1995 年 57 巻 4 号 p. 677-681
非細胞病原性(NCP)牛ウイルス性下痢ウイルス(BVDV)感染牛精巣培養(BT)細胞に7種類のオルビウイルスを重感染させたところ, 全てのウイルスがCPEを発現するとともにBVDV非感染BT細胞に比べウイルスの増殖が100倍以上増強された. NCP ・BVDV 10株のうちEND現象陽性の7株はイバラキウイルスのCPEを発現し, 増殖を増強したが, END現象陰性の3株ではイバラキウイルスの増殖は抑制されるとともに, CPEも観察されなかった. さらに, END現象陽性BVDVを感染させたBT細胞では, BVDV非感染BT細胞に比べイバラキウイルスによるインターフェロンの産生が抑制されていた. 以上のことから, NCP・BVDVはBT細胞においてオルビウイルスの増殖を増強することが明らかとなり, この増殖増強作用は, 重感染ウイルスによるインターフェロシの産生をBVDVが抑制することによることが示唆された.