図を作製した. 画像データはすべてディジタル化してコンピューターに取り込んだのち, 処理を行って地図を描出した. なおセロイジン包埋に際しての脳の収縮率の部位的差異を明らかにするため, X線コンピューター断層撮影装置(CT)を用いて脳内の基準部位に対する包埋前後の位置変化を算出し,必要に応じて脳定位座標の補正を行った.
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吉田 真太郎, 山内 啓太郎, 長谷川 晃久, 池田 明弘, 鈴木 正寿, 張 奎泰, 松山 茂実, 西原 真杉, 高橋 迪雄
1995 年 57 巻 3 号 p.
469-473
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
ウマ卵胞より作製したcDNAライブラリーよりウマインヒビン/アクチビンβAサブユニットをコードするcDNAを単離・解析した. ラットインヒビン/アクチビンβAcDNAの塩基配列を基にして設計したプライマーを用いて, PCR法によりスクリーニンダのためのプローブを作製した. 4つの陽性クローンが得られ, これらの塩基配列を調べたところ, Eq-βA-1(0.9Kb), Eq-βA-2(1.5Kb)の2種のクローンで構成されていることが判明した. Eq-βA-2クローンは426個のアミノ酸をコードする完全長の蛋白翻訳領域を含んでおり, 推定される翻訳産物と既に報告されている他の5種の浦乳類のインンヒビン/アクチビンβAサブユニットとの相同性は90%以上であった. ノーザンブロット法により妊娠180日のウマ胎盤には約1.5Kbのインヒビン/アクチビンβAサブユニットmRNAが存在することが判明した.
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場 雅改, 牧田 登之
1995 年 57 巻 3 号 p.
475-479
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
豚の抗デスミン抗体を用いてpost-embeddingの免疫電子顕微鏡によって, 豚の最長筋のデスミンの局在を観察した. 金コロイドでデスミンの分布を見ると, 従来報告されているようにデスミンは隣接する筋原線維のZ-線を連絡する中間線維束として見られるが, 本実験ではその他に筋原線維の中にも走行することが認められた. 筋原線維内の走行は単にZ-線に平行しているのではなく, Z-線を斜断したり, らせん状に取り囲んだりして, 複雑な網工を形成していることが示唆された.このようなデスミン分布の認識はヒト胎児の筋の発育過程におけるビメンチンとデスミンの関係を研究するための有用な基本概念を提供した.
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竹田 明子, 奥村 滋, 宮本 徹, 萩尾 光美, 藤永 徹
1995 年 57 巻 3 号 p.
481-485
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
血管透過性亢進充造型肺水腫における肺血管外水分量(ELWV)と胸部X線撮影像とを比較するため, オレイン酸による軽度から中等度の肺水腫モデル犬を作出し, ELWV, 胸部X線所見および血液ガス分析結果の相互関係について検討した. オレイン酸投与後, ELWVが約37%の有意な上昇を示した時点で, 胸部X線所見に軽度な肺水腫像を認めたが, この時点での胸部のX線吸収量の増加は約10%であった. ELWVの増加に伴い, PaO
2の減少, PaCO
2の増加がみられ, 肺の換気能の低下が明らかとなった. したがって, 血管透過性亢進型肺水腫作出モデル犬において, 熱いNa二重指示薬希釈法により得られたELWVは, X線写真上に変化が認められないような軽度の肺水腫を検出するために有効と考えられた. また, 血管透過性亢進型肺水腫における胸部X線写真では肺水腫がかなり進行して初めてその所見が現れるため, 胸部X線写真は軽度の血管透過性亢進型肺水腫のよい指標とはならないと考えられた.
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猪島 康雄, 朝長 啓造, 池田 靖弘, 宮沢 孝幸, 見上 彪
1995 年 57 巻 3 号 p.
