Journal of Veterinary Medical Science
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ウシ筋肉内血管間質細胞の脂肪細胞への分化の誘導
佐藤 耕太中西 直人三津本 充
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1996 年 58 巻 11 号 p. 1073-1078

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抄録
脂肪交雑のメカニズムを検討するためのモデルとしてウシ筋肉内脂肪組織由来の血管・間質細胞の培養系における脂肪細胞への分化について形態および生化学的マーカー(グリセロール3リン酸デビドロゲナーゼ活性)を指標に検討した. 血管・間質細胞をコンフルエントとした後, インシュリン(850 nM), オクタン酸(1 mM)およびコレステロール(25μM)を含む血清除去培地(0.1%牛胎仔血清)中でデキサメサゾンおよびメチルイソブチルキサンチンで48時間処理した場合, 脂肪細胞への分化が誘導された. しかしながら, 10%血清存在下では形態的な分化はまったく観察されず, コンフルエント状態となった後も増殖を続けた. ウシ脳および筋肉抽出液の添加時には著しい細胞の増殖は観察されなかったものの多くの細胞が生存し, それらの脂肪細胞への分化は抑制された. この結果から, ウシ脂肪細胞の分化にはオクタン酸やコレステロールなどの脂質の存在と脂肪前駆細胞あるいは他の細胞の増殖停止の過程が重要な役割を果たしているものと考えられた.
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© 社団法人 日本獣医学会
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