Journal of Veterinary Medical Science
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犬におけるキチンおよびキトサンの開放創に及ぼす効果
岡本 芳晴柴崎 賢二南 三郎松橋 晧谷岡 慎一郎重政 好弘
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1995 年 57 巻 5 号 p. 851-854

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抄録
犬におけるキチンおよびキトサンの開放創に及ほす影響を観察した. 犬背部に2個の全層に及ぶ開放創(2×2cm2)を0, 14, 21および24日目に作製した. ある犬の一側の創(左側)にはキチン(キチン群)粉末を, もう一方の創(右側)は無処置(対照群)とした. また他の犬では一側の創(左側)にキトサン(キトサン群)粉末を, もう一方の創(右側)は無処置(対照群)とした. 28日目に各創を周囲組織を含めて採材し, 肉眼的ならびに組織学的検索を実施した. 上皮化は対照群に比べてキチンおよびキトサン群においてより早い傾向がみられたが, 上皮化および肉芽組織形成についてそれぞれスコア化し, 統計学的に評価した結果, 実験期間を通じて3群間に有意な差はみられなかった. 受創後28日目においてキチンおよびキトサン群に比べて, 対照群において浸潤した炎症性細胞の数が有意に多かった. また対照群では多数の真皮乳頭形成がみられたが, その他の群ではほとんどみられなかった.
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