Journal of Veterinary Medical Science
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57 巻 , 6 号
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  • 広瀬 修, 柴田 勲, 工藤 博史, 鮫ヶ井 靖雄, 吉澤 重克, 小野 雅章, 西村 雅明, 廣池 忠夫, 影山 潔, 阪野 哲也
    1995 年 57 巻 6 号 p. 991-995
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1993年, 雌豚の繁殖障害を主微とする症例および子豚の呼吸器症状を主徴とする症例から採取した豚の肺材料からPRRSウイルス2株を分離した. これらの分離株を用いて5日齢および13日齢プライマリーSPF豚での実験感染を実施した. 接種した豚では感染後2日目ごろから元気消失, 食欲不振, 発熱, 下痢, 犬座姿勢および眼瞼浮腫などが認められた. 憎体率は非接種対照豚と比べ明らかに低下した. 異なるウイルス株を接種した豚群間で, 臨床症状の違いは認められなかった. 感染後28日目に剖検した豚では主に間質性肺炎, 非化膿性心筋炎およびカタール性リンパ節炎などが認められた. ウイルスは感染後7日目および28日目の主要臓器から回収され, さらに, 感染後7日目から試験終了時の28日目までの血清から回収された. 間接蛍光抗体を測定した結果, 抗体は感染後14日目から検出され, 28日目では1,280倍を示した.
  • 永野 伸郎, 八木 幹生, 加藤 慎一郎, 古屋 良宏, 宮田 そのえ, 眞鍋 昇
    1995 年 57 巻 6 号 p. 997-1002
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    制癌剤のシスプラチンでラットに非乏尿性急性腎不全を惹起後, 心房性A型ナトリウム利尿ペプチド(ANP)の腎作用を正常対照群と比較し次の結果を得た. (1) 代謝ゲージ実験において, シスプラチン投与ラットは血中尿素窒素値及び血清クレアチニン値の増加を示し, クレアチニンクリアランス(CCr)は投与4日目に最小値まで減少した. 投与4日目に尿蛋白値の一過性の上昇を認めた. (2) シスプラチン投与ラットでのANP濯流投与は腎血漿流量, 尿中カリウム及び尿素排泄分画に影響せず, 用量依存的かつ有意に尿流量(UFR), CCr, 尿中ナトリウム(FENa)及びクロライド (FECl) 排泄分画, 尿中リン並びに尿中マグネシウム排泄量を増加させた. (3) ネフローゼ患者及びアドリアマイシンやアミノヌクレオシドで惹起した腎障害動物において, ANPの腎作用は減弱する事が報じられているが, これに反してシスプラチン投与ラットでは, ANPのUFR, CCr, FENa, FECl 及びMg排泄に対する作用は正常対照群に比較して増強する事が観察された. (4) シスプラチン投与ラットの腎組織標本は糸球体障害を示さず, 髄質外層外帯部の近位直尿細管(S3)の広範な壊死像を呈した. 以上より, ANPに対する腎の反応性の増加はシスプラチンによる近位尿細管細胞壊死の条件下で, ナトリウム, 水, ANP自身がANPの主要標的部位である髄質内層集合管に多量に輸送, 到達された事に起因するものと考えられた.
  • 寺田 裕, 石田 貢, 山中 晴道
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1003-1006
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ホルスタイン種(H種)牛と黒毛和種(JB種)牛での Theileria sergenti感染に対する抵抗性について検討した. 環境調節室内の一定の条件下で, 5-6ヵ月齢の T. sergenti非感染両品種各3頭に対し, 同数の T. sergenti感染フタトゲチマダニ (Haemaphysalis longicornis) の若ダニを同様の手抜により吸血させ, マダニ吸血前より吸血後53日目まで臨床所見および血液所見を観察した. 吸血マダニの総数, マダニの吸血開始時および飽血落下までの期間には両品種間で大きな差はみられなかった. 両品種ともにマダニ吸血後12日目より赤血球内に原虫が確認され, その後寄生率は上昇したが, H種ではJB種に比べ寄生率は常に高い値で推移した. また, 両品種ともに寄生率の上昇に伴い赤血球数, PCVは減少したが, それらの最低値はH種ではJB種を下回った. 以上より, JB種はH種に比べ T.sergenti感染に対する抵抗性が高いことが外的要因の影響を除外した実験室内感染試験により明らかとなった.
