抄録
帝王切開により得たラット新生子にβ-アドレナリン阻害剤であるプロプラノロール(PRO)を帝王切開直後あるいは180分後に皮下投与した. PRO投与30, 60, 90分後に動脈管の直径を測定した. 帝王切開直後に0.2, 1.0, 5.0mg/kgのPROを投与した新生子の動脈管の直径は, 投与30分後において対照群と比べて有意に大きく, 用量相関的であった. また, 5 mg/kg群では, その変化は投与90分後まで続いた. 切開180分後の動脈管は完全に収縮閉鎖しており, その時点で5 mg/kgのPROを投与しても変化は見られなかった. これらの結果は, PROはラット新生子の動脈管の収縮を阻害し, 動脈管の収縮にβ-アドレナリン作用が関与している可能性を示した.