Journal of Veterinary Medical Science
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子犬における手術直前ワクチン接種後のリンパ球幼若化反応と遅延型過反応の変化
田浦 保穂石井 邦彦永見 充弘三笠 直也中市 統三中間 實徳
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1995 年 57 巻 5 号 p. 899-904

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抄録
子犬の手術侵襲に対する免疫学的応答において, 犬パルボウイルス不活化ワクチン(CPV)を用いた手術直前ワクチン接種の効果を明らかにするために, 非ワクチン接種群とワクチン接種群とを開腹手術後のリンパ球幼若化反応と遅延型過敏(DTH)反応の測定により比較した. 吸入麻酔はイソフルランとハロタンを使用した. その結果, 非ワクチン接種群では, 手術後にリンパ球幼若化反応が低下し, 特にハロタン麻酔(GOF)群では著しく低下し, 非ワクチン接種群のイソフルラン麻酔(GOI)群よりも, 低反応期間が長く持続した. しかしながら, ワクチン接種群でのGOF群とGOI群では, 手術前の値よりもほとんどが低下しなかった. GOI下ではワクチン接種群のDTH反応は, 非ワクチン接種群よりも著しく上昇していたが, GOF下では, 非ワクチン接種群とワクチン接種群とでは, ほとんど差はなかった.以上の結果, 手術直前のCPVワクチン接種法は, 術後の免疫抑制を予防でき, またGOIはGOFよりも, 免疫能低下が小さいことが示唆された.
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