  • 武藤 達士, 西村 亮平, 金 輝律, 松永 悟, 廉沢 剛, 望月 学, 佐々木 伸雄
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1007-1013
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    吸入麻酔薬によるイヌの高濃度急速マスク導入法 (Rapid Inhalation Induction ; RII) の有用性ならびにその時の循環呼吸器系に対する影響をビーグル犬24頭を用いて検討した. 各群6頭の犬に対し, ハロセン(Hal), エンフルレン(Enf), イソフルレン(Iso), セボフルレン(Sevo)を2.5MAC(minimum alveolar concentration ; 最小肺胞濃度) でRIIを行い, 導入時間, 導入時の体動等を比較するとともに, 種々の循環呼吸機能に関するパラメーターを測定した. その結果, 導入時間は血液ガス分配係数の順となり, Sevo群が最も短く円滑な導入が可能であった. また, Sevo群とIso群の導入時間に有意差はなかった. 循環動態についてはHal群を除いた全群で導入時の心拍数の上昇が顕著であり, これに伴い心拍出量, 心筋酸素消費量の指標としてのRPPが大きな変化を示した. しかし, その他の循環器系の各項目の変動はわずかであった. 気管挿管後は1.5MACの維持麻酔濃度を吸入させたところ, 約10分で循環呼吸器系ともに安定した値を示した. 以上の成績から, IsoとSevoを用いたRIIは, 対象動物の循環呼吸器系に重大な基礎疾患がない限り, 安全な導入法になりうると考えられた.
  • 菱沼 貢, 高橋 芳幸, 金川 弘司
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1015-1022
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    細胞数が減少した胚の着床時期における発育と形態を調べる目的で, マウス桑実胚を切断2分離し, in vitroの着床モデルにおける観察を行った. 2分離胚は, BMOC-3で36時間培養後に, eu-blastocyst (eu-blast), pseudo-blastocyst (pseudo-blast), trophec-todermal vesicle (TV) および non-integrated form (NIF)の4種類に分類し, さらに形態別にCMRL-1066で培養を行った. 2分離胚をプラスチック上および単層を形成した子宮内膜上皮細胞上で72時間培養した結果, eu-blastとpseudo-blastでは, 付着率および out-growth率は, 切断していない対照胚との間に差は認められなかった. しかし, TVとNIFでは, outgrowth率が対照胚に比べて有意に低下した(P>0.01). 2分離胚をI型コラーゲン・ゲル上で培養した結果, eu-blastでは, 培養36時間後における原始内胚葉形成率は対照胚との間に差は認められなかったが, 72時間後における卵円筒の形成率は有意に低下した(P<0.05). pseudo-blastでは, 36時間後における原始内胚葉形成率および72時間後における卵円筒形成率は, 対照胚よりも有意に低下した(P<0.05). TVとNIFでは, outgrowth率が低く, 原始内胚葉と卵円筒の形成はみられなかった. 細胞質突起による栄養膜細胞のコラーゲン・ゲル内への侵入は, 胚の発育ステージに関わらず, 4種類全ての2分離胚で観察された. 以上の結果より, マウス桑実胚における細胞数の減少は, in vitroにおいて原始内胚葉と卵円筒の形成に影響を及ほすことが明らかになった.
  • 勝田 賢, 白幡 敏一, 喜田 宏, 後藤 仁
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1023-1027
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    1993年に豚から分離された3株の香港型インフルエンザウイルスのヘムアグルチニン(HA)について, その抗原性ならびに遺伝子解析を行った. 香港型ウイルスに対する抗血清ならびにHAに対するモノクローナル抗体を用いたHI試験の成績より, 分離ウイルス株のうち2株 (A/sw/Obihiro/1/93 と A/sw/Obihiro/2/93) のHA抗原は A/Hokkaido/1/88株に, 残り1株 (A/sw/Obihiro/3/93) は A/Hokkaido/1/93株に類似していることが明らかとなった. HAの塩基置換に基づいて作成した進化系統樹において, A/sw/Obihiro/1/93とA/sw/Obihiro/2/93の2株は1986年から1988年に人から分離された香港型ウイルスと, また, A/sw/Qbihiro/3/93株は1993年に人から分離されたウイルスと同じ集団に属していることが明らかとなった. A/sw/Obihiro/1/93株に対する抗体陽性豚は, 1988年から1994年にかけて, 6.9%から13.8%の割合で認められた. 以上のことから豚は初期の香港型ウイルスと同様に, 最近の人での流行時においても人ウイルスに感染し, 人から感染したウイルスを少なくとも5年間豚集団で保存していることが明らかとなった.