487-492
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
ネコ免疫不全ウイルス(FIV)に実験感染および自然感染したネコの末梢血単核球(PBMC)における proviral DNAのコピー数をPCR法を用いて定量した. プライマーは, TM2およびPetaluma株で比較的よく保存されている領域の塩基配列をもとにデザインした. TM1およびTM2株を実験感染させたネコにおいては, FIVに特異的なDNAがPCRにより増幅されたが, Petaluma株感染ネコからは増幅されなかった. また, 供試したすべての自然感染ネコにおいても, 同じ条件でFIVに特異的なDNAが増幅された. 今回定量した6匹のネコでのproviral DNAのコピー数は, 10
5PBMCあたり10<4.0>から10<5.7>であった. 今回確立した方法は, TM2型のFIVに感染したネコのPBMCにおけるproviral DNAのコピー数の定量が可能であり, また日本における野外の自然感染ネコにも応用できると思われた. proviral DNAの定量は, 生体内におけるFIVのプロウイルス量, 免疫応答, 症状の進行との関連, また, ウイルス粒子が放出されない無症状潜伏感染期における抗ウイルス治療などを評価する際のパラメーターとして役立つものと考えられる.
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納 敏, 荒木 誠一, 木村 誠
1995 年 57 巻 3 号 p.
493-495
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
牛に対してビタミンB
2 (VB
2)を筋肉内投与し, 投与後の末梢血好中球数, NBT還元能と S.aureus に対する貧食殺菌能の変動を検討した. 好中球数は投与後1~2日目に有意な増加を示し, NBT還元能と貧食殺菌能は, 子牛で1~4日目, 成牛で1~6日目に亢進を示した. VB
2の投与に伴い末梢血好中球数の増加と好中球機能充進が認められた. その投与量は子牛では10 mg/kg以上,成牛では5 mg/kg以上であった.
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白井 明志, 本谷 真澄, 船橋 斉, 政岡 俊夫, 山本 雅子, 有嶋 和義, 赤堀 文昭, 江口 保暢
1995 年 57 巻 3 号 p.
497-498
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
妊娠21日のラット母体にパラコートを25 mg/kgの用量で皮下投与してから2時間後, 胎子に直接prostaglandin E
2 (PGE
2)を皮下投与し, その1時間後に胞子動脈管の内径を測定した. パラコートを投与した母体の胞子動脈管は生理的食塩水を投与した母体の無処置胎子と比べて有意に収縮していたが, 母体にパラコート投与後, PGE
2を投与した胎子動脈管は対照と同様に拡張していた. また, 母体にパラコートを投与すると血漿中PGE
2は減少していた. これらの結果からパラコートはPGE
2を減少させることによって, 胎子の動脈管に対して収縮作用を及ぼしていることが示唆された.
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加藤 行男, 松永 新一郎, 三砂 義彦, 潮田 弘, 山本 剛, 金内 長司
1995 年 57 巻 3 号 p.
499-502
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
東京都区内のビル (14ヶ所) の飲食店で捕獲したクマネズミ910検体中165検体 (18.1%) から Staphylococcus aureus が検出された. 分離された S. aureus 165株は, 生物型A, B, C, D, G, 型別不能1および型別不能2に型別され, 型別不能1(72株)が最優勢であった. また, コアグラーゼ型IからVIIIおよび型別不能に型別され, V型(92株)が最優勢であった. エンテロトキシンは35株から検出され, A型およびB型の産生株が多かった.
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成相 孝一, 金山 喜一, 遠藤 克, 月瀬 東
1995 年 57 巻 3 号 p.
503-505
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
偽妊娠家兎の脾臓を摘出し, 黄体の退行におよほす影響を検討した. 脾臓摘出は, 偽妊娠の7日目(D7)に行った. 偽妊娠誘起後の血清プロゲステロン濃度は, 脾臓摘出群および対照群ともD7まで上昇し, 対照群ではD14までに偽妊娠誘起前の値に低下したが, 脾臓摘出群においてD21を迎えてもなおD7と同レベルの高値を維持した. 以上の結果から, 家兎の黄体退行には脾臓の存在が関与するものと推察された.
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帆保 誠二, 間 弘子, 吉田 光平
1995 年 57 巻 3 号 p.
507-510
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
サラブレッド種におけるメデトミジンの鎮静効果を評価し, その至適投与量を検討した. ウマの鎮静処置時には極度の運動失調は危険である. そこで, 十分な鎮静状態が得られ,可能な限り運動失調が軽度である用量を3種類の投与量で観察したところ, 刺激に対する反応, 運動失調の程度などから,7.5μg/kg BW, ivが最適であることが示唆された.
