1996 年 58 巻 1 号 p. 67-70
Chlamydia psittaci(C.psittaci)感染と診断した流産胎子9例および娩出後まもなく死亡した子牛1例を病理学的に検索した. 肝臓の特徴的な病変は9例の流産胎子における巣状壊死と死亡新生子牛の肉芽腫性巣状壊死であった. 核内封入体は肝臓, 脾臓, 胸腺, リンパ節, 副腎, 腎臓, 肺および第一胃の壊死巣で観察された. 免疫組織学的には, 少数のC.psittaci抗原が肝臓の壊死巣の基本小体に一致して検出された. 牛伝染性鼻気管炎(IBR)ウイルス抗原は種々の臓器の変性, 壊死した実質細胞に検出され, 核内封入体の形成を伴っていた. 以上のことから, 今回の流産胎子並びに新生子牛は胎子期にC.psittaciとIBRウイルスの混合感染をうけた.