  • 喜多 功, 江口 雅子, 高槻 成紀, 小泉 透, 坪田 敏男
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1029-1033
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    分娩後におけるニホンジカ黄体の退縮過程について組織学的研究を行った. 黄体は分娩後1か月以内に黄体細胞の減少と共に急激にその大きさを減じ, 分娩後9か月迄に直径30μm以下の小動脈を多く含む血管の集積に変った. 分娩後1.5年以上の退縮物では直径30μm以下の小動脈が著しく減少して, 直径50μm以上の小動脈が多数を占めた. 従って, 黄体退縮物の検査によって分娩後9か月未満の個体と1.5年以上の個体とを区別することが可能である. 10.5歳の個体における退縮物の所見に基づき, 退縮物は分娩後少なくとも8.5年は卵巣中に残存すると推定された. 妊娠黄体退縮物と副黄体退縮物とを組織学的に区別することは困難であった. すべての黄体退縮物を洩れなく数えるためには, 卵巣を0.5mm間隔で観察する必要があるが, 分娩後9か月以内の黄体退縮物の有無を調べるだけならば, 卵巣を2mm間隔で観察すればよい.
  • 遠藤 秀紀, 山田 格, 鈴木 直樹, 諏訪 元, 上塚 浩司, 橋本 統, 九郎丸 正道, 林 良博
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1035-1039
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    アジアゾウ (Elephas maximus) の心筋細胞を微細形態学的に検討した. 心室筋と心房筋の双方で, 筋原線維とミトコンドリアの豊富な, 典型的な心筋細胞の特徴が観察された. また, 多数のミトコンドリアが筋原線維間に高密度に集積し, 大型獣で心筋細胞中に占めるミトコンドリアの割合が減少するという従来の結果とは異なっていた. 一方, 後大静脈壁中膜にも心筋層が発達し, 同部位の心筋細胞には, 心房筋と同様の心房顆粒が確認された. このことから, 後大静脈が心房性ナトリウム利尿ペプタイドの内分泌装置として機能していることが示唆された.
  • 武内 ゆかり, 菊水 健史, 森 裕司
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1041-1044
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    本研究では, 反芻動物における病態行動の発現機構を解明する第一段階として, 一過的な病態行動を誘起する実験モデルを作出し, その行動の数値化を試みた. 4頭の卵巣摘除雌シバヤギの静脈内に200 ng/kg のエンドトキシン(リポポリサッカライド; LPS) を投与し, 無拘束状態で各種行動を観察して対照区と比較した. 全ての動物において, 縮瞳および震えといった臨床症状が, それぞれLPS投与39.5±3.1~296.5±9.9分後および46.0±2.3~251.0±15.5分後に観察された. 一般的な行動に関しては, 立位・座位といった姿勢には変化が認められなかったものの, 摂食・反芻時間, 毛づくろい回数が, 対照区と比して有意に減少した. これらの結果より, LPSを投与することでシバヤギに定型的な病態行動の発現を誘起することが可能であり, これらの行動学的変化を数値化して評価し得ることが示された.
  • 森田 晴夫
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1045-1048
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    血圧と心臓の形態との関連性を明らかにするため, 正常の雄カニクイザル15頭を用いて心室壁の厚さと体重, 心重量および動脈血圧(末梢)相互の関係を調べた. その結果, 以下の成績が得られた. (1) 無麻酔時における血圧の平均値は拡張期が68±8 mmHg, 収縮期が124±12mmHgであり, 脈拍数の平均値は1分間に227±17回であった. また, 麻酔時における血圧の平均値は拡張期が55±11mmHg, 収縮期が102±18mmHgであり, 脈拍数の平均値は1分間に197±17回であった. (2) 左室壁の厚さの平均値は前壁で6.6±1.1mm, 後壁で5.3±1.0mm, 側壁で5.9±0.9mm, 中隔壁で5.4±1.2mmであり, 右室壁の厚さの平均値は前壁で2.4±0.5mmであった. (3) 体重および心重量の平均値は, それぞれ4.1±0.7kgおよび16.5±3.1gであった. (4) 心重量および心室中隔壁の厚さは, それぞれ体重との間に有意な正の相関がみられた. (5) 血圧と各心室壁の厚さとの間には, 有意な相関関係はみられなかった. 以上のことから, 今後, 血圧と, 心臓の形態との関連性を評価するためには, さらに多くの正常例の他に, 高血圧や心肥大を有するカニクイザルにおいても検討することが必要と考えられた.