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板垣 匡, 坂本 司, 板垣 博
1995 年 57 巻 3 号 p.
511-513
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
肝蛭成虫から抽出した可溶性蛋白成分はSDS-PAGEにより分子量の異なる30種以上のポリペプチドに分画され, それらの抗原性を肝蛭実験感染牛および自然感染牛の血清を用いてEITB法で調べた. 実験感染牛の経過血清では, 64-52 kDa, 38-28 kDA, 17kDa, 15 kDa, 13 kDa および 12 kDaのポリペプチドが感染後6~23週の血清により認識され, 160 kDa以上のポリペプチドが感染後6~10週の血清により認識された. 一方, 自然感染牛の血清では, 64-52 kDaのポリペプチドが調査した牛17例の全てに認識された. このことから, 64-52 kDaのポリペプチドは牛肝蛭症の診断用抗原に利用し得る可能性が示唆された.
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高橋 樹史, 辻 正義, 菊池 直哉, 石原 智明, 小山内 努, 笠井 憲雪, 梁川 良, 平棟 孝志
1995 年 57 巻 3 号 p.
515-517
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
実験動物の幼若ラットに自然発生した尿石症由来分離菌株の同定のために16S rRNA 遺伝子配列を決定し, 近縁菌と比較系統解析を行った. 遺伝子の相同性と進化距離をCorynebacterium renale ATCC 19412
Tや近縁な細菌の参照株と比較したところ, ラット由来株はC. renale とほほ同一であった. また, 他の細菌が系統樹上で明確に区別されたのに対して, ラット由来株とC. renaleは極めて近縁であり, 本菌がラットの尿路感染症に関与していることが示された.
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渡辺 清隆, 矢彦沢 小百合, 折野 宏一, 山本 晋二
1995 年 57 巻 3 号 p.
519-521
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
天然ラクトフェリン(Lf)とトランスフェリン(Tf)の間には, 免疫学的交差反応は殆んどあるいは極僅かしか見られなかった. しかしながら, これらの鉄結合タンパク質をドデシル硫酸ナトリウムおよびジチオトレイトールで変性させると, それらの間にはかなり強い免疫学的交差反応が検出された. これらの結果は, LfとTfは天然の状態では互いに免疫学的に大きく異なるが, 変性状態ではそれらは共通な抗原決定基を有することを示す.
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後藤 正光, 桐沢 力雄, 田島 誉士, 高橋 清志, 岩井 浤
1995 年 57 巻 3 号 p.
523-525
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
ウシ末梢血単核球リポポリサッカライド(LPS)刺激培養上清, 肺炎牛の血清および気管支肺胞洗浄液は濃度依存的にA375細胞の増殖を抑制した. 抗ヒトIL-1抗体はこの活性を大きく中和し, LPS刺激培養上清中の23 Kダルトンのべプチドに結合することがウエスタンブロットで示された.以上の成績から, A375細胞の増殖抑制を指標としてウシのIL-1活性を測定できることが示された.
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酒井 徹, 安居院 高志, 松村 陽治, 長澤 秀行, 姫野 國祐, 松本 耕三
1995 年 57 巻 3 号 p.
527-529
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
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フリー
LECラットの血清IgG2aレベルは正常ラットに比べ約10倍ほど低く, この低IgG2aレベルはバッククロスラットを用いた解析より突然変異遺伝子表現型thidと関係していることが示された. さらにLECラットB細胞をLPSとIL-4で刺激した場合, 正常にIgG2aが産生された. これらの結果からこの低IgG2aレベルの原因はB細胞側ではなくヘルパーT細胞の機能不全によることが示唆された.
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和田 好洋, 近藤 博, 中澤 宗生, 久保 正法
1995 年 57 巻 3 号 p.
