Journal of Veterinary Medical Science
Online ISSN : 1347-7439
Print ISSN : 0916-7250
ISSN-L : 0916-7250
モルモットの副腎クローム親和細胞からカテコールアミン分泌と細胞内カルシウム濃度の増加を起こすムスカリン受容体のサブタイプ
浅野 忠太田 利男乙黒 兼一伊藤 茂男中里 幸和
著者情報
ジャーナル フリー

1995 年 57 巻 6 号 p. 1067-1071

詳細
抄録

モルモットの分離副腎クローム親和細胞における, カテコールアミン分泌と細胞内カルシウム濃度 ([Ca2+]i) の上昇を引き起こす, ムスカリン受容体のサブタイプについて, ムスカリン作動薬と桔抗薬を用いることにより調べた. 調べた全てのムスカリン作動薬 (1~1,000μM)は, 濃度依存性にアドレナリン分泌を増加させた. ムスカリンとメタコリンがベサネコール, オキソトレモリン, ピロカルピンよりも効力が強かった. ムスカリンとオキソトレモリンは細胞外力ルシウム不在下でもアドレナリン分泌を僅かに増加させた. 4-DAMP(0.1μM)とピレンゼピン(0.1μM)は, ムスカリンによるアドレナリン分泌の濃度依存性曲線を右方に移動させたが, メトクトラミン(0.1μM)にはその作用はなかった. これらのムスカリン作動薬は細胞外力ルシウム存在下で, [Ca2+]iを増加させた. 細胞外力ルシウムを除去すると, ムスカリンによる[Ca2+]iの増加作用は減少したが, 消失することはなかった. これらの結果は, モルモットの副腎クローム親和細胞におけるムスカリン作動薬によるカテコールアミン分泌の増加は, ムスカリン受容体のM1もしくは, M1とM3サブタイプを介して引き起こされることを示唆している.

著者関連情報
© 社団法人 日本獣医学会
前の記事 次の記事
feedback
Top