  • 斉藤 守弘, 田口 清明, 柴田 穣, 小林 孝之, 志村 亀夫, 板垣 博
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1049-1051
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    S. cruziシスト抽出物の各種動物に対する毒性, 抽出物粗毒の性状および分子量の推定を行った. シスト抽出物粗毒はウサギに対して総蛋白量20μg以上で毒性が認められ, 主要な症状は下痢であった. 抽出物である粗毒は易熱性で, 酸, アルカリに安定な水溶性の蛋白質で, 推定分子量は15-16kdであった.
  • 前田 誠司, 大迫 誠一郎, 丸郎丸 正道, 林 良博, 西田 隆雄
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1053-1056
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    生殖腺原基定着後のニワトリ始原生殖細胞 (PGCs) の分化を, 免疫組織化学的手法により検討した. 使用した抗血清は, 孵卵6日目の性的に未分化の白色レグホン胚子生殖腺組織をBALB/cマウスに免疫して得られたもので, この血清は同日齢の胚子生殖腺組織において, 体細胞と比べ, PGCsの細胞膜および細胞質に顕著な反応を示した. この結果は, 同日齢のPGCsが体細胞と比して強い抗原性を持つ特異な細胞であることを示しており, この抗血清が細胞マーカーとして有効であることが示唆された. さらに, この血清を用いて性分化前後の胚子生殖腺について免疫組織化学を行った. その結果, 孵卵5日齢の胚子生殖腺組織においては, 6日齢のものよりも明瞭な反応がPGCsに確認された. 性分化後, 孵卵8日齢の雌の生殖腺組織で反応に変化がみられた. この時期, 反応はPGCsの核近傍に限定されていた. 雄においては雌よりも遅く, 孵卵9日齢で反応性の変化がみられた. この時期では弱い反応がいくつかのPGCsにおいて観察されたのみであった. これらの結果より, 性分化後の分子変化は雌雄間で時間的に差があり, 雄の方が雌よりも遅くそれが起こることが示唆され, また雌雄で分化様式も異なることが明らかとなった.
  • 佐伯 英治, 石井 俊雄, 太田 実, 土屋 純夫, 古谷 徳次郎, 藤井 武
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1057-1061
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ドラメクチン (Dectomax, ファイザー製薬) の牛消化管内線虫に対する駆虫効果を明らかにする目的で, 自然感染牛総計44頭に200μg/kgの単回皮下投与を試みた. 試験1では, ドラメクチン投与群および無投与対照群の2群におのおの21頭をあて, 投薬後 7, 14, 21日目にウィスコンシン法変法により糞便5 g中の虫卵数を算定した. 試験2ではドラメクチン投与群(23頭), イベルメクチン投与群(12頭)および無投与対照群(10頭)の3群を設け, 試験1と同様の方法で投薬後63日目までの虫卵の消長を比較観察した. また, 各群数頭については糞便のカワラ培養を行い, 感染幼虫を得た. 虫卵検査と幼虫の形態学的観察の結果, Haemonchus, Cooperia, Mecistocirrus, Trichostrongylus, Ostertagia, Bunostomum, Strongyloides および Trichuris の虫卵減少率はドラメクチン投薬後49日目まで96.1~100%の範囲で推移し, 本剤の有効性が再確認された. 本論文は, Mecistocirrus に対するドラメクチンの駆虫効果を明らかにした初めての報告である.
