抄録
「嘔吐型」食中毒由来セレウス菌の産生するHEp-2細胞空砲化変性因子(セレウリド)は, スンクスの静脈および腹腔内投与により嘔吐と同時に, 致死活性を示すことが明らかになった. さらに, 致死活性はマウスでも認められた. 本因子の嘔吐および致死活性は, 121℃, 15分の加熱, pH 2および11, およびトリプシン, ペプシン酵素などの処理によっても失活されなかった. これらの結果から, セレウリドは消化管内でも安定であり, 嘔吐を引き起こし, さらに, 細胞障害などによる致死活性を示すものと考えられる.