531-533
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
回顧的病理組織学的検査で, 6ヶ月齢の鳩の腸管に腸管接着性で微絨毛消滅性を示す大場菌とアデノウイルスの感染が認められた. 回腸の粘膜上皮細胞を多数のグラム陰性桿菌が覆い, その部位の刷子縁は不明瞭であった. 走査電子顕微鏡では粘膜上皮に多数の桿菌の集塊がみられ, 微絨毛は消失していた. 十二指腸から結腸の粘膜上皮細胞に多数の核内封入体がみられ, 透過電子顕微鏡では核内にアデノウイルス様粒子が確認された.
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玄間 剛, 甲斐 知恵子, 見上 彪
1995 年 57 巻 3 号 p.
535-537
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
猫腎由来株化細胞(CRFK細胞)において, イヌパルボウイルス(CPV)はイヌジステンパーウイルス(CDV)と同時接種された場合に増殖が抑制された. 両ウイルス抗原は同一の細胞で検出された. CDVの増殖はCPVの共接種による影響を受けなかった. CPV のキャプシド蛋白抗原量は共接種により減少していた. これらの結果から両ウイルスが同一細胞で同時に増殖する場合には, CDVはCPVの増殖に抑制的影響を及ぼすことが示唆された.
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小川 和重, 鈴木 栄子, 谷口 和之
1995 年 57 巻 3 号 p.
539-542
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
孵化直後から変態完了までのアフリカツメガエルの幼生について, TSH陽性細胞の出現動態を免疫組織化学的に検討した. TSH陽性細胞は, 下垂体後葉の分化開始直前のステージ(St)49で出現し, 前葉中央部に局在する小細胞塊として認められた. その後, St51までは増加したが, 下垂体組織形成完了直前のSt52になると急激に減少し, その後は変態完了まで緩やかに増加しつづけた. また, St進行に伴い前葉後部に局在するようになった.
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金山 喜一, 成相 孝一, 山海 直, 遠藤 克
1995 年 57 巻 3 号 p.
543-544
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
実験動物の過排卵誘起は研究用卵子の採取等における重要な技術である. HMGを用いた家兎の過排卵誘起はまだ十分には検討されていない. 本研究ではHMGの投与量と排卵反応・受精成績とを検討した結果, 24時間間隔で3回, 30iuのHMGを皮下注射する試験区で最も良好な成績を得た. これは, 家兎の過排卵誘起に従来から広く用いられているFSHを6回投与する方法で得られる排卵数, 受精卵子数よりもはるかに良好な成績であった.
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若山 照彦, 種村 健太郎, 須藤 淳一, 今村 憲吉, 福田 勝洋, 森 英紀, 倉本 和直, 丸郎丸 正道, 林 良博
1995 年 57 巻 3 号 p.
545-547
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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供試した33ヶ月齢の高齢雄マウス7匹は不妊であり, 比較的高頻度で精細管内に損傷を認めた. 4匹の精巣上体尾部には精子が存在し, 採取出来た精子は, 若い雌ICRマウスから採取した卵子と正常に受精し(82.0%), 得られた2細胞期肝をレシピエントに移植した結果, 産子の作出率は高かった(61.6%). また異常精子率や受精率には, 若い個体の精子と比べて差はみられなかった. 今回の研究により, 体外受精法は高齢雄マウスから子孫を作出する上で, 十分有効な技術であることが示された.
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塩沢 道雄, 宮澤 隆, 小枝 鉄雄, 高橋 政寿, 藤原 弘
1995 年 57 巻 3 号 p.
549-551
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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肝プロトポルフィリン(PP)障害が, 60及び65日齢の2羽の雌鶏に認められた. 肉眼的に肝臓は腫大し, 暗緑色ないし黒色であった. 組織学的には, 暗褐色の顆粒が肝細胞, クッパー細胞, マクロファージ, 類洞, 毛細胆管及び小葉間胆管内に沈着していた. 色素顆粒は赤色蛍光, 偏光下で橙紅色の複屈折を呈し, マルタ十字が肝臓の塗抹及び切片に認められた. 電顕的には, 顆粒は放射状に配列した毛状結晶物であった. 肝のPP含量は390.6μg/gで, 蛍光波長は標準PPと同一であった.
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高橋 明男, 高橋 由美, 松本 和也, 宮田 堅司
1995 年 57 巻 3 号 p.