  • 大槻 公一, 米田 裕光, 入谷 好一
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1063-1066
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    日本国内では過去70年間家禽ペストの発生報告はない. しかし, 海外では現在でも本病の発生がしばしば報ぜられている. そこで私たちは47府県で飼育されている鶏の血清8,850例についてインフルエンザウイルスの抗体保有状況を調べた. 私たちがコハクチョウから分離したH6N6インフルエンザウイルスを抗原とするゲル内沈降反応によりまずスクリーニングを行った. 沈降ラインを形成した陽性例について鶏赤血球凝集抑制反応およびノイラミニターゼ抑制反応を行い亜型を調べた. その結果, わずか6例ではあったが, 陽性例が検出された. そのうち4例はヒトインフルエンザウイルスであるH1N1ウイルスに対する抗体を保有していた. すなわち, 1971年に採血された1例は古いA/PR/34株にのみ反応し, 1983, 1985年に採血された3例はA/Yamagata/120/86と最も強く反応した. 残る2例はトリインフルエンザウイルスであるH10N4, H3N6ウイルスと反応した. 鶏がヒトインフルエンザウイルス抗体を保有していることは興味深く思われた. 今後は感度のより高い反応を用いて検討したい.
  • 浅野 忠, 太田 利男, 乙黒 兼一, 伊藤 茂男, 中里 幸和
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1067-1071
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    モルモットの分離副腎クローム親和細胞における, カテコールアミン分泌と細胞内カルシウム濃度 ([Ca2+]i) の上昇を引き起こす, ムスカリン受容体のサブタイプについて, ムスカリン作動薬と桔抗薬を用いることにより調べた. 調べた全てのムスカリン作動薬 (1~1,000μM)は, 濃度依存性にアドレナリン分泌を増加させた. ムスカリンとメタコリンがベサネコール, オキソトレモリン, ピロカルピンよりも効力が強かった. ムスカリンとオキソトレモリンは細胞外力ルシウム不在下でもアドレナリン分泌を僅かに増加させた. 4-DAMP(0.1μM)とピレンゼピン(0.1μM)は, ムスカリンによるアドレナリン分泌の濃度依存性曲線を右方に移動させたが, メトクトラミン(0.1μM)にはその作用はなかった. これらのムスカリン作動薬は細胞外力ルシウム存在下で, [Ca2+]iを増加させた. 細胞外力ルシウムを除去すると, ムスカリンによる[Ca2+]iの増加作用は減少したが, 消失することはなかった. これらの結果は, モルモットの副腎クローム親和細胞におけるムスカリン作動薬によるカテコールアミン分泌の増加は, ムスカリン受容体のM1もしくは, M1とM3サブタイプを介して引き起こされることを示唆している.
  • 保田 昌宏, 古澤 修一, 佐藤 映郎, 田浦 保穂, 中間 實徳, 吉原 一浩, 廣田 好和
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1073-1075
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    鶏胎期に 6-Hydroxydopamine (6-OHDA)を 奨尿腹腔に接種したニワトリの抗ジニトロフェニル (DNP) 抗体価と血中カテコラミン濃度を測定した. 孵卵14日に400μg の 6-OHDAで処理した6週齢ニワトリの抗DNPIgA抗体価は有意に高く, また9週齢ニワトリの血中ノルアドレナリン濃度は低値であった. これらの結果より, 交感神経系は免疫系に影響を及ぼすことが示唆された.
  • 甲斐 知恵子, 吉川 泰弘, 山内 一也
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1077-1080
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ラウス肉腫ウイルス(RSV)誘発性腫瘍を有するウズラ血清中の補体第3成分(C3)の濃度は, 腫瘍の増大に平行して上昇した. RSVと同属で腫瘍化能のないトリ白血病ウイルスを接種した場合には, このような上昇は認められなかった. 増殖期の腫瘍細胞表面上には, C3の沈着が認められた. 以上の結果, ウズラ生体内においてもRSV誘発性腫瘍化細胞は, その表面上で同種補体を活性化していることが明らかになった.
  • 林 正信, 前田 秋彦, 渡邊 智正, 花木 賢一, 荒井 惣一郎, 野崎 周英
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1081-1083
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    マウス肝炎ウイルス(MHV)のリーダーRNAに相補的なホスホロチオエートオリゴヌクレオチド (PS-oligo) は低濃度(0.001~0.1μM)で配列特異的に通常のオリゴヌクレオチドより効率的にMHVの増殖を抑制した. ランダム配列やホモ配列(dC)のPS-oligoは高濃度(0.5μM以上)で有意なMHVの増殖抑制効果を示し, PS-oligoは配列特異的ならびに配列非特異的な2種類の異なった機序でMHVの増殖を阻害することが示された.
