Journal of Veterinary Medical Science
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雄性の性腺形成不全症ラット (hgn/hgn) における腎低形成症 (hpk/hpk) の病態生理および生後の病理発生
鈴木 浩悦鈴木 勝士
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1995 年 57 巻 5 号 p. 891-897

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抄録
雄性の性腺形成不全症ラット (hgn/hgn)は, 両側性の腎臓の低形成症 (HPK;hpk/hpk)を併発する[34] .本研究では, hpk/hpk, +/hpk および+/+ラットの腎重量と糸球体数の調査および組織学的検索を行った. 成熟の hpk/hpk 人々の腎重量および糸球体数は, +/hpk および +/+ よりも有意に少なく, 組織学的にはネフロンの数の低下, 肥大したネフロンおよび2次的な変性像が認められた. 血漿中の尿素窒素およびクレアチニンの濃度はhpk/hpkで有意に高かった. 生後初期において, 腎重量はhpk/hpkで有意に少なく, 糸球体数はhpk/hpk<+/hpk<+/+の順であり, いずれの間にも有意差が存在した. 組織学的には, hpk/hpkでは, 出生時において腎皮膜下の分化中のネフロンの層が薄く, 3日齢のhpk/hpkではその層が欠損している領域が広く認められた. 7日齢では, hpk/hpkでは, 未熟なネフロンの層がなおも観察された. これらのことから, hpk/hpkの腎低形成症は, 低下したネフロンの誘導から生じる可能性があり, その後のネフロンの成長期を経ても, 腎臓全体としての腎重量, 糸球体数および腎機能の代償は達成されないと考えられた.
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© 社団法人 日本獣医学会
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