1995 年 57 巻 6 号 p. 1067-1071
モルモットの分離副腎クローム親和細胞における, カテコールアミン分泌と細胞内カルシウム濃度 ([Ca2+]i) の上昇を引き起こす, ムスカリン受容体のサブタイプについて, ムスカリン作動薬と桔抗薬を用いることにより調べた. 調べた全てのムスカリン作動薬 (1~1,000μM)は, 濃度依存性にアドレナリン分泌を増加させた. ムスカリンとメタコリンがベサネコール, オキソトレモリン, ピロカルピンよりも効力が強かった. ムスカリンとオキソトレモリンは細胞外力ルシウム不在下でもアドレナリン分泌を僅かに増加させた. 4-DAMP(0.1μM)とピレンゼピン(0.1μM)は, ムスカリンによるアドレナリン分泌の濃度依存性曲線を右方に移動させたが, メトクトラミン(0.1μM)にはその作用はなかった. これらのムスカリン作動薬は細胞外力ルシウム存在下で, [Ca2+]iを増加させた. 細胞外力ルシウムを除去すると, ムスカリンによる[Ca2+]iの増加作用は減少したが, 消失することはなかった. これらの結果は, モルモットの副腎クローム親和細胞におけるムスカリン作動薬によるカテコールアミン分泌の増加は, ムスカリン受容体のM1もしくは, M1とM3サブタイプを介して引き起こされることを示唆している.