  • 小野 一晃, 正木 宏幸, 徳丸 雅一
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1085-1087
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    CCDA (charcoal-cefazolin-sodium deoxycholate agar) 培地は, 血液無添加のカンピロバクターの選択分離培地として知られている. この培地と, Butzler培地の2種類の培地の, カンピロバクターに対する選択分離能力を比較するため, 家畜盲腸内容物 (牛176頭, 豚103頭)からの本菌の分離を行った. 牛において, 直接培養では, Butzler培地で16.5%, CCDA培地で31.3%から本菌が分離され, CCDA培地の方が約2倍の高い検出率を示した. 一方豚においても同様にCCDA培地の方がより高い検出率を示した. また, このうち牛107頭分については, Preston, CEM, Bu 10の3種類の増菌培地を用いた増菌菌培養も併用して行ったところ, いずれの場合も, CCDA培地を用いた方がより高い検出率を示した (P<0.01). 以上のことから, このCCDA培地は血液を加えずに容易に使用でき, しかも本調査において,カンピロバクターに対する選択分離能力もButzler培地より優れていることが明らかになった.
  • 乗松 真理, 荻窪 恭明, 小島 明美, 高橋 敏雄, 渡辺 元, 田谷 一善, 笹本 修司, 田村 豊
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1089-1091
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    大腸菌LPS(0.1mg/kg)をフロインドの完全アジュバントに混和して筋肉内投与し投与後2週間観察したところ, 同量のLPSを生理食塩水に混和した群と比べて, 投与後初期の白血球減少と血清TNF-α及び血清コルチゾルの上昇が緩和され, 血清内毒素値も低かった. 以上のことから, LPS投与後初期の豚の全身性反応はオイルアジュバントを加えることによって,弱められるものと考えられた.
  • 竹原 一明, 大城 哲也, 松田 絵理子, 西尾 喬子, 山田 隆弘, 吉村 政雄
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1093-1095
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ガチョウパルボウイルス(GPV)IH株を用いて, 不活化ワクチンを作製した. 免疫応答はウイルス中和試験で, 免疫効果はワクチン接種群から孵化したヒナを汚染農場に導入して調べた. その結果, ワクチンの筋肉内注射により, バリケンに高い中和抗体価が誘導された. 移行抗体保有ヒナはGPV感染に対し生存率が高く, 防御効果と考えられた. また, 高い移行抗体価保有ヒナに対しても, ワクチン注射により中和抗体を誘導できた.
  • 岩崎 利郎, 清水 素子, 尾畑 英郎, 柳井 徳麿, 北川 均, 佐々木 栄英
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1097-1099
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    犬の円板状紅斑性狼瘍(DLE)は自己免疫皮膚疾患と考えられているが, 基底膜に対する自己抗体は知られていない. 臨床像, 病理組織学および直接蛍光抗体法などの検査結果から9歳のシェットランドシープドッグをDLEと診断した. 本例において間接蛍光抗体法を行ったところ基底漠に陽性所見が得られ, 免疫ブロッティング法では120と85kDaの表皮細胞抽出蛋白が認識された. これは既知の疾患に関連する基底膜蛋白とは異なっていた.
  • 宮本 徹, 萩尾 光美, Mwanza Timothy, 奥村 正裕, 藤永 徹
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1101-1103
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    X線脊髄造影により, 胸椎の彎曲, 胸・腰椎の椎体前・後背側端の変形, T9~L1およびL6~L7の脊髄の圧迫像等が認められた8ヵ月齢のネコに, 外科的減圧術を行い, 症状の改善が得られた. 脊椎変形の原因として, 先天性, 代謝性, 遺伝性等が考えられたが, 詳細は明らかにできなかった. 本疾患に類似した報告例は過去にみあたらない.
  • 小澤 明仁, 猪熊 寿, 上家 哲
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1105-1107
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    馬における血漿IGF-I濃度と体重, 年齢, 性別, 品種との関係を調べた. 6ヶ月齢では血漿IGF-Iと体重の相関係数はゼロに近かったが, 1~2歳齢で相関係数は大きくなった. 血漿IGF-I濃度は雌より雄が有意に高く, 体重との相関係数も雄の方が雌より大きかった. 体重の大きく異なる品種間に血漿IGF-I濃度に差は認められなかった. 以上の結果は少なくとも重種馬において血漿IGF-I濃度が体重の性差に関係あることを示唆している.
