抄録
Actinobacillus pleuropneumoniae 1型菌を気管支内に接種し, 急性および亜急性の壊死性胸膜肺炎を誘起した. 0.25mg/kgのアトロピン注射, または気管支内キシロカイン噴霧処理により, 粘液分泌または線毛活動を抑制した豚では, 2頭が A. pleuropneumoniae (320 CFU/2ml) の感染後, 36時間以内に死亡した. その特徴病変は, 肺胞・小葉間結合織の水腫と多発性の血栓形成であった. 生存例における肺炎の程度は, 6,000CFU/2mlの菌を接種し薬剤非処理の対照豚のそれと類似していた. リンパ節では, 菌抗原に反応して樹状細胞の活性化, IgG- およびIgM- 保有細胞の増数が著明であった. 以上のことから, A. pleuropneumoniae の粘膜への付着が, 肺炎形成に強く影響することが示唆された.