553-556
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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LIF及びIGF-IIのラット多分化能細胞株の樹立に与える影響について検討した. ラット胚盤胞を mLIF(5,000 units/ml) とrIGF-II(100 ng/ml)を含む培養液で支持細胞とともに培養することでICMの増殖が促進され, さらにICM由来細胞株を樹立することができた. この細胞株は in vitroにおいて複数の細胞系列へ分化することから, ES細胞様の多分化能を保持していると考えられた.
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原澤 亮, 浅田 起代蔵, 加藤 郁之進
1995 年 57 巻 3 号 p.
557-558
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
Mycoplasma hyopneumoniae VPP11株から既知のトランスポゾン, 挿入配列, レトロポゾンなどとは構造的に異なった新規の反復配列を見出した. サザンブロット解析の結果, 本反復配列はゲノム上に8コピー存在することが示された. 本反復配列は全長4193塩基対からなり, その両端に270,272塩基対からなる同方向末端反復配列(LTR)をもつ. LTRに挟まれた反復配列内部には, 3個の転写解読枠が想定された.
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中井 裕, 新美 正史, 金井 智典, 大澤 朗, 稲元 民夫, 安藤 太助, 扇元 敬司
1995 年 57 巻 3 号 p.
559-561
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
フリー
コアラPhascolarctos cinereusから分離されたタンニン・タンパク質複合体分解機能を有する腸内細菌(T-PCDE)について生化学的性状および抗原性状の解析を行った. T-PCDEは生化学的性状および抗原性状のいずれにおいても比較に用いた12種のEntero-bacteriaceaeの標準株とは明らかに異なるプロファイルを示した.
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前田 秋彦, 林 正信, 水谷 哲也, 石田 こずえ, 渡辺 智正, 波岡 茂郎
1995 年 57 巻 3 号 p.
563-565
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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マウス肝炎ウイルス(MHV)のポリメラーゼ遺伝子に対するリボザイム配列を含むアンチセンスRNAを発現する形質転換細胞であるLR-2細胞において, MHVの急性感染期と同様に慢性感染期でもウイルスの増殖抑制が認められた. 感染後100日目において, MHVの増殖は顕著に抑制されており, 感染後200日を越えると感染性のウイルス粒子の産生は認められなかった.
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猪熊 壽, 田村 和穂, 大西 堂文
1995 年 57 巻 3 号 p.
567-568
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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1994年夏に岡山県内の一大舎で飼育される成犬22頭にマダニ寄生が認められた. これらのうち4頭は過去に米国から輸入された犬であった. マダニ寄生により膿皮症, 貧血, 好中球増多症, 好酸球増多症を呈する個体も認められた. 末梢血塗抹検査によりBabesia fibsoni あるいは Hepatozoon canis は検出されなかった. 寄生していたマダニは, 形態学的にタリイロコイタマダニ (Rhipicephalus sanguineus) と同定された.
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佐藤 邦彦, 徳久 修一, 稲葉 右二
1995 年 57 巻 3 号 p.
569-570
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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ヒト, ウシ, ウマおよびブタのA群ロタウイルスの増殖はアルカリフォスファターゼ, パンクレアチン, プロテアーゼ, トリプシンまたはリパーゼによる処理およびこれら酵素の細胞培養維持液への添加によって増強された. 逆にナアミラーゼまたはリパーゼによってウマおよびブタロタウイルスの増殖は抑制された. その他の酵素, アデノシンデアミナーゼ, ラクターゼ, ライソゾームまたはリボヌクレアーゼはA群ロタウイルスの増殖にはほとんど影響を与えなかった.
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和田 直己, 高橋 邦昭, 杉田 昭栄, 平尾 篤, 徳力 幹彦
1995 年 57 巻 3 号 p.
571-572
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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脊髄ネコを用いて後肢皮膚感覚入力の尾筋運動ニューロンから記録される脊髄反射に対する効果について研究を行った. また仙髄における部分的脊髄切除法を用いてその神経経路通過部位についても検討を行った. 単シナプス性反射に対して同側の皮膚神経刺激の効果は条件-テスト刺激インターバルが短い場合 (5-20 ms) には促通効果がみられ, 長インターバル(30-200 ms)では抑制効果がみられた. この促通効果は同側の部分的脊髄切除によって見られなくなった. 多シナプス性反射に対して皮膚神経刺激は抑制効果を示したがこの効果は同側の脊髄切除によってほとんど変化を受けず, 反対側の切除によって抑制された.