  • 松井 基純, 高橋 芳幸, 菱沼 貢, 金川 弘司
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1109-1111
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ウシ体外受精卵の培養液へのインスリンあるいはIGF-Iの添加は, 桑実胚への発育率および桑実胚以降の発育において胚盤胞の細胞数を増加させた. インスリンおよびIGF-Iの両方を添加した場合, それぞれ単独に添加した場合と比べ受精卵の発育に差異はなかった. インスリンおよびIGF-Iが, ウシ体外受精卵の発育を促進することが示された.
  • 菅野 美樹夫, 高野 徹, 佐藤 尚史, 大崎 次郎, 渡辺 茂
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1113-1115
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    65頭の黒毛和種を用いて過剰排卵処理における閉経期性腺刺激ホルモン(hMG)の投与量の比較検討を行った結果, 450~900 IUの投与量間に有意差はなかったが, 600 IU 1日2回3日間投与で充分な数の移植可能胚が得られ, 従来のFSH20 mgの3日間投与よりも良好であった. したがってhMGを黒毛和種に応用する場合, 投与量は総量600 IU, 1日2回3日間投与で十分であり, また2日間の処理の可能性も示唆された.
  • 渋谷 一元, 木崎 秀行, 田島 正典, 渋谷 延子, 山手 丈至, 布谷 鉄夫
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1117-1120
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    新たな細胞株NB-YKを, Fischer 344ラットの自然発生腎芽腫に由来する可移植性腎芽腫(NB-Y)から樹立した. NB-YKはプラスチック表面で重層性・非結合性に増殖し, 軟寒天内でコロニーを形成した. NB-YKの主要な細胞は形態学的に間葉系の性格を示し, 大部分は細胞質内に数個の分泌を持っていた. NB-YK細胞は免疫組織化学的にケラチン, ビメンチン及びラミニン陽性であった. NB-YKのケラチンとビメンチンの同時発現が中間系フィラメント蛋白の一次元電気泳動及び免疫ブロッテイングによって確認された. NB-YKは同系ラットとヌードマウスにおいて腫瘍原性を示し, 線維肉腫様腫瘍を形成した. NB-YKは腎芽腫の生物学的性状研究のための有用なモデルと考えられる.
  • 武藤 達士, 西村 亮平, 金 輝律, 松永 悟, 廉澤 剛, 望月 学, 佐々木 伸雄
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1121-1124
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    5%イソフルレン+笑気(GOI)および5%セボフルレン+笑気(GOS)を用いて124頭の臨床例に対して急速マスク導入を行った. その結果, 117頭がRIIによる導入が可能であった. 導入時間, 体動時間, 体動の大きさ, 気管内挿管の容易さといった実用性に関する項目はいずれもGOI群の方がGOS群より有意に短かった. また, 体重の大きいイヌほど保定が不十分となる傾向を示した.
  • 大石 英司, 北島 崇, 小山 洋子, 扇谷 年昭, 片山 茂二, 岡部 達二
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1125-1128
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    Actinobacillus pleuropneumoniae 血清型1, 2および5型菌の培養上清濃縮液 Cell-free-antigen とオイルアジュバントを用いて作製した混合ワクチンの豚における防御効果について検討した. その結果, ワクチン群では目立った臨床症状を示さなかったが, 培地の濃縮液とオイルアジュバントを混合したものを接種した対照群では典型的な胸膜肺炎の症状を示し, 死亡例も認められた.
  • 川口 寧, 前田 健, Pecoraro Marcelo R., 猪島 康雄, 張 炯寛, 河本 麻理子, 岩附 研子, 池田 靖弘, 下島 ...
    1995 年 57 巻 6 号 p. 1129-1131
    発行日: 1995/12/15
    公開日: 2008/02/15
    ジャーナル フリー
    ネコヘルペスウイルス1型(FHV-1)ICP4のネコ免疫不全ウイルス(FIV)long terminal repeat(LTR)に対する影響を調べた. ネコ腎由来CRFK細胞においてFHV-1 ICP4 は FIV LTR に影響を及ほさないが, C/EBP結合部位を部位特異的に欠損させた FIV LTRを効率よく活性化した. また, FHV-1 ICP4によって活性化される Heterologous promoter にFIVのC/EBP結合部位を導入すると FHV-1 ICP4 による活性化が観察されなくなった. 以上よりFHV-1 ICP4は FIV LTR 由来の遺伝子発現を活性化する能力を有しているだけでなく, C/EBP結合部位を介してFIV LTRを抑制する能力も有していることが示唆された.
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