抄録
X線に高い感受性を有するLECラットの肺から線維芽細胞を単離し, 種々のDNAに損傷を与える因子に対する感受性を検討した. LECラットの細胞はDNAに2本鎖切断を生じるブレオマイシン(BLM)やDNAに架橋を形成するマイトマイシンCに対して対照のWKAHラットの細胞よりも2~3倍高い感受性を示した. また, アルキル化剤, エチルニトロソウレアやN-メチル-N'-ニトロ-N-ニトロソグアニジンに対しても幾分高い感受性を示したが, 紫外線に対しては両細胞に感受性の差は見られなかった. BLM処理後, LECとWKAHラットの細胞に生じるDNAの2本鎖切断の初期生成量については両細胞の間で差は見られなかったが, その修復過程はLECの細胞においてWKAHラットの細胞と比較して遅いことが示された.