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小谷 猛夫, 堀江 牧夫, 山口 忍, 塚本 康浩, 大西 堂文, 大橋 文人, 佐久間 貞重
1995 年 57 巻 3 号 p.
573-576
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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7か月齢, 雄, 体重1.lkgのポメラニアンが気管狭窄のため著明な呼吸困難を示し死亡した. 剖検では気管下部から気管支分岐部の粘膜に, 隆起した6個の結節を形成し気管を閉塞していた. 病理組織学的に, 結節内に多数の虫体が認められ, 雌虫の子宮内には多数の含子虫卵を容れていた. 炎症性反応は乏しく, 少数のリンパ球, 形質細胞の浸潤を認めたにすぎない. 気管支や細気管支周囲のリンパ管内にも虫体を認めた. 寄生虫学的所見から寄生虫体をFilaroides osleriと同定した.
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堀内 基広, 山崎 典子, 古岡 秀文, 松井 高峯, 中川 迪夫, 石黒 直隆, 品川 森一
1995 年 57 巻 3 号 p.
577-580
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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北海道十勝地方の某牧場で肥育仔牛に髄膜脳炎が散発した. 仔牛は牛伝染性鼻気管炎ウイルス生ワクチンをはじめ5種類の生ワクチンを鼻腔内噴霧されていた. 脳炎症状を呈した2頭の牛の脳から11クローンの牛ヘルペスウイルス1型を分離した. 制限酵素Pst I および Hind III によるウイルスゲノムの切断像を758-43ワクチン株のものと比較したが顕著な差は認められなかった. 従って分離株はワクチン株由来であると考えられた.
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竹内 正太郎, 松田 好司, 笹野 佳苗
1995 年 57 巻 3 号 p.
581-582
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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健康な豚の扁桃から分離された黄色ブドウ球菌147株のプロテインAを3つの方法で調べた. 菌体結合性プロテインAは, スライド血球凝集反応, マイクロプレート血球凝集反応および酵素抗体法でそれぞれ71株(48%), 104株(71%)および123株(84%)で証明された. しかし, 菌体外プロテインAは検出されなかった. 酵素抗体法で定量したところ, 菌体結合性プロテインAの濃度はMacFarland No.3の菌液1ml当たり0.8~2.2μg であった.
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中市 統三, 竹内 啓, 設楽 信行, 高倉 公朋
1995 年 57 巻 3 号 p.
583-585
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
ジャーナル
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Mycobacterium bovis BCG由来のDNA画分, MY-1の抗腫瘍効果を, ラットの実験的脳腫瘍を用いて検討した. その結果, MY-1の局所投与により脳腫瘍は肉眼的に退縮し, 病理組織学的には, 腫瘍細胞は退行性変化を呈した. また退縮した腫瘍組織内には, マクロファージ, 単核球の浸潤が観察された. 以上の結果より, MY-1は脳腫瘍に対しても担癌宿主の免疫能を賦活することにより, 抗腫瘍効果を示すものと考えられた.
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丸山 総一, 森田 幸雄, 勝部 泰次
1995 年 57 巻 3 号 p.
587-590
発行日: 1995/06/15
公開日: 2008/02/15
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ウズラ卵をヒト下痢症患者由来 Campylobacter jejuni (Y6817, Y6878株) の菌液に浸漬し, 卵内の侵入性について検討した. Y6817株では, 卵殻から卵内容への菌の移行は浸漬30分から72時間後まで80例中15例(18.8%)で認められた. 同様に, Y6878株では浸漬30分から24時間後まで80例中10例(12.5%)で認められた. 両菌液を卵黄に接触し, 4℃あるいは20℃で保存した場合, 4℃保存の方が20℃保存に比べて長時間生存した. 卵白に接種した場合, いずれの株も4℃では96時間以内に, 20℃では24時間以内に